山に持って行ける軽量コンパクトな「ケトル」の魅力を検証!&ケトルカタログ
PEAKS 編集部
- 2023年08月14日
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山に持って行ける軽量コンパクトなケトルの存在は知っていても実際に使ったことがないという人が案外多いということで、湯の沸騰時間を計測したり、どれくらい細く湯を注げるかなどなど気になるケトルの魅力を検証してみました!さて、結果は!!
編集◉PEAKS編集部
文◉ポンチョ
写真◉熊原美惠
検証1:注ぎ具合の違いはどれくらいあるか?
ケトルの最大の特徴である注ぎ口。だからこそ、各ケトルともに大きさ、形状に工夫が見られる。基本となるのが、トランギア/ステンレスノブケトル0.6Lのような太めの円形。ドボドボと一気に湯を注げるが、コーヒードリップに必要な細い湯をつくるのは苦手。逆にMSR /ピカ1Lティーポットは、本体の大きさに対して細めの口が備わり、先端が絞られているので細い湯が得意。今回テストしたなかで唯一、本体横に取っ手のあるエバニューは、角度をつけなくてもスゥ〜と湯を出せ、しかも細い湯、多めの湯と好みの量を調節でき、もっとも扱いやすかった。
1.トランギア/ステンレスノブケトル0.6L
- 素材:アルミニウム(無垢)
- サイズ:約φ135×75mm 容量:0.6ℓ
- 重量:140g
多くのハイカーが愛用しているケトルの新作で、アウトドア用ケトルの基準。リフィルラーメンは収納できるが、110缶は不可。ラバー付きの取っ手は熱くなりにくく、無骨な雰囲気が頼もしい。
細い湯は苦手で、伝い漏れもする。このケトル愛用者のコーヒー好きは、注ぎ口をペンチなどで絞り、細い湯を注げるようにする。そうしたカスタムが魅力のひとつだ。
2.MSR/ピカ1Lティーポット
- 素材:アルミニウム(ハードアナダイズド加工)、フタ:コポリエステル
- サイズ:約φ140×82.5mm
- 容量:1.0ℓ
- 重量:136g
平たいハンドルが持ちやすく、半透明のプラスチック製のフタは、中が見えて吹きこぼれを防げる。底面が広いので湯沸かしも早いだろう。開口部は狭いので、110缶が収納不可なのが残念だ。
大きな本体に対して、注ぎ口はとても繊細。注ぎ口は細く、しかも切れ込みが入っているので、細い湯をつくれる。キレもよく、思いどおりに湯を注げ、気持いい!
3.モンベル/アルパインケトル0.6L
- 素材:アルミニウム合金(ハードアナダイズド加工)
- サイズ:約φ160×75mm 容量:0.6ℓ
- 重量:180g
アルミ合金製、浅型、底面が広いので湯沸かしは早いだろう。高さがないので、110ガス缶は収納不可。コスパがよいので、あともう少し容量があると、さらに使い勝手がよくなるのだが。
テストしたモデルの問題なのか、取っ手が固定されず、水の量が少ないと注ぐ際にフラつく。しかし注ぐ体勢になるとバランスよく、注ぎ口の切れ込みから細い湯が出る。
4.ダグ/バックパッカーケトル
- 素材:アルミニウム(ハードアナダイズド加工)
- サイズ:約φ151×70mm 容量:0.8ℓ
- 重量:191g
シリコンカバー付きの平たい取っ手は、ステンレス製なので、湯沸かししても熱くなりにくいだろう。高さがなく110ガス缶収納不可だが、底面の広いアルミ製なので、沸騰時間は短そうだ。
四角く平たい取っ手が持ちやすく、細長い注ぎ口は切れ込みが入り、細い湯を出せる。容量も0・8ℓとソロ用としては十分。フタにストッパーがないので押さえて注ごう。
5.イーグルプロダクツ/キャンプファイヤーケトル0.7L
- 素材:ステンレス(底部 銅メッキ)
- サイズ:約φ135×50mm
- 容量:0.7ℓ
- 重量:230g
ステンレス製ながら、底部は熱伝導率のよい銅メッキを施し、素早い湯沸かしを実現。ケトル内にはバーナー本体とカトラリー位しか収納できない。北欧ブランドのデザインのよさが所有欲を刺激。
平たい上面に備わった丸い注ぎ口は、繊細な湯を出せそうにないが、実際には細くも太くも自在。細くした際には上面に湯が当たり、伝い漏れも防ぐ仕様になっている。
6.エバニュー/チタンティーポット500
- 素材:チタニウム(取っ手シリコンチューブ)
- サイズ:約φ105×97mm 容量:0.6ℓ
- 重量:110g
深型チタンクッカーのように見えるが、下部の膨らみと、丸みのある縁のあるくちばし型の注ぎ口が、繊細な注ぎを可能にするケトル。110ガス缶に加え小型バーナーも収納でき、便利。
本体横側に備わった取っ手によって、小さな傾きで湯を注げる。また金属加工に長けた新潟県燕市で加工されたケトルだけに、繊細な湯の注ぎは今回随一。さすがだ!
