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【PEAKSギアレビュー】“地図が見られる腕時計” 第4の選択肢となり得るか? Amazfit T-Rex 3

日々、多くの登山用具に触れ、山で使い込んでいるPEAKS編集部とライター陣が、「これは!」と感じた道具を現場主義でレビューします。実際に自身が山で使っているものにかぎり、その良いところも悪いところも登山者目線でレポートするのがこのコーナーの基本方針。今回は注目が集まりつつある「地図が見られるスマートウォッチ」の最新モデル。

文・写真◉森山憲一

 

地図が見られるAmazfit T-Rex 3

山を歩きながら、「どこまで来たかな」と知りたくなったとき、パッと腕時計を見るだけで現在地がわかるとどんなに便利だろう。

そんな動機からスマートウォッチを使い始めて約3年。いくつかのモデルを実際に山で使ってきて、使用感についてレポートを書いたりもしてきました。

地形図が見られる最新スマートウォッチ、TicWatch Pro 5を登山で使ってみた!

 

現在、地図を見られるスマートウォッチは大きく分けて以下の3つがあります。

1)Apple Watch
2)Wear OS by Googleウォッチ(Google Pixel Watchや、Galaxy Watch、TicWatchなど)
3)Garmin、Coros、Suunto、Polarなどの上級モデル

1と2はYAMAPやヤマレコのアプリが使えて、地図の見やすさでは最高なのだけど、バッテリーがあまり持たず、泊まりの山行では使いにくいという欠点があります。3は非常に多機能・高性能で、バッテリーも長持ちしますが、YAMAPやヤマレコアプリは使えず、しかもかなり高価という難点があります。

しかし近ごろ、3に属するモデルながら、ほどほどの価格帯で地図が見られるものがいくつか登場してきました。これまで3の地図対応モデルは10万円前後もしていたところ、5万円前後のものが登場してきているのです。この価格差は「第4の選択肢」といってもいいのではないでしょうか!?

その代表格は、Coros APEX 2(49,610円)、そしてSuunto RACE S(64,900円)。どちらもアウトドア界で実績あるブランドで、高価格モデルの一部機能を削ることでこの価格を実現しています。

さらに、そこに殴り込みをかけようとする新興勢力もあります。それが今回レポートするAmazfit T-Rex 3(39,900円)です。Amazfit(アマズフィット)はフィットネスや日常用モデルで人気のブランドですが、近年、アウトドアモデルに力を入れており、ついに地図表示モデルをリリースしたというわけです。

実は私、これの前身モデルとなるT-Rex 2というスマートウォッチを持っており、特に地図が重要でない山行ではもっぱらこれを愛用してきました。

T-Rex 2の使い勝手についてはかなり満足しており、「これで地図表示ができたら最強なのにな~」と思っていたところ、まさにそういうモデルが登場したということです。これは期待せざるを得ないところであります。

なにはともあれマップ機能をチェック

早速ですが、私が最も気になっているところ、そして読者のみなさんも気になるであろう、地図表示機能についてチェックしてみようと思います。

実際に山で地図を表示させてみたところ、こんな感じでした。

赤線は予定コース、青線は歩いてきた軌跡です。GPSはバッチリ機能しているようですね。等高線はカクついてはいるものの、表示はそこそこ細かく、地形判断にも使えそうです。

ですが! 情報量が少ない!! 登山道表示はありますが薄くて視認しづらく(画面中央の矢印から左下に延びる薄いグレーの線が登山道)、そして標高表記や山名表記がかなり少ないのも物足りないところ。

 

同じ場所でGarmin(Forerunner 955)の地図を見るとこんな感じです。山名表記は同じくありませんが、T-Rex 3よりは情報量が多く、山岳地図としてわかりやすいものになっています。登山道表示(左下に延びる赤破線に注目)も比較的明瞭。上位機種のFenix 8では、よりサイズが大きく、より解像度の高いディスプレイを備えていて、さらに地図が見やすくなっています(ただし価格も倍くらいになる)。

 

そしてTicWatch Pro 5でYAMAPの地図を表示させるとこんな感じ。やはり圧倒的に見やすい! 山名表記はあるし、登山道もわかりやすく、等高線の精度も文句なしであります。

 

今度は別の場所でチェック。

これ、どこだかわかりますでしょうか? 有名な山の山頂です。

 

Garminで見るとこんな感じ。

 

そしてTicWatch。正解は谷川岳山頂でした。T-Rex 3もGarminも、谷川岳の山頂を示してくれないのはつらい。もう少し文字情報を増やしてほしいところ(Garminは別売りの地図データをインストールすれば情報量を増やすこともできますが)。

 

道の表記はなぜか充実

一方で、道の名前についてはけっこう表示されていたりします。

 

「林道大名栗線」

登山中に遭遇する林道の名前は律儀に表示されています。

 

「水沢林道」「菩提林道」「表丹沢林道」

丹沢はホームマウンテンなのだけど、そんな林道名がついているなんて知らなかった!

