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筆とまなざし#241「小川山の岩場にて。厳しい暑さのなかにかすかに漂う秋の気配」

週末は久しぶりの小川山へ。足早にすぎていく季節に置いていかれないように。

ようやく長雨が止み、久しぶりに晴れた週末は小川山へ向かいました。朝晩は涼しくなってきたものの、まだまだ残暑はこれから。それは川上村も同じで、満車の廻り目平に到着すると強烈な日差しが照りつけてきました。初日は、とあるクラックを目指しました。遊歩道から外れて踏み跡をたどり、トポを頼りに進む。ほとんど訪れる人もいない岩で、アプローチには「不明瞭、なるべく岩ぞいに歩く」という注意事項が書かれていました。岩沿いに急斜面を登っていくと、取り付きの開けた岩にたどり着きました。いくつかのラインにボルトが打ってあります。けれども、目指す岩ではありません。逆方向からは明瞭なアプローチのある純情岩だとわかりました。この岩には来たことがないし、ここまで登ってきただけで汗だく。ちょうど右面が陰り始めていたので、とりあえず純情岩で登ることにしました。

尾根に近いのでときおり吹く風は気持ちいいのだけれど日向は灼熱。易しいクラックを登り、トポに記載のないルートを登ってみるととてもおもしろい。4本ほど登り、昼すぎに上部に聳える屋根岩1峰へ行ってみることにしました。

屋根岩1峰には数年前に1度か2度訪れたことがあります。小川山の岩場には、1峰から5峰、そして本峰と、屋根岩と呼ばれる岩峰が6つ並んでいます。それぞれに人気ルートがあり、2峰や3峰にはマルチピッチルートがいくつもあります。1峰はこぢんまりとしながらもおもしろいルートがあって、以前登れなかったルートを触ってみることにしました。

それにしても暑い……。しばらく気温が下がるのを待っている間、周りの風景を眺めながらすごしました。ずいぶん下に駐車場が見え、かなり登ってきたことがわかります。緩やかな谷を埋め尽くす白樺やカラマツの森。沢を挟んで対岸にはお馴染みの岩が一望でき、その右上にはなだらかな金峰山の稜線が見渡せました。夏の青さを残す空に白い雲。その下に横たわる明るい緑の山並み。以前訪れたときには、このすばらしい風景に気がつきませんでした。厳しい暑さのなかにかすかに漂う秋の気配。少しずつ空気が乾燥し、光が黄色味を帯びるこの季節が子どものころから好きでした。そう思うと、ふと中学生のときに好きだった合唱曲を口ずさんでいました。

「人は街に戻り 山は秋の色よ 肩に 赤いとんぼとまれば 思い出は風の中

夏の言葉たどり 歩く今日の道よ 閉じた小屋の ベンチ探せば 消えかけた頭文字

山は高くそびえ 太陽が僕らを呼んだ 山の贈りもの 美しい夏の日よ

遠い空の果てに 響く友の歌よ 草の上に 地図を広げた 思い出は風の中

雲は白く光り尾根を越えて行くよ 明日に込めた願いをのせて 流れるよ どこまでも

山は高くそびえ 太陽が僕らを呼んだ 山の贈りもの 美しい夏の日よ」

音楽の授業で歌っていた「夏の日の贈り物」というこの曲。久しぶりに歌詞を思い出しましたが、山旅の雰囲気を表したなんとも良い歌ではありませんか。

数週間ぶりに外へ登りに来ると7時には真っ暗。いつの間にかすっかり日が短くなっていることに気づきました。足早にすぎていく季節に置いていかれないように、毎日を大切にすごしていこうと思う週末でした。

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

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