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ソロテント泊軽量化の手引き

装備の軽量化は山登りの基本。荷物は軽いに越したことはない。忠実に実践すれば、いまや40L以下のバックパックにテント泊装備を収めることも十分可能だ。無理をしない軽量化の方法をマスターしよう!

文◉吉澤英晃 Text by Hideaki Yoshizawa
写真◉網野貴香 Photo by Yoshika Amino
撮影協力◉さかいやスポーツ
出典◉PEAKS 2020年9月号 No.130

教えてくれた人

さかいやスポーツ・高橋典孝さん

勤続20年以上のベテラン社員。プライベートでは25Lのパックに宿泊装備を詰め込み、山遊びとテンカラをミックスした「マウンテンカラ」にハマり中。

装備の点数を減らさない、安全な軽量化のコツ

装備の軽量化は基本中の基本。では、どうしたら荷物を軽くできるのか? 難しく考えなくても大丈夫。答えは意外と簡単で、快適さをちょっとだけ我慢して、お金はかかるができるだけ軽い装備を購入して、無駄なものは持たない。ツエルトにアルコールバーナーを持たなくても、これだけで十分軽量化できてしまうのだ。

今回は登山用品専門店さかいやスポーツのスタッフであり、登山の経験も豊富な高橋さんに、より具体的な軽量化のコツを教えてもらった。

「装備の点数を減らすような過度な軽量化には危険がともない、イレギュラーな事態に対処する経験とスキルが求められます。万人にすすめられるものではないので、ここでお伝えするのは、必要なものを全部持つ安全な軽量化の方法です。まず荷物を軽くする上で大きな比重を占めるのが、テント、スリーピングバッグ、スリーピングマット、クッカーと食料。これらを軽量化するコツを押さえてから、着替えやレインウエアなどにも気を配り、総重量を減らしましょう。一度にすべてを実践する必要はなく、自身の経験に合った取捨選択をしながら、少しずつ荷物を軽くしていくといいですね」

※掲載の重量はすべて実測値です

軽量化前(9.35kg)

カリマークーガー45-60(2,559g)

ザックの中身

❶テント ❷スリーピングバッグ ❸スリーピングマット ❹クッカー ❺着替え ❻保温着 ❼バーナー ❽夕朝食 ❾行動食 ➓レインウエア ⓫水筒 ⓬タオル ⓭財布 ⓮ヘッドランプ ⓯地図 ⓰サバイバルシート ⓱コンパス ⓲モバイルバッテリー ⓳エマージェンシーキット ⓴ポイズンリムーバー

軽量化後(5.8kg)

グラナイトギアクラウン2(1,150g)

ザックの中身

❶テント ❷スリーピングバッグ ❸スリーピングマット ❹クッカー ❺着替え ❻保温着 ❼バーナー ❽夕朝食 ❾行動食 ➓レインウエア ⓫水筒 ⓬タオル ⓭財布 ⓮ヘッドランプ ⓯地図 ⓰サバイバルシート ⓱コンパス ⓲モバイルバッテリー ⓳エマージェンシーキット ⓴ポイズンリムーバー

軽量化のポイント

  • 過度な軽量化は危険が増す
  • 経験に合った取捨選択を
  • 必要な装備は全部揃える

【テント】収容人数を1人用にする。

快適さを重視するなら、ひとりで使う場合でも2人用のテントを選んだほうがいい。しかし軽量化を考えるなら、そこは妥協すべき点になる。

「荷物を軽くしたいなら当然1人用のテントを選びましょう。軽量化と聞くと非自立式やシングルウォールをイメージする方も多いかと思いますが、やはり使い勝手が良くて安心して使えるのは自立式のダブルウォールになるので、このタイプから選んであげるといいですね。1人用といってもスリーピングマットを敷いたら余分なスペースがない! ということはないので、中で荷物整理も余裕でできますよ」

モデルにもよるが、収容人数を減らすと収納サイズも小さくなるので、バックパックのサイズダウンにも貢献する。

Before

<2人用>ライペン/エアライズ2(1,531g)

2人用テントは広くて快適なのだが、必然的に重くなってしまう。数グラムが積もり積もって総重量が増えるので、ここは我慢。

After

<1人用>ニーモ/タニ1P(1,255g)