検証2:意外と収納力がある!
深型クッカーと比べると、収納力に劣るケトル。今回集めたモデルは容量が小さいこともあり、110ガス缶とバーナー本体、さらにカトラリーまで収納できるものはほとんどない。だが、リフィルラーメンとカトラリーは大半が収納でき、バーナー本体とカトラリーならすべて収納可能。ガス缶は別と割り切れば、使い勝手は問題ない。
その他、誌面では「検証3:材質や形状、大きさで沸騰時間は変わるのか?」「検証4:クッカーに収めやすい!」「検証5:ラーメンも作れる!」「検証6:吹きこぼれに注意!」を実施。ケトルの特性や各モデルの違いを検証しています!
ケトルカタログ
検証で紹介した6モデルの他、15モデルを掲載。
1.ベルモント/アルミケトル0.8L
- 素材:アルミニウム(ハードアルマイト加工)
- サイズ:約φ146×100mm
- 容量:0.8ℓ
- 重量:178g
茶釜的形状は見た目にかわいいだけでなく、底面がストーブの火をしっかり受けて、湯沸かしも早い。110ガス缶とバーナーによっては本体も収納可能。注ぎ口は切れ込みも備わり、使いやすい。
2.ハイマウント/ドリップケトル 600ml
- 素材:アルミニウム(アルマイト加工)
- サイズ:約φ170×95mm
- 容量:0.7ℓ
- 重量:140g
通常のアウトドアケトルはドリップしづらいが、このケトルはフィールドでおいしいハンドドリップコーヒーの湯を注ぐために開発された。注ぎ口は収納時に出っ張るが、おいしいコーヒーのためなら問題なし。
3.エスビット/ウォーターケトル 0.6ℓ
- 素材:アルミニウム(ハードアナダイズド加工)
- サイズ:約φ133×70mm
- 容量:0.6ℓ
- 重量:140g
シンプルさが特徴で、全体的に丸みを感じさせるデザインは、エスビットの無骨さに反して愛らしい。注ぎ口は太めの円形、110ガス缶収納不可だが、使いにくさは感じない。固形燃料でスローに楽しみたい。
4.コールマン/パックアウェイケトル/0.6ℓ
- 素材:アルミニウム(ハードアナダイズド加工)
- サイズ:約150×130×80mm
- 容量:0.6ℓ
- 重量:150g
キャンプのイメージが強いコールマンだが、これは山でも十分に使えるスペックあり。110ガス缶は収納できないが、湯を最後まで注ぐために傾けてもフタが外れない設計など、気の利いた機能を装備する。
5.プリムス/トレックポット0.6ℓ
- 素材:アルミニウム(ハードアルマイト加工)
- サイズ:約φ94×90mm
- 容量:0.6ℓ
- 重量:140g
フタには湯切り口と赤いシリコン製のツマミを備え、取っ手は着脱式。調理もできるように内側はセラミックコーティングが施されているクッカー寄りのケトル。小さいけれど、110缶とバーナー本体も収納可能。
6.トランギア/オープンファイアケトル0.9ℓ
- 素材:アルミニウム(無垢)
- サイズ:約φ135×95mm
- 容量:0.9ℓ
- 重量:188g
横に突き出た取っ手は着脱式。大きめなのでしっかり握れ、急須のように湯を注げて日本的。大きめなので110ガス缶は収納可能。フタのツマミはステンレス製の焚火仕様なので、山以外にも活用範囲は広い。
7.MSR/チタンケトル
- 素材:チタン
- サイズ:約φ120×88mm
- 容量:0.85ℓ
- 重量:118g
110ガス缶、キャップを外した250缶も収納可能。底面を広く、高さを抑えた形状はチタンの熱伝導率の低さを改善しようとしていることが、今回のテストで理解できた。容量はソロでもこれくらいあるといい。
8.シートゥサミット/X-ポット ケトル
- 素材:底面アルミニウム、側面シリコン
- サイズ:約φ145×89mm
- 容量:1.3ℓ
- 重量:186g
蛇腹状のシリコン製ケトルで、折りたたむと厚さ3.5㎝と薄くできる。フタは半透明で湯沸かし状態を目視可能。開口部が広いので、麺類をゆでるのにぴったり。この大きさで186gの軽さもポイントだ!