 

「ぐんま県境稜線トレイル」

比較的新しいトレイル名で、そんなところまでなぜかフォロー。ただし、ここ、仙ノ倉山の山頂なのです。ぐんま県境稜線トレイルを表示するなら、山名も表示してくれよ! 仙ノ倉山って日本二百名山だよ!

 

過度に期待するものではないけれど

ということで、T-Rex 3の地図表示機能、登山でガッツリ使えるほどのクオリティではありませんでした。地図機能を積極的に使いたいという人には、やはりApple WatchやTicWatchなどをおすすめします。

とはいえ、ないよりはもちろんマシです。下の写真は、同じ場所でT-Rex 3と前作T-Rex 2を表示させたもの。T-Rex 2には予定ルートの線が表示されるだけで、等高線や文字情報が一切表示されないので、現在地がどこなのかはほぼわかりません。それに比べるとT-Rex 3はだいぶ判断しやすくなっているとはいえるでしょう。

 

あと、冒頭に書いた「3」カテゴリーのなかではGarminの地図はやや別格といえて、CorosやSuuntoの地図はT-Rex 3と大差ないので、価格を考えればかなり健闘しているともいえると思います。

 

T-Rex 3の進化ポイント

地図機能以外では、前作T-Rex 2からの主な進化ポイントは以下のとおり。

・画面が大きく見やすくなった(1.39インチ→1.5インチ)
・バッテリー駆動時間アップ(最大24日間→最大27日間)
・丈夫な金属製ベゼル採用
・最新OS搭載

最も体感しやすい進化は画面が見やすくなったことでしょう。1.5インチというのは、Amazfitに限らず現在のスマートウォッチのなかでは最大クラス。大きくなっただけでなく、輝度も上がっているようです。バッテリー駆動時間はスペック上では上がっていますが、実際に使ってみたところ、体感できるほどの差は感じませんでした。

個人的にうれしいのは画面が大型化して金属製ベゼルを採用したにもかかわらず、重量が前作とほとんど変わらないところ(T-Rex 2:66g、T-Rex 3:68g/いずれもバンド込み実測)。大ぶりなウォッチながら、腕に付けていてあまり負担を感じません。付けたまま寝たりもよくしていますが、ストレスはありません。

基本機能に関しては、以前、自分のブログに書いたT-Rex 2の記事を参照してください。使い方等はこれとほぼ変わりません。残念というかご愛敬というか、一部日本語化がおかしいところも変わらず引き継がれていて、そのひとつがこれ。

モード選択画面なのですが、「クライミング」とあるのは登山のことで、内容は「ハイキング」と変わりません。これ知っていないと戸惑うので、直してほしかったのですが、直ってませんでした。まあ、一度覚えればいいことなので、私はもっぱら「クライミング」モードを使って登山しています。

 

地図を見られるモデルは他にも

さて、T-Rex 3最大のウリである地図機能、実はAmazfitの他の機種でも使えます。この夏に大型アップデートが行なわれて使えるようになりました。

 

ひとつは、T-Rex 3の上位機種「T-Rex Ultra」(49,900円)。金属ボディで高級感があり、所有満足度の高いモデルです。

 

もうひとつはランニング用ウォッチの「Cheetah Pro」(29,900円)。ボタン操作非対応とか防水レベルがT-Rex 3より劣るとかありますが、内部機能はほぼ同じ。なにより、44gとグッと軽くてコンパクト。雪山とかハードな環境で使わないのであれば、登山者にも実はこれ狙い目なんじゃないかと思っています。

Amazfitのスマートウォッチ、地図機能ではApple WatchやTicWatchに及ばす、多機能性とかGPSの精度ではGarminに及びません。しかしその「どれもそこそこ」というところが、気軽な使用にはかえってよいポイントだと感じています。

ガチランナーにはGarminやCorosのほうが絶対いいし、地図こだわり派にはApple WatchかTicWatchをすすめます。しかしそうした尖った機能を求めない普通の登山者には、シンプルでわかりやすいAmazfitのほうが使いやすいのではないかと思うのです。しかも安い。なんだかモンベル的な立ち位置のウォッチブランドだなと感じます。

実際、私も常用しているのはAmazfitです。使い方を勉強したり複雑な操作を必要とすることがなく、直感的に使えるところが気に入っています。地図が期待したほどではなかったのが残念ですが、全体的には好ましい進化となったので、今後はT-Rex 3を使っていこうと思っています。

 

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PROFILE

森山憲一

PEAKS / 山岳ライター

森山憲一

『山と溪谷』『ROCK & SNOW』『PEAKS』編集部を経て、現在はフリーランスのライター。高尾山からエベレストまで全般に詳しいが、とくに好きなジャンルはクライミングや冒険系。個人ブログ https://www.moriyamakenichi.com

森山憲一の記事一覧

『山と溪谷』『ROCK & SNOW』『PEAKS』編集部を経て、現在はフリーランスのライター。高尾山からエベレストまで全般に詳しいが、とくに好きなジャンルはクライミングや冒険系。個人ブログ https://www.moriyamakenichi.com

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