1人用に変更しても自立式のダブルウォールなら使い勝手の良さはそのまま。狭く感じても慣れれば気にならなくなるはずだ。

【スリーピングバッグ】高品質のダウンモデルに変更。

化繊綿のモデルは低価格だが、重くなり収納サイズも小さくならない。

「高価ですが、やはり中綿がダウンの寝袋を選びましょう。軽くて収納サイズもコンパクトになります。さらに軽量化を追求するなら、対応温度域が同じでも使われているダウンの質が高いほうがいいですね。たとえば900FPと800FPのダウンを使った寝袋を比べた場合、同じ綿量であれば900FPのほうが保温力が高くなります」

ほかに防寒着を着て寝ることを考慮すれば、対応温度域をワンランク落とすのもあり。

「ダウンは水漏れが大敵なのでスリーピングバッグカバーを持つかは判断が分かれるところです。結露などによる濡れを防止できますが、天候と状況判断に慣れ、短い泊数であれば持たない選択があってもいいかもしれません」

Before

<化繊綿>さかいやスポーツオリジナル/サンセットスーパー700(1,313g)

【After】

<ダウン・保温力高>モンベル/ダウンハガー900 #3(660g)

<ダウン・保温力低>モンベル/シームレスダウンハガー800 #5(595g)

<スリーピングバッグカバー>モンベル/ブリーズドライテック スリーピングバッグカバー(193g)

【スリーピングマット】重さより収納サイズに着目。

スリーピングマットは3つの種類に分けられる。発泡素材を使ったクローズドセル、浮き輪のように空気だけで膨らませるエア、エアマットの内側にウレタンフォームを内蔵することで自動膨張するインフレータブルだ。基本、それぞれの重量を同じサイズで比較すると、クローズドセル、エア、インフレータブルの順に重くなる傾向がある。

では単純にクローズドセルを選ぶのがベストかというと、そうではない。「クローズドセルは収納サイズが大きいという弱点があります。その点、エアマットはとてもコンパクトに収納できるので、バックパックのサイズダウンに大きく貢献してくれる。バックパックの重さも含めたトータルで軽量化を考えると、エアマットを選んだほうがいいですね。ちなみにサイズは全身用を選んだほうが快適ですが、軽さを求めてショートサイズを選択するのもありです。足元にはバックパックなどを敷いて対応しましょう」。

Before

<クローズドセル>サーマレスト Zライトソル レギュラー(410g)(左)

クローズドセルは安価で故障しないので人気だが、パッキングするとかさ張るし、外付けするとなにかに引っかける危険もある。

After

<エア>シートゥーサミット ウルトラライト XS(324g)(右)

エアマットの収納サイズはペットボトル並み。パッキング時にスペースをとらないので、容量の小さなバックパックを選択できる。

【クッカーと食料】お湯だけで調理可能な内容に。

食事はテント泊の楽しみのひとつ。しっかり料理を作る人もいるだろう。ただ軽量化だけを考えると、重くてかさ張るものは持っていかない。

「楽しみな食事の時間が幾分質素にはなってしまいますが、お湯だけで作れるアルファ化米やフリーズドライのスープなどを用意するといいでしょう。アルファ化米に使うお湯の量は約160ml。そこにスープや飲み物も追加することを考えると、クッカーの容量は400mlもあれば十分です。火にかけられるクッカーのほかに、軽量な小型カップも用意するといいですね。バーナーにはアルコールストーブや固形燃料などの選択肢もありますが、使いやすさを考慮すると一体型のバーナーがおすすめです」

SOTO/アミカスストーブ(318g)

Before

EPI/ATSチタンクッカーTYPE2-S(147g)

After

エバニュー/TI570カップ(55g)

小型カップ(24g)

=total(79g)

食料(Before)

517g

224g

【着替え】必要以上に持っていかない。

予報外れの雨に降られて衣類が濡れてしまったときなどのトラブルに備えて、着替えは用意したいアイテムである。そんな非常事態とは別に、下山後に着る普段着を準備する人もいるだろう。さらに就寝時用に上下ワンセットの寝間着を追加する人もいるかもしれない。