9.オプティマス/ケトル
- 素材:アルミニウム(ハードアルマイト加工)
- サイズ:約φ151×160mm
- 容量:0.7ℓ
- 重量:153g
マルチフューエルバーナーで知られるオプティマスのクラシックな雰囲気のケトル。平たい形状で熱効率はよいが、ガス缶が入る高さはない。取っ手の保護パーツは持ちやすく、細い湯の注ぎも可能だ。
10.プリムス/ライテック・ケトル0.9
- 素材:アルミニウム(ハードアナダイズド加工)
- サイズ:約φ155×81mm
- 容量:0.8ℓ
- 重量:166g
商品名には0.9とあるが、実容量は0.8ℓ。110ガス缶は倒立させて収納すると、フタがジャスト浮くが、袋に入れれば大丈夫。樹脂製のハンドルがもう少し長いと使いやすいが、注ぎ口は絞られ細い湯も得意。
11.ロゴス/LOGOS ザ・ケトル
- 素材:アルミニウム(ハードアルマイト加工)
- サイズ:約φ150×62mm
- 容量:0.75ℓ
- 重量:150g
同容量のケトルと比べて底面を広く取っているので、湯が早く沸く。フタのツマミは樹脂製ながら、指を掛けやすい。注ぎ口には切れ込みが入り、コーヒードリップも上手くできそうな細い湯が可能だ。
12.ユニフレーム/山ケトル700
- 素材:アルミニウム(アルマイト加工)
- サイズ:約φ147×71mm
- 容量:0.7ℓ
- 重量:163g
ステンレス製のハンドルは、ほかとは違うデザインを主張。指に沿う形状になっていて操作もしやすい。注ぎ口は細く、切れ込みも装備。110ガス缶は、ケトルのフタを反転させれば収納することができた!
13.キャプテンスタッグ/アルミキャンピングケットル700ml
- 素材:アルミニウム(ハードアルマイト加工)
- サイズ:約130×150×77mm
- 容量:0.7ℓ
- 重量:137g
アルミ製ケトルのなかでも最軽量の部類に入り、底面も広いので湯沸かしも早いことが想像できる。取っ手だけでなく、フタのツマミまでシリコンチューブが施される気配りがうれしい。110ガス缶は収納不可。
14.GSI/ハルライト ケトリスト2.0
- 素材:アルミニウム(ハードアナダイズド加工)
- サイズ:約φ153×85mm
- 容量:1.0ℓ
- 重量:315g(ケトルのみ198g)
ボウル、マグ、フタ、スポークがケトル内に標準装備されるセット。ロングトレイルを行くハイカーの要望を具現化したもので、使い勝手は最高。110ガス缶も、ボウルのフタを取ればケトル内に収納可能。
15.キャプテンスタッグ/チタン製 ケットルクッカー900ml
- 素材:チタン(表面シリコン樹脂塗装)
- サイズ:約φ125×72mm
- 容量:0.9ℓ
- 重量:150g
ハンドルの向きを変えられ、ケトル的にも、クッカー的にも使用可能。大きな注ぎ口はカップ麺に注ぐにはいいが、コーヒードリップには繊細さに欠ける。実際に使用する際の容量は0.6ℓで、110ガス缶収納可能。
※この記事は[PEAKSアーカイブ 山ごはんガイド]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。