my銛(モリ)を持っていざ西伊豆へ魚突き!【登山ガイド・渡辺佐智の“うみのさち”】

登山ガイドの渡辺佐智さんが、自然の中で採れる旬のごちそうを追ってあちこちへ。さて今回のごちそうは?

さてさて、今回は山を飛び出しひさしぶりの海へ、西伊豆で銛で魚突きをしてきました。突くまでの魚との駆け引きは心理戦でした!

【石部のカワハギ】
カワハギ科
生息場所:岩礁
旬:夏は身、秋から冬は肝
名前の由来:皮を簡単にはがせることから

○教えてもらった名人
橋 民吉さん

静岡県西伊豆に構える温泉宿、石部荘のご主人。石部温泉こらっしゃい会の会長。十数年ぶりの再開にも変わらず笑顔で迎えてくださいました。元小学校の教頭先生。
http://ishibusou.com/

銛を手に、海に潜り、魚を突いてきました

海の中は森、魚は鳥のようだ。満潮になり、色とりどりの魚たちはごはんの時間。餌探しに夢中のカワハギは、ひらりと泳いでは岩についたなにかをついばんでいる。カワハギがちらりと私を見た。私は貴方なんて興味ありませんよ、と素知らぬふりをして、視線をそらして口笛を吹く(気分だ)。一方、右手に持っていた銛のゴムを引き絞り握りしめ、いつでも銛を放てるように持ち直した。いまはゆったり泳いでいるこのカワハギも、殺気を気取られたら最後、ぴゅーっとものすごい速さでこの場を去ってしまうだろう。そうしたら、私の泳力では追いつけるはずもない。知らんぷりを決め込んで、カワハギが銛の射程圏内に入るようじりじりと追っていく。最初は警戒していたカワハギも徐々に気がゆるみ始めたのか、真後ろを見せて餌をついばみはじめた。すでに射程圏内だが、魚の尾側は銛の的になる範囲が狭いので、いまここで突いても取り逃がす可能性が高い。カワハギが真横を向く瞬間まで、焦ってはならないのだ。

初めて石部で魚突きをしたのは、15年くらい前だろうか。母が石部の棚田のトラスト運動に参加していたことからこの土地を幾度か訪れていた私は、石部荘のご主人から魚突きができることを知り、海が温かくなるとmy銛を持って出かけたものだった。山の仕事を始めてからは訪れていなかったが、「やまのさち」連載を始めたときに、ときどき「うみのさち」を入れようと思ったのは、石部を思い出したからだ。山と海はつながっていて、海と山は切り離せない。

この小さな石部地区は谷状の地形の中にあり、山と海の境目に集落が存在する。背後の山から流れ出た水は、上部の棚田を潤し、家々の間を通り、海に注ぎ込むのだ。山の水は海藻を豊かにし、春から初夏はひじきがおいしい。てんぐさから作るところてんも名物だ。

ズバンッ、とカワハギに命中した。手から離れているはずの銛を介して魚の肉を貫く感触が伝わってきて、収獲の高揚感とともに、私の心臓はギリっと痛む。皮を剥いで、それから命をいただいた。

銛は釣りよりも狩猟に近い。直接的な狩りの方法。自分の動物的能力が試される。

my銛(モリ)を持っていざ西伊豆へ魚突き!【登山ガイド・渡辺佐智の“うみのさち”】

1.海に入る前に、まずはよく見る。うねりの方向、潮の流れを観察し、狙う場所を陸から打ち合わせる
2.海底まで潜り、岩陰を1つずつチェックしていく橋名人は潜水時間が長い
3.獲った魚が逃げないように浮きにつなげておく。名人収獲のブダイ、カワハギ、網の中にタコがいる

寒い時期は肝臓に脂肪をためるので、弾力のある白身を刺身にして濃厚な肝醤油で食べるのもおすすめ。

my銛(モリ)を持っていざ西伊豆へ魚突き!【登山ガイド・渡辺佐智の“うみのさち”】

1.頭を落とし内臓をとり、洋服を一枚脱ぐようにつるりと皮を剥ぐことができる。右上は、はいだ皮。
2.今回は蒸していただく。お皿に葱と生姜を盛り、その上にカワハギを置き、日本酒を振りかける。
3.蒸し上がったら、白髪葱を盛りつけ、煙がでるまで熱したピーナッツ油と醤油をかけてどうぞ。

○渡辺佐智(わたなべさち)
登山ガイド。自然の中で体を動かし、
おいしいものを食べることを愛する。
安全登山のための情報をウエブサイトでも発信。
www.yamanosachi.jp
やまのさちサイトで番外編を公開中!
yamanosachiROGO
http://www.yamanosachi.jp/bangai.html

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