テント泊ソロ装備紹介〜小雀陣二さんの場合〜
PEAKS 編集部
- 2021年09月16日
テント泊に山小屋泊、はたまた日帰りでの山行で、登山に関わる業界人はどのようなソロ装備を組んでいるのか? 登山を楽しむ人であれば気になるはずのプロたちの装備を一挙大公開。嵩張る山道具を収めているご自宅の装備収納スペースやライフスタイルと登山のつながりも拝見しました。今回はアウトドアコーディネーター 小雀陣二さんのケースをご紹介します。
文◎小雀陣二 Text by Junji Kosuzume
写真◎亀田正人 Photo by Masato Kameda
出典◎PEAKS特別編集 【最新版】みんなの山道具
道具とともに四半世紀。増え続ける相棒は楽しい思い出と収納。
収納部屋はカオスの世界
片づけが追いつかない。さまざまな道具が収納しきれない。十畳の部屋はまさにカオスだ!
下手くそなサッカー小僧だった自分が社会人になり、MTBでのシングルトラックラン、カヌーでの川下り、登山やハイキングに心を奪われて、それを機にアウトドアアパレルメーカーに転職し、その遊びは広がった。同業他社へ転職し、遊びも人脈もさらに広がることとなった。
同時にそのそれぞれのアクティビティに必要な道具は増え続け、独立してからはさらに拍車をかける。いわゆるオートキャンプ道具であるテーブルやチェアが増え続け、キャンプ料理を誌面などで紹介し始めたことでダッチオーブンやグリルという大きく重い道具がさらに増えていった。料理といえばお皿やその周辺を飾るテーブルクロスや小物、カトラリーと数珠つなぎで増えていく。長きにわたりキャンプ料理、山料理のレシピやコツを紹介しているので、調味料はもちろん、保存できる食材もストックする。
これらは業務用の棚やワイヤーラックを壁面すべてに配置し、アクティビティごとにコンテナなどに仕分けして並べている。
軽くかさばる十個弱ある寝袋と6個あるハードクーラーの半分は棚のいちばん上、残る半分のソフトクーラーは三崎港で営む店(雀家)の倉庫へ配置している。数えたくないテントやタープ、ポール、マットや椅子なども棚に保管。
これだけいろいろ遊んでいると、それぞれのアクティビティに寄ったウエアや道具があるので、さらに数が増える。ウエアのジャケット類、数個あるスノーシューはハンギングし、自転車3台は棚の下と玄関、フォールディングカヤック4艇、パックラフト2艇は押入れの上段、下段はテーブルやグリル。スノーボード、ショートサーフボードは棚の上へ、大事なロングボードは棚の裏と庭に、スキーやポール、釣り竿は立てかけて収納している。
現在、契約アンバサダーに加えてもらっているグレゴリー製品は、大型から小型、コロコロラゲッジ類、トートなど数え切れないくらいあり、棚の上からハンギングしている。
またツーバーナーやシングルバーナー、それに伴うガスやガソリンなどの燃料は、万一火事になったら大変なので適宜対策。料理用の鍋は山用、焚き火でも使うカヤック用や料理教室用で10~15個はあり、キャンプ料理と山料理用といくつ鍋があるのか、即答できないほど。
そのほかにこの業界の知人はみんな持っているボトル類とポットも数本ある。これだけの物量は、買い換えたり、友人に譲ったり、また、売却、交換、廃棄を繰り返しているにも関わらず、いっこうに減らない。
日々の仕事に追われ、車に積み込み収納し、現地で使い、帰宅後、積み下ろしメンテナンスをして洗って乾かして片づけて……、また仕分けして準備と、それを繰り返してもなかなかキレイに片づくことがない。もう長年の悩みだ。この仕事と遊びをしている限り、この物量が半分になることは先の話になるだろう。
まだ仕事としてもアウトドアには関わりたいので、この繰り返しは当分変わらず、道具の片づけは、自分の永遠のテーマとして続く。
仕事はもちろんだが、プライベートでもこれからもいろいろなアクティビティを楽しみたい。MTBやカヤックばかりだと山にも歩きに行きたくなるし、行けば得るものは必ずある。山に登るときに「なんでこんなに荷物背負って歩いているんだ! 辛い……」と思っても、下の写真の唐松岳に登ったときだって満足感に満ちていたのだから。
【テント泊装備】唐松岳紅葉トレッキング(1泊2日)の場合
早春や晩秋の山行では、その天候や風量などで体感する寒さの度合いがまったく異なり変化する。すべての装備をその変化を想定して選ぶ。悩ましい。
今回の目的地は、秋の後半を迎える唐松岳。登りの最初は、白馬八方尾根スキー場のゴンドラリフトを使った、紅葉の残りを楽しむ比較的お手軽な山行だ。
山登りを始めてから、さまざまな道具を使い、ウエアを着こなしてきた。歩けて担げた若いときとは変わってきているし、好みも変わり、道具も進化している。だが、デザインと軽さを重視するあまりに退化しているものもあるから道具選びには気を使いたい。そんななかで選ばれた道具は、軽量化して歩く負担を減らしたもの、使い勝手重視で変わらない装備もある。
