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東奔西走! 気まぐれ紅葉サーチトリップ・前編

SNSやブログなど、情報ソースがあふれている現代においても、気まぐれな山の紅葉の最盛期をバッチリ当てるのは至難の技でしょう。ここでは紅葉を追い求めて駆けずり回った取材陣の足跡をご覧いただきつつ、そのなかで体得した紅葉を当てるためのポイントを紹介します。毎年紅葉を外し続けているあなたに必要なのは、徹底的な情報収集力とそれを元にした想像力、そして最後は諦めない心です!

文◉池田 圭 Text by Kei Ikeda
写真◉宇佐美博之 Photo by Hiroyuki Usami
イラスト◉富田 茜 Illustration by Akane Tomita

取材期間◉2019年10月31日~11月1日
出典◉PEAKS 2020年10月号 No.131

ブナの原生林から岩の急斜面や笹原まで雨飾山は多彩な表情を見せる。

山全体が真っ赤に染まるさまはじつに見事。あそこの斜面一帯は色彩の絨毯で覆われるんだ。紅葉の森に射し込む光はステンドグラスのようだったよ――。この時期になると、紅葉にまつわるさまざまな噂話や体験談が耳に入ってくる。しかし、その情報を鵜呑みにして出かけるだけで出会えるほど紅葉は甘くない。ベストな時期は短く、しかも気象条件やらなんやら複合的な要素の影響で見頃が前後するので、予想は非常に困難だ。

山に限ると、早い場所では9月半ばから木々が色づきはじめ、関東近郊で紅葉が楽しめるのは11月半ばくらいまでだろうか。ナナカマドやカエデが燃えるような赤に染まり、黄金色に輝くブナやダケカンバのトンネルの中、フカフカの落ち葉の絨毯を踏み締めて歩く。こんな贅沢な山行ができるのは、1年のうちでも2カ月に満たない。目当ての山で最高の紅葉を当てようと思ったら、チャンスは正味1週間あるかないか。「今年は夏のあいだに、あのルートを大縦走してみたい」なんて計画より、実現の可能性はよっぽど低い。

そんな少ないチャンスを、どの山に使うか。昨年、僕とカメラマンの宇佐美くんは悩んだ末、稜線が紅葉に染まるという飯豊連峰を縦走する計画を立てた。しかも、かなり綿密に。ベストな時期を調べ尽くし、初日の避難小屋を大いに満喫すべく鍋の具材や酒もしこたま用意した。ひと晩かけて東京から数百キロ車をかっ飛ばし、やっとたどり着いた登山口から見上げた稜線はいい具合に色づいていた。登る前から我々はハイタッチを交わしたほどだ。

計画もタイミングも完璧だった。しかし期待を胸に登り始めてすぐ、宇佐美くんが悲鳴を上げた。登山道脇にいたアシナガバチの毒牙に落ちたのである。はい、終了……。

登山口から荒菅沢までは、ブナとカエデの巨木に囲まれた美しい森を行く。これでも十分だが、もう少しだけ早い時期に来られていれば、もっとすごかったらしい。
明け方は落ち葉に霜がつくほど冷え込んだ。昼間は暑いほどの日射しが照りつける。紅葉の条件としては申し分ない。

しかし、いったん燃え上がった紅葉への熱は、東京から山形への日帰りドライブという冷や水をかけられても、そう簡単に冷めなかった。長く虚しい帰路に着く間に、むしろ紅葉に対しての渇望は増しすらした。我々は毒気が抜けたころに、必ずや紅葉へリベンジすること(逆恨み)を誓ったのだった。

数週間後。紅葉の足は早く、飯豊はすでにベストなタイミングを逸してしまった。では、もうちょっと南にあって標高が低くて……と調べてみたところ、雨飾山なんてちょうど良さそうじゃん。

ブナの森に入るとそこそこの急登が続き、風が抜けない。空気は冷たいが汗が滲んでくる。
森はカエデとブナを中心に構成されていた。

雨飾山とは、新潟県と長野県の県境に位置する頸城山塊(頸城アルプス)の最西端に位置する日本百名山、信州百名山のひとつ。深田久弥が、著書『日本百名山』で選んだなかでも、とくに自身のフェイバリットとして挙げている一座である。標高は2000mに満たないが登り応えがあり、紅葉の名所としても知られる。リベンジの舞台としては申し分ない。

