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イラストエッセイスト・松鳥むうの「山のふもとのゲストハウス案内」#2 ゲストハウス空穂宿(山梨県韮崎市)

その土地の暮らしに寄り添いながら、訪れた旅人を優しく迎え入れてくれる宿、ゲストハウス。全国各地に点在するゲストハウスを100軒以上訪ねてきた、イラストエッセイストの松鳥むうさんが、山歩きの拠点にもおすすめのゲストハウスを紹介する連載。2軒目は、南アルプス・甲斐駒ヶ岳や金峰・瑞牆山のふもと韮崎市の「ゲストハウス空穂宿」です。

とある年の大晦日。多くのゲストで囲炉裏を囲んでの宴。年越しイベントが開催されていたので、この日は超豪華!

囲炉裏を囲みながら過ごす夜

山梨県韮崎市は茅ヶ岳のふもとに、60戸ほどの小さな集落"柳平"がある。地元の人たちは"やんでーら"と呼ぶ。その集落を見渡すようなちょっと高台に「ゲストハウス空穂宿(くぼしゅく)」はある。養蚕農家さんの家だったという築約76年の2階建の古民家。うねりの曲線美が見事な太く大きな梁やぬくもりを感じる土壁。踏みしめるほどにキシキシ心地良い音できしむ少し急な木の階段。そして、1階の共有スペースにはいまも現役の囲炉裏がある。山裾のやんでーらの冬は下界よりも寒い。空穂宿では必然と、宿主もゲストも誰ともなしに囲炉裏に集まって来る。そして、火の温かさをじんわりと肌に感じながら宴がはじまるのだ。その時々のゲストによって、賑やかだったり、ほんわかだったり。

食事&キッチンの提供はないので、各自持ち寄りか、もしくはどこかで食べて来るか。だが、なぜか、酒メニュー(有料)だけはやたらと豊富な空穂宿(笑)。宿主であるオジィ(と、言っても、お歳を召したおじいちゃんではない)が酒好きなコトもあり、ザッとメニュー表を見ただけでも、焼酎12種類、泡盛32種類!さらに、オカミ(女将)お手製の自家製酒のラインナップも心揺すぶられる。定番の梅酒はもちろん、桑の実酒まである。元養蚕農家の古民家で呑む桑の実酒だなんて、古に想いを馳せてしまう。

2階がゲストの部屋。タイミングによっては追加料金で個室利用も可能。Wi-Fiはないので、半デジタルデトックスな日にするのにも良いかも♪

夏は、下界よりも涼しい立地の空穂宿。オジィ手作りのウッドデッキで、さわやかな風にあたりながら、ごろごろ過ごす時間もたまらない。チェックアウト後も、空穂宿の下に広がる青々とした畑と広すぎる青空を、飽きずにずーっと眺めてしまう。出かけるコトも、すっかり忘れてしまうほどに。

ゆったりとした空気感を醸し出す宿主・オジィとオカミ

なんでも手作り好きなオカミは、畑でも季節折々の野菜を作っている。朝食(有料)を頼むと、その野菜たちが色とりどりと盛られてやってくる。それを、囲炉裏の縁に並べて頂く朝のひととき。何もかもが急速にうごめく現代に、こんな朝を過ごせる場所があったのだと改めて気がつかせられる。

空穂宿で過ごす時間は、何もかもゆったりと過ぎて行く。それは、きっと、オジィとオカミのゆったりとした人柄が建物にも空気にもゲストにも、自然と染みわたってくるからなのだと思う。オカミは生まれも育ちも、富士山のお膝元である河口湖。町のどこにいても見える、雄大な富士山とオカミのゆったり感は重なる。そして、オジィは全国津々浦々の巨樹を訪ね歩くほどの巨樹好きだ。巨樹に抱かれたオジィの姿は、もはや現代の仙人のようである。

茅ヶ岳へ行く前夜、もしくは、下山した夜。空穂宿で、たゆたゆとまどろむ時間を、ぜひ全身で感じてほしい。オジィとオカミとともに、囲炉裏の火をゆるゆると眺めながら。

ゲストハウス空穂宿

宿泊料金:1人3,000円~(寝袋&マット持参割引あり、季節により値段変動あり)、朝食1人600円
TEL.0551-21-2560(8:00~21:00)
https://www.kuboshuku.com/

空穂宿を拠点に歩きたい、茅ヶ岳

茅ヶ岳への玄関口のひとつ、深田記念公園まで空穂宿から車で約5分。標高1,704mの山頂からは、南アルプスや八ヶ岳、富士山など、360度の絶景を楽しむことができます(歩行時間は上り2時間30分ほど)。11月中旬をすぎると、凍結や積雪があることもあるので、装備の準備と天気予報の確認を忘れずに!

松鳥むう

イラストエッセイスト。離島とゲストハウスと滋賀県内の民俗行事をめぐる旅がライフワーク。訪れた日本の島は107島。今までに訪れたゲストハウスは100軒以上。その土地の日常のくらしに、ちょこっとお邪魔させてもらうコトが好き。著書に『島旅ひとりっぷ』(小学館)、『ちょこ旅沖縄+離島かいてーばん』『ちょこ旅小笠原&伊豆諸島かいてーばん』(スタンダーズ)、『ちょこ旅瀬戸内』(アスペクト)、『日本てくてくゲストハウスめぐり』(ダイヤモンド社)、『あちこち島ごはん』(芳文社)、『おばあちゃんとわたし』(方丈社)、『島好き最後の聖地 トカラ列島 秘境さんぽ』(西日本出版社)、『初めてのひとり旅』(エイ出版社)等。Podcast&Radiotalk はじめました。http://muu-m.com/

Podcast→「松鳥むう」で検索
Radiotalk→https://radiotalk.jp/program/65843
YouTube→https://www.youtube.com/channel/UCxyShAwsgXNraXA2PVOrcLg

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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