今回紹介している装備のなかで基本的に山でしか使わないものはインフレータブルのマット。軽くコンパクトにし、快適さは少し我慢。ほかの装備は山以外にも海や川での旅でも共通しているものがほとんどだ。山、季節、ソロかグループまで含め、基本的に装備は変わるものがあり、それぞれ必要になる。
道具選びの考え方は、「天候が悪化したときでも安心感が在るもの」「できるだけ多用途であること」。そこは変えずにもの選びをして、旅の相棒を決めている。
衣[WEAR]
グレゴリー バルトロ65
容量:65ℓ
総重量:18㎏
(左上から)
- スマートウールの薄手のウールグローブ。肌寒い登坂時には欠かせない。
- ザ・ノース・フェイスのエマージェンシージャケット。軽量で雨風を遮りコンパクト。
- アウトドアリサーチのレインパンツ。サイドジッパー付きでブーツを履いたまま脱ぎ着ができる。
- アイスブレーカーのロングスリーブクルーとアイベックスのミッドレンジのタイツ。ともにウール製で寝間着兼予備。
- マウンテンイクイップメントのダウンパンツ。マルチに活躍。
- アークテリクスのウールビーニー。寒いときに使用。バフのウール製ネックゲイターは首の保温になくてはならない必需品。ソロパッズのハイキングウールソックス。ほどよい着圧でストレスがなく、素材の配合が絶妙で快適。
- パタゴニアの薄手シェルのプルオーバー。重ね着の順番により体感温度を調整する役割をもつ。
- ピークパフォーマンスのダウンライナーフーデットジャケット。今回の装備でいちばん悩んでコンパクト性を重視した。
食[COOK]
(左上から)
- キャメルバッグのボトル。おもにポカリスウェットを入れている。
- パタゴニアプロビジョンズのオーガニックブラックビーンスープ。スープとしてだけではなく、サラダやサンドイッチ、おつまみにも使える優れもの。
- 今回のカトラリーセット。GSIの箸、ヴァーゴのスプーン。ライター。
- SOTOのストームブレーカーとOD缶ガス。分離式が使い勝手がいい。
- プラティパスの2ℓボトル。定番。
- ドライフルーツ。
- チョコバー。
- ドライベジタブル。
- トレイルバター。
- ハリボーコーラ。
- イーグルクリークのポーチにはコーヒー。
- チキンスープの素。
- 緑茶ティーバッグ。
- ユニフレームの山フライパンとウィルドのフォールドアカップビッグ。
住[STAY]
- (中央)マウンテンハードウェアのファントムスパーク。撥水ダウン仕様でマイナス2度対応。
- (左)サーマレストのネオエアーXライト。軽量、コンパクトを優先した装備。
- (右から2番目)テンマク×spurvのグランドハット1のテントポール。全室用を含み3本だが、2本でも設営と使用ができる。
- (右端)テンマク×spurvのグランドハット1テント。企画とデザインに関わり、快適さと軽量化のバランスを考えたテント。
その他[OTHER]
(左上から)
- グレゴリーのサングラスケースとタレックスのサングラス。登山はもちろん車の移動やさまざまなアクティビティで活躍してくれる。
- マイルストーンのMS-B1+。電球色のLEDを採用したヘッドランプ。
- グレゴリーのポーチとアンカーのパワーライン+ライトニングケーブル&バッテリー。いまではすっかり山での装備品となったiPhoneとヘッドランプの充電用。
- アウトドアリサーチのポーチはエマージェンシーセットに基本的な医薬品やその他を。できるだけ他人の治療や修理に対応できるように。ほかは、歯ブラシなどを収納している。軽さにこだわらない装備。
こだわりアイテム
ユニフレーム 山フライパン17cm
アルミ製で内側にフッ素樹脂加工コーティングが施され、調理しやすく、汚れを拭いやすく後片づけが楽。深さ3.5㎝とほどよい深さがあり、多彩な料理を作れる。
アウトドアリサーチ マルチポーチ
エマージェンシーセットを収納。外側にジッパー付きメッシュのポケット。フルオープンでき左右に分けて収納可能。長年使い込んで買い換えたいが、未だ候補なし。
ザ・ノース・フェイス エマージェンシージャケット
175gと軽量で耐摩耗性に優れたダイニーマ素材。山行はもちろん、MTB、カヤックと多用途に活躍。透湿性はほかの生地に劣るが、自分は発熱量が少ないので満足。
テント間取り図
テンマクデザイン×スプルブ グランドハット1
総重量:約2,199g
収容人数:1~2人用
山岳テントの定番であるクロスポール構造に強度向上のために1本ポールをグランドtoグランドで十字に通し、左右に前室を確保。その左右の出入り口から通風も得られ、換気も充分だ。インナー吊り下げ式で設営も容易。
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文◎小雀陣二 Text by Junji Kosuzume
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PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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