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装備や体重を減らせば、登山はラクになる?|登山と体重のディープな関係【前編】

同じ登山をするなら、ラクに登れたほうがいい。多くの人がそう考えるだろう。そのためには、装備を減らす? 体重も? でも限界がある。そこで! スポーツ生命科学研究の第一人者、鹿屋体育大学・山本正嘉教授の理論を軸に、高所登山に関する多彩なノウハウを持つミウラ・ドルフィンズの宮﨑喜美乃さんに、だれもが活用できる方法論を紐解いてもらった。

文◉山本晃市
イラスト◉高橋未来

「エネルギー消費量」を効率よく減らし、快適な山行スタイルを追求

登山をするうえで、体重は重いよりは軽いほうが有利、装備は必要不可欠なもの以外携行せず、より軽量なほうがいい。こうした認識は、ごく一般的なものだろう。まして8000ⅿ峰やセブンサミッツなど、いわゆる高所登山の場合は、体重装備ともに最大限管理追求することが理想となる。かつてはフォークの先端部分や歯ブラシの柄をぎりぎりまでカットするなど、装備を極限まで徹底して削減するアルピニストもいた。

だが、一般的な登山の場合はどうだろうか?

基本的な考え方は同様だ。人が活動するにはエネルギーが必要不可欠。消費エネルギーが少なければ、それだけ有利であることは間違いない。「ただし……」と、宮㟢喜美乃さんは提言する。一般的な登山においては、体重や装備を切り詰めるだけでなく、多くの人がより実行しやすいもっと現実的な方法、実践しやすい考え方があるという。いったいそれはどんなものなのか?

効率よく消費エネルギーの量を操作する考え方、トータルで低燃費となる、より快適な山行スタイルの方法論を解説してもらう。

まずは適正体重を知る

体重はどんな影響を登山に及ぼすのか。同じ活動量であれば、体重が多いほどエネルギー消費量は増加する。では軽いほどよいのか。一概にそうともいい切れない。たとえば、下りでは体重がある程度あったほうが安定する。体重は多くても少なくてもケガやトラブルに繋がりかねないという。体重が重い軽いという観点は、登山の有利不利に即直結するとはいい難い。左右する要素は、筋肉の質や量、体脂肪率、心肺機能など体力や技術によるところが大きい。体力技術の違いで身体への負担や疲労度は変わってくるが、それらを考慮せず体重が同じであれば、理論上、エネルギー消費量は変わらない。

つまり、エネルギー消費量という観点から考えると、体重と装備重量が登山には大きく関わってくる。この関係性を利用した考え方が山本正嘉教授の理論だ。そこでまず知っておきたい数値が「BMI」。体重と身長という身近な数値から肥満度を表すため、シンプルかつ活用しやすいデータだという。「BMI」判定値は下表のとおり。統計上、登山時の疲労やトラブルがもっとも少ない数値は「21〜23」。まず自身の数値を算出して、次項へ進もう。

BMI=体重kg ÷(身長m)

BM(I Body Mass Index)とは→身長と体重から肥満度を示す体格指数

BMIの目安となる身長と体重

→登山におけるベスト指数は「21~23」

日本肥満学会の判定基準(成人)

※WHO(世界保健機関)の判定基準は「30以上肥満(25以上前肥満)」

登山中のエネルギー消費量に関わる要素

エネルギー消費量は、体重から一定の数値を換算するこが可能だ。個人差はもちろんあるが、前述のとおり理論上は体重の増減に沿ってエネルギー消費量も一定の割合で推移していく。そのため、体重の数値をベースにその他の関連数値を組み合わせることで、登山におけるトータルの「エネルギー消費量」を導き出すことができるのだ。

その公式が、山本正嘉教授が発案した「山の特性×登山者の特性=エネルギー消費量」(下記イラストと数式参照)である。数式だけ見ると少々難しく感じるかもしれないが、考え方はじつにシンプル、非常にわかりやすい。

まず「山の特性(コース指数)」は、「歩行距離」「登り累積標高」「下り累積標高」「歩行時間」の4つの要素から算出する。それぞれの要素によって負荷の度合いが異なるため、山本教授が設定した「係数」をセットにして考える。「0.3」「10.0」「0.6」「1.8」という数字がそれで、各要素の負荷レベルを表した数値(もちろん個人差があるが、公式化のためアベレージを数値化している)になっている。これら各係数を4つの要素に掛けたものが、それぞれの要素の実際の指数となる。この指数の総和が「山の特性(コース指数)」だ。
たとえば、下記に挙げた雲取山コースの場合、「山の特性」は「50」になる。「登山者の特性」は、「体重」と「装備重量」を足すだけでいい。体重60kgの人が10kgの装備で登山する場合、「登山者の特性」は「70」となる。

よって、この登山者が本コースに必要な「エネルギー消費量」は、「50」(山の特性)×「70」(登山者の特性)=「3,500kcal」。下表のとおり、「山の特性」に「登山者の特性」を掛け合わせた数値が「エネルギー消費量」だ。体重が軽いほど「エネルギー消費量」が少なくて済むことがよくわかる。

山の特性登山者の特性

山の特性(4項目)と係数

歩行距離(km)×0.3 + 登り累積標高(km)×10.0 + 下り累積標高(km)×0.6 + 歩行時間(h)×1.8

登山者の特性(2項目)

体重(km)+ 装備重量(kg)

例:「体重60kg、装備重量10 kg」/雲取山(鴨沢~雲取山~鴨沢)コースの場合

●山の特性(コース指数)=50
歩行距離:23.8km / 登り累積標高:2.389 km / 下り累積標高:2.389 km / 歩行時間:9.75h
●登山者の特性(登山者指数)=70
体重:60kg / 装備重量:10kg
⇒ 山の特性50 × 登山者の特性70 = エネルギー消費量3,500kcal

▼雲取山の上記ルート登山中の「体重別エネルギー消費量」

山の特性を知る方法

歩行距離、登り・下り累積標高などは「ヤマレコ」の登山プラン作成機能「ヤマプラ」を使ってルート作成したり、「ヤマレコ」や「ヤマップ」などの山行記録をチェックすれば確認できる。山の特性を計算するとき以外にも役立つので覚えておくと便利だ。

「ヤマレコ」を使って北アルプスの中房温泉〜燕岳(往復)のデータを算出。合計距離、累積標高などが確認できる。ルート作成時はコースタイムもチェック可能

教えてくれた人

宮﨑喜美乃さん

ミウラ・ドルフィンズ勤務。健康運動指導士、低酸素シニアトレーナー。鹿屋体育大学・大学院にて登山の運動生理学を研究し山の世界へ。トレイルランの世界トップレベルで活躍するアスリート。登山ツアーや講習会も随時開催している。

※この記事はPEAKS[2021年5月号 No.138]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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