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大きな富士山が眺められる山梨の岩場で冬のクライミングを楽しむ|筆とまなざし#409

寒い雪の日には、冬でも暖かく晴れている甲府の岩場へ。

この冬いちばん強い寒波がやってくると、岐阜でも連日雪が降り続いた。アトリエで絵筆を握る手も悴んでくる。そういえば、子どものころはこのくらいの寒さが当たり前だった。かまくらが作れるくらいには雪が積もっていたし、肥料袋をソリにして毎日遊んだ。30年前と比べるとすっかり雪は少なくなり、凍えるような寒さの日もなくなったが、この数日は幼いころの記憶がふと蘇るほど冷え込み、家の周りはすっかり雪化粧してときどき差し込む陽光に輝いている。おかげで近くの岩場がすっかりクローズド状態になったのはいうまでもない。

甲府市郊外の岩場に行こうと思ったのは、こんなときでも晴れていることが多いからだった。南向きの岩場で冬でも暖かいという。半信半疑ではあったが、天気予報を見るとたしかに晴れマークが付いている。一度訪れてみたいと思っていた岩場でもあるし、触ってみたかったルートもある。1泊2日の予定で出かけてみることにした。

パートナーは名古屋在住のSさん。元々同じ山岳会に所属していて、以前はフリークライミングのみならず冬のバリエーションルートなどにもいっしょに出かけたことがある。この数年はすっかりご無沙汰していたのだが、昨年仕事を辞めて登りまくっているそうだ。ひさしぶりに誘ってみたらふたつ返事でOKの連絡がきた。

絶景を眺められ、クライミングエリアが多数ある甲府はクライマーにとって魅力の地。

1日目は花崗岩の岩場、2日目はボルトルート主体の兜山で登った。葉を落としたコナラの森に暖かな日差しが降り注ぐ。明るくてとても心地よい山である。標高は600mほどでそれなりに高いのだけれど、日差しがあると手が滑るほど暖かい。ルートもおもしろいが魅力的なのはその景色で、兜山からは甲府の街並みが見渡せ、御坂山塊の向こうに富士山が大きく眺められるのだった。富士山は岩場への道中からも臨め、山梨の人たちは毎日この景色を眺めながら生活しているんだなと感慨に耽る。

いわずもがな、甲府の南西には南アルプスが、北部には奥秩父の山々がそびえ、八ヶ岳もすぐ近くである。しかも今回訪れたふたつの岩場のほかに、太刀岡山、甲府幕岩、瑞牆、小川山も近く、ボルダーエリアも多数ある。ちなみに松本には北アルプスはあるものの近くにフリークライミングの岩場はないので、同じ山岳都市といえどもこの点の違いは大きい。最近、甲府市にほど近い韮崎市に移住するクライマーが多いが、なるほどと思わず頷いてしまう。

友人のおかげで楽しいクライミング行となった2日間。目標となるルートにも触れたし、モチベーションも沸々と湧いてきた。寒波も落ち着き、今日はひさしぶりに青空が戻ってきた。日に日に強くなる初春の日差しが気持ちを後押ししてくれる。

著者:ライター・絵描き・クライマー/成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ、在住。 山やクライミングでのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作したアトリエ小屋で制作に取り組みながら、地元の岩場に通い、各地へクライミングトリップに出かけるのが楽しみ。日本山岳ガイド協会認定フリークライミングインストラクターでもあり、クライミング講習会も行なっている。

https://www.naruseyohei.com

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

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