「着替えは絶対に必要ですが、持ちすぎてはいないでしょうか? たとえば下山後に着る予定のウエアを機能素材のものに変えれば、万が一山中でシャツなどを濡らしてしまっても着替えることができます。このとき街を歩くことまで考えると、派手にならないデザインのものを選ぶといいですね。最近はパッカブルになる軽量パンツもあるので、なるべくかさ張らないように、収納サイズに気を配りながら準備するといいでしょう」

足に汗を多くかく人は、ここに靴下を加えてもいいし、防寒対策も考慮するならTシャツではなく長袖を選ぶのもありだ。さまざまな状況に対応できるように工夫したい。

1セット分の着替え(Tシャツ、パンツ、靴下)(500g)

天気予報が晴れマークならTシャツ一枚だけという選択肢もあるし、日数が増えれば靴下は増やしていいかもしれない。天候状況や山行日数によって取捨選択しよう。

×

余分な1セット(Tシャツ、靴下)(215g)

基本的にTシャツやパンツを何枚も持つ必要はない。ちなみに速乾ウエアはコツを覚えれば着乾しという方法もある。

【行動食】種類を見直してかさ張りを抑える。

行動食は軽量化でも量を減らしてはいけないアイテムだ。そのため、ここはバックパックのサイズダウンを意識して、かさ張らない食べもので、かつ高カロリーなものを選んであげるといい。

「普段の山行ではおにぎりや菓子パンなどは選ばずに、ジップロックなどの袋にナッツ類をミックスしたものを用意しています。柿の種やドライフルーツなどを混ぜてもいいでしょう。さらに高カロリーなエナジージェルを何個か持つのがいつもの定番。汗とともに失われてしまう塩分を摂取するサプリも準備しましょう」

慣れないうちは持ちすぎてしまうかもしれないが、山行を重ねれば自分の適量がわかってくる。

Before

コンビニのおにぎりとパン(218g)

おにぎりや惣菜パンはコンビニなどで手軽に購入できるので行動食の定番にしている人も多いと思うが、パッキングするとかさ張ってしまい場所をとる。

After

ジップロックにミックスナッツ(左)エナジージェル(右)(196g)

ナッツ類はコンパクトに収めることができるうえに、こまめに食べられる利点もある。

エナジージェルはビタミンを摂取できるものなど種類が豊富。

ミドリ安全/塩熱サプリ(34g)

【レインウエア】登山用から軽量モデルをチョイス。

レインウエアは登山の三種の神器にも数えられるほど大切なアイテムだが、じつは思ったほど出番は多くない。だれしもが晴れ間を狙って計画を立てるはずなので、終始バックパックに入っていることも多いのだ。そのため耐久性が高いほど優秀という道具でもない。ルートや季節を考慮すれば、やや軽さを重視してもいいだろう。

「必ず登山用に開発されたモデルを選びましょう。もちろん差はありますが、いずれも十分な耐久性を持っています。そのなかから重さに注目して軽いモデルを選択するといいでしょう。ちなみにレインウエアに使われているメンブレンと呼ばれる防水透湿膜にはいくつか種類があり、それぞれに特性があります。違いがわからなければ登山の専門ショップに尋ねて疑問点を解決しましょう」。ストレッチ性や肌触り、シルエットなどは別途吟味したい。

Before

ゴアテックスのレインウエア(300g)

After

モンベル/トレントフライヤージャケット(210g)

軽くなるほど値段が高くなる傾向があり、その反面、耐久性は低くなる。正解はないので、いくつも商品を見比べて納得できるバランスを探し出そう。

【その他の小物】かさ張りを極力抑える。

その他の小物の重量と収納サイズも無視できない。ひとつずつ見直そう。

「水筒はハードボトルよりもソフトボトルがおすすめです。圧倒的に軽くなり収納サイズも小さくなります。タオルを持っていく場合も軽さとコンパクトさを優先して、吸水速乾性に優れる高機能タオルを用意するといいでしょう。見落としがちな財布も、普段使っているものから必要な現金と保険証、交通系ICカードやキャッシュカードなどを取り出して、軽量な防水ケースに入れ替えてあげるといいですね」

水筒(176g→35g)

プラティパス プラティ2ℓボトル(右)

タオル(80g→70g)

スピードマイクロセームタオル<L>(右)

財布(171g→28g)

ロックサック防水マルチケース(右)

