秋山ではココに注意! 寒さ対策と行動計画がカギ
PEAKS 編集部
- 2021年09月10日
INDEX
短い紅葉適期に合わせて、天気と自分のスケジュールを調整するのが、秋山を楽しむための最大のポイント。この時期だからこそ注意したいことを知り、快適な紅葉ハイクを楽しもう。
文◉木村和也 Text by Kazuya Kimura
写真◉宮田幸司 Photo by Koji Miyata
イラスト◉尚味 Illustration by Naomi
出典◉PEAKS 2019年10月号 No.119
街は夏でも山は冬だと思うべし。
街ではまだ暑くなることはあったとしても、9月になれば秋は着実に深まる。そんなときに注意したいのが「感覚は夏なのに山は秋」という、山と感覚との間に生じるギャップである。
一般に秋は緯度と標高が高いところから深まっていく。たとえば目的の山がいまいる場所より北だったり、標高が高かったりする際には、いまいる場所よりも季節は早く進む。当たり前のことだが、ついつい忘れがちなので、秋山は冬だと思い、十分な防寒対策を心掛けるようにしよう。
その一方、緯度と標高が低ければそのぶん秋は遅くなるともいえる。通常、紅葉最盛期は1週間~10日ほど。秋山を楽しむための最大のポイントは短い紅葉適期に天気と予定を合わせることにあるので、もし一回ダメでも、緯度、標高を変えて山を選べば、違う山で紅葉最盛期を楽しむことができる。周期的に変わりやすい秋の天気に合わせて計画するのが、紅葉ハントのコツだと心得よう。
1. 山の秋は冬並みの寒さ
秋山が寒いのは、体が寒さにまだ慣れていないせいもあるが、太陽の南中高度が低くなり、日照時間が短くなることも原因のひとつ。当然だが、意識だけでなく、物理的にも夏より秋は寒い。だからこそ注意したいのが、まだ寒さに体が慣れていない初秋。秋とはいえ、山は平地の冬並みだと強く意識づけ、防寒ウエアなどをしっかり準備しておきたい。
2. 高山では雪、凍結の恐れあり
夏に比べて気温自体が下がることに加え、標高が上がることで気温が下がることも考えておかねばならない。一般に標高が1,000m上がると6℃下がる。平地が20℃でも標高2,000mでは8℃。加えてこれに風が吹けば、体感温度で零下となるのは普通だ。さらに寒気が下りれば9月でも降雪や凍結も。まさかに備え、軽アイゼン、チェーンスパイクなども視野に入れておこう。
3. 水場が涸れていることも
登山計画で意外な盲点になっているのが秋の水場。とくにテント泊登山を考えているのであれば、秋になって涸れる水場は登山計画の成否に直結する。とくに稜線の水場や雪渓などから水を引く場所などでは注意が必要。事前に近くの山小屋などに問い合わせるか、もし水場が涸れていたり、その可能性が高いのであれば、ルート変更など計画の見直しも考えよう。
4. 活発になる生き物の活動
秋山で注意したいのが “山の住人”。なかでもとくに遭遇したくないのがクマ。そのための対策としてクマ鈴があるが、事前に自治体に問い合わせ、クマ目撃情報を聞いておくことも大切。入山時は多くの登山者が利用するメジャーな登山道を歩くこともポイント。遭ったらどうするかよりも、そもそも遭わないための対策をすることがなによりも大事だ。
5. 小屋の営業時間、公共交通機関に注意
交通機関のダイヤ変更と山小屋の営業状況も必須確認事項。夏に運行のバスは秋には運休、山小屋は8月いっぱいで営業終了……なんてことは十分にありえる。一方で、紅葉時期に合わせて特別便の運行という場合もあるので、その意味でも確認しておくとよい。忘れがちなのはバスの最終便。入山・下山計画に合わせてのダイヤ確認は忘れずに。
6. 落ち葉で登山道が見えにくく、滑りやすい
秋の登山道で意外とやっかいなのが落ち葉。落ち葉が積もることによって道の凹凸が見えにくくなるだけでなく、濡れ落ち葉は想像以上に滑る。秋は、場所や条件によっては雪が降ったり路面が凍結したりすることがあり、そこに落ち葉が積もると見えにくくなることも。落ち葉が多い登山道では、道の凹凸を確認しながらスリップに注意して慎重に歩くようにしよう。
7. 日に日に早くなる日没時間
秋の日中は、日に日に短くなる。登山行動は15時には終了と心得、たとえ日帰り山行だとしても、ヘッドランプや最低限の水、食料、防寒ウエアは忘れずに携行すること。携帯電話などはしっかりと充電しておき、行動中にバッテリー切れにならぬよう配慮することも大切。気温が下がる秋は放電しやすいので、電子機器も “冷え” には注意を。
汗冷えを防ぐアンダーウエアの重要性
ミレー/ドライナミックメッシュショートスリーブ
問:ミレー・マウンテン・グループ・ジャパン
ファイントラック/スキンメッシュT
問:ファイントラック
ベースレイヤーの下に着用することで、汗による濡れ、冷えを感じにくくなるアンダーウエアは、冷え込みが厳しくなるこの時期にこそ活用したいアイテム。選ぶ際にはサイズにも注意を。ジャストフィットの状態がもっともその機能性を発揮するので、身体に合ったサイズを選ぶようにしよう。
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文◉木村和也 Text by Kazuya Kimura
写真◉宮田幸司 Photo by Koji Miyata
イラスト◉尚味 Illustration by Naomi
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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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