紅葉を当てるTIPS ❶「標高でリサーチをかけるべし」

直近の記録を参考に探すなら標高を意識しよう。例えば2,500mの山の2,000m前後が紅葉している写真が掲載されていたら、近隣の山も同じ標高帯の紅葉が美しい可能性が高い。2,000m前後、かつ紅葉する樹種を擁する山を中心にリサーチをかければいいわけだ。

スタート地点には小谷温泉側の登山口を選んだ。暗いうちに到着した駐車場は、紅葉目当てであろう先客たちの車でいっぱいで、否が応でも期待が高まる。開けた窓から車内に流れ込んだ空気はピリッとするほど冷え切っていて、まだ暑さの残る街より山の季節は一歩も二歩も先に進んでいることを感じさせた。

自然が作り出したブナのベンチ。こんな巨木がそこかしこに点在しており、古からの姿を残す豊かな森だった。

登り始めは東面にぐるっと回るように、湿地帯のなかを平坦な木道が延びてゆく。登山道脇に「2/11」と記された標識が目についた。雨飾山には400mごとに目印となる標識が11枚ある。つまり行程は片道4・4㎞。標高差800mほどの道のりを、3~4時間かけてじっくりと登っていく計算だ。

荒菅沢から先は違う山に来たのではないか、と思わされるほど。笹平まで標高差400mほどを一気に上げる急登がこのルートの核心部。浮石に気をつけつつ一歩一歩確実に登ろう。

そこからは少し斜度を上げながら、尾根伝いに歩みを進めていく。ジグザグの登りを経てしばらく、登山道は美しい黄色に染まった巨大なブナが立ち並ぶ原生林に吸い込まれていった。ブナ平の名前どおり、周囲を大きなブナに囲まれた美しい森(5/11)にたどり着くと、そこでは年配の女性登山者がひとり、お弁当とお茶を楽しんでいた。

山頂から谷間を見下ろす。この1週間で紅葉は駆け足で下っていてしまったようだ。

曰く、「1週間前は、まだ紅葉の全盛期にはもう少しの状態だったの。だから、今週また来てみたけれど、数日前の台風で一気に葉っぱが散って紅葉が進んでしまったのね……」と残念そう。なるほど。つまり、我々は今回も紅葉の機を逸してしまったのか。

漁師が海で目印にしたといわれる山頂からの景色は格別。日本海から妙高、斑尾、遠く北アルプスも一望できる。

毎週のように足を運んでいる人でも紅葉を当てられるとは限らない。この森は十二分にすばらしいが、もっと美しい時期があるらしい。まあ、気を取り直して登山自体を楽しむとしよう。

紅葉を当てるTIPS ❷「紅葉の移動スピードを侮るな」

紅葉は1日で標高50mも下るほどスピーディに変化する。ネットに紅葉情報があっても、1週間前の情報だと標高で350mもずれてしまう計算になる。さらに台風など天候にも左右される。情報収集するときは、掲載日を確認して前後の天候も確認すると状況を想像しやすい。

お茶飲んでいけば、お菓子もあるのよ、と誘ってくれる女性に別れを告げ、先を急ぐ。ブナ林を抜け、小さなアップダウンを越え、突然視界がバーンと開ける荒菅沢に着いたら全体の6/11。山頂方面から吹き下ろしてくる心地良い風に火照った体を預けつつ、大休止を入れることにする。森から急に風通しの良い場所に出るからか、景色の良さからか、みんなここで気持ち良さそうに一本入れていく。先ほどの女性曰く、ここの斜面を山頂の方面から徐々に紅葉が下りてくる景色が格別らしい。

山頂から笹平、笹平から荒菅沢への下りパートは、足元が不安定なので事故に注意したい。

布団を干せそうな岩肌だからと命名された布団菱は、石英安山岩や閃緑ひん岩で構成された乳白色の巨大なドーム状の岩盤で、迫力満点な表情で山頂直下に広がっている。冠松次郎や深田久弥が登った時代にはまだ現在の登山道はなく、この沢筋を詰めて山頂に至っている。かなりヌメヌメ系らしいが、沢経験者ならば暑い時期には登山道の混雑を避けて、こちらの行程を選ぶのも涼しそうだ。

雨上がりの森で大量のナメコを発見。ご馳走様です。

※雨飾山では近年紅葉時期の混雑が著しく、2021年10月の土日は入山規制が行なわれます。詳しくは小谷村の公式ページをご確認ください。

>>>後編につづく

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PEAKS 編集部

PEAKS 編集部

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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