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男たちの戦い -厳冬編-|旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺 #3

ライチョウ。正しくはニホンライチョウと称し、古来からの山岳信仰において「神の鳥」とも崇め奉られている野生動物である。 私と彼らとの馴れ初めは後日改めて語らせいただくとして、サラリーマンを辞めて山小屋従業員なりその後写真家として独立するくらいには彼らに熱を上げている。これから私がいままで出会った彼らのポピュラーな姿から知られざる生態まで写真とともにお届けしようと思う。

編集◉PEAKS編集部
文・写真◉高橋広平

「男たちの戦い -厳冬編-」

厳冬期のライチョウはオスの群れ、メスの群れと分かれて暮らしていることが多い。
あくまで多い、というだけで必ずしもそうではなく、オスメス共同で暮らしているものもいれば単独で冬を越す者もいる。
種の中で少数派が存在するということは、すなわち「個性」が存在することの裏づけでもある。このような自ら調べた細やかな情報とその理解の積み重ねが、私の中での彼らへの想いの深さに繋がっているといえる。

今回の作品は、明らかにやる気満々のオスと意気消沈しているオスの2羽を捉えた写真だ。具体的にはオスの越冬群内での小競り合いの一幕である。

越冬中のオスたちは前条の通り基本的には群れで生活をしていることが多いのだが、これはこれから迎える春に備えてより良い縄張りを確保するべく小競り合いを繰り返すためであり、それを経てその地域での序列を付けていく。
ライチョウの性格も我々人間同様、個々さまざまである。気の弱い者もいれば、ケンカっ早い荒々しい者もいる。
余談であるが、メスとの接し方も個体ごとに千差万別であり、紳士的なエスコートをこなす者もいれば、輩の如き乱暴者も存在する。
春の繁殖期につがい形成できずにいるオス、通称・アブレオスという悲しき者が一定数いるのだが、もしかしたら単純な強い弱いという基準以外にも、そういう異性への接し方の優劣がつがいを成せるかアブれるかの要因に繋がっているのかもしれない。
とはいえ、野生に生きる以上、最低限の強さは必要であろう。
つがいを成し未来を紡ぐためには、男同士の戦いは避けては通れないのだ。

 

今週のアザーカット

撮影の都合上、独り、闇夜の高山帯を季節を問わず徘徊することがよくある。
この写真はそんな時、ちょうど前回の「月下に集う」の撮影に挑もうと雪を掻き分けていたときに撮影したものだ。
それこそ星景写真は専門の人が撮ればよいと思っているので、ちゃんとしたものはとくには持ち合わせていないが、
それでも撮影山行時の臨場を感じていただければ幸いである。

 


 

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PROFILE

高橋広平

PEAKS / 雷鳥写真家・ライチョウ総合作家

高橋広平

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
Instagram : sundays_photo

高橋広平の記事一覧

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
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