【保温着】フリースから綿モノに

保温着にフリースを思い浮かべる人もいるはずだ。

「フリースは肌触りがよく行動着としても使えるメリットがありますが、最近ではよりコンパクトに収納できて暖かい中綿入りの商品が、多くのブランドから販売されています。ダウンジャケットもおすすめですが、最近は化繊綿を使ったモデルにも軽いものが増えてきました」

化繊綿は濡れても保温力が低下しないという特徴がある。形状で考えるならフードがないプルオーバータイプがいちばん軽いが、最終的には使い勝手を考えて判断しよう。

Before

フリース(260g)(左)

中綿入(231g)(右)

パタゴニア マイクロ・パフ・フーディ

【要検討】経験などに応じて取捨選択。

替えがきかない便利アイテムを持つかは、個々人の判断による。

「レインカバーは荷物をドライバッグに入れてしまえば不要かもしれません。水場が乏しいルートでは浄水器があると有利ですが、計画に応じて検討しましょう。サンダルもテント場に着いたときにあると快適で、トレッキングポールを持っていると登り下りがラクになります。テントシートはテントの内側に敷いて結露を防いだり、グラウンドシートの代わりになったりしますが、なくても困ることはないですね」

左上からレインカバー(117g)、テントシート(321g)、浄水器(43g)、トレッキングポール(488g)、サンダル(281g)

【変わらないもの】必須アイテムは軽量化しない。

装備には省けないものもある。地図、コンパス、サバイバルシート、ヘッドランプ、モバイルバッテリー、エマージェンシーキットなどだ。

「ヘッドランプは故障に備えて、必ず予備を持ちましょう。非常用の小型モデルが各社から出ています。エマージェンシーキットの中身は、ガーゼ、絆創膏、常備薬、ゴム手袋など。さらにポイズンリムーバーも用意します。虫に刺されたときに毒素を吸い出すアイテムで、効果はてきめん。すぐに取り出せる場所にパッキングしておきましょう」

total(546g)

【トレッキングシューズも見直そう!】装備の重さで適したモデルが変わる。

荷物が軽くなったらせっかくなので足元も見直したい。

「そもそも剛性が高くて堅牢なハイカットの登山靴は、重たい荷物を背負って歩くことを想定して作られています。足首が固定されて地面の凹凸も感じにくいので疲労を軽減できるメリットがありますが、やや歩きにくいもの事実。装備の軽量化とともに軽快に歩けるトレッキングシューズも視野に入れてお店で試してみるのがいいでしょう」

Before

ローバー/タホープロⅡGTX(1,882g)

After

サロモン/クエスト プライム GTX〔1,211g〕

【不要なもの】無駄なものは置いていく。

テント場ですごす時間や就寝時を快適にしてくれるアイテムはいくらでもある。それをすべて用意していたら軽量化にならないので、ほかの装備で代替えできるものや贅沢品は無駄なものと割り切って、潔く持ちものリストから除外しよう。

「ピローがなくても、スタッフサックに着替えやレインウエアなどを詰め込めば簡易枕を作ることが可能です。ヘッドランプを持っているのでランタンの出番はないですね。座布団もチェアも贅沢品といえるので必要なし。迷わず置いていきましょう」

左上からピロー(51g)、チェア(551g)、ランタン(57g)、座布団(37g)

もっと荷物を軽くしたい場合は

ギリギリまで重量を削ろうとすればいくらでも方法はある。保温着との併用を突き詰めてスリーピングバッグの保温性を極限までダウンさせたり、煮炊きには固形燃料とジャスト400㎖の軽量クッカーを選んだり、レインウエアも探せばもっと軽いモデルは簡単に見つかる。

荷物が軽くなるにつれてバッグパックの容量も小さくなり、フレームが入っていないモデルを選んでもいい。そうなれば足元もローカットのトレイルランニングシューズなどがちょうどよくなるだろう。

「軽量化には快適さや食事の楽しみなどを犠牲にするものも多く、状況によって大きなリスクを伴う可能性もあります。それを良とするかしないかは、人それぞれ。自身の嗜好や経験値と対話して、慎重に判断しましょう」

❶OMM/クラシック32(650g)
❷ゴアウェア/トレイルフーデッドジャケット(174g)
❸イスカ/エア180X(456g)
❹エバニュー/チタンカップ400 FD RED(48g)
❺スポルティバ/アキラ(858g)
❻エスビット/ポケットストーブ(100g)

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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