笠置山のエリア開拓へ。ひさしぶりのボルダリングに胸が高鳴る。|筆とまなざし#273
成瀬洋平
- 2022年04月06日
「オーガニック」でオーダーメイドしたお気に入りの「ランチバッグチョークバケット」で笠置山の開拓。
小豆島から帰ってから、久しぶりに笠置山に岩掃除に行きました。今年の冬は雪に閉ざされていたため、開拓に行くのはじつに4ヶ月ぶり。ほかのエリアの開拓が一段落したので、以前から気になっていた岩へ向かったのでした。
その岩は既存エリア内にあるのですが、アプローチは笠置山でもっとも遠い。それでも、岩のかっこよさはなかなかのもので、もっとも目に付くラインは5mほどの高さの凹角に刻まれたクラック。そしてクラック右のカンテはとても厳つくて目立ちます。雨予報の肌寒い一日を掃除に当てると、翌日は非常に乾燥した絶好のコンディションとなりました。午前中にチョークをつけながらホールドを丹念に磨き、ほぼほぼ登れる段になりました。岩についた土はチョークを混ぜて磨くことでずいぶんと綺麗に落とすことができるのです。
けれども最近あまりボルダリングをしていないし、この岩は高く、しかも下地が悪い。緊張感のあるクライミングを強いられそうなのは明らかで、心の準備が整っていませんでした。とりあえずトラバース課題を設定してアップ。それほど難しくはなさそうな凹角のクラックを登ってみることにしました。案の定、難しくはないけれど、リップ部分に差しかかると、ひさしぶりに心臓が高鳴りました。予想と違う動きでトップアウト。さらにランディングの悪いラインを3本登りました。そこまで難しくはなくとも心と体をコントロールして登るのは非常に充実し、どの課題も最高でした。
いよいよもっとも難しそうなカンテをトライ。どこからカンテに入っていけばいいのか、最初はまったくできなかったけれど少しずつムーブが組み立っていきました。怖さで一手が出せず、指皮もなくなり疲れも出てきました。これ以上やると怪我をしそうだと、続きは次回にすることにしました。
年始から「オーガニック」の「ランチバッグチョークバケット」という大きめのチョークバッグを使い始めました。オーガニックはコロラド州を本拠地とするクライミングブランド。クラッシュパッドやチョークバッグなどを手作業で生産しており、色や柄がすべて違う。まさに一点ものなのです。国内でも販売されていますが、気に入った配色のものに出会うのはなかなか難しい。そう思っていたところ、とてもうれしいサービスを行なっていることを知りました。なんと本国サイトから、好きな色を3色選び(オプションでカラーを追加できる)、ロゴも選んでオーダーメイドできるのというのです。パターンは作り手にお任せで、到着するまでのお楽しみ。しかも国内で買うよりもずいぶん安い(送料を入れると同額くらい)。ぼくはネイビーをメインに、赤と黄色の3色を選択。年末にオーダーすると2週間ほどで手元に届いたのでした。
すっかりジムでもボルダーでも愛用しているマイランチバッグチョークバケット。開拓のときにはたくさんチョークを使うので大きなこのチョークバッグがとても重宝しています。作り手と使い手の有機的な関係を感じられるアイテム。そこには、商品だけにとどまらないいまの時代を生きるための大切なヒントがあるような気がします。
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