霧に包まれた山で見つけた瑞々しく柔らかい極上のフキ【登山ガイド・渡辺佐智の“やまのさち”】

登山ガイドの渡辺佐智さんが、自然の中で採れる旬のごちそうを追ってあちこちの山へ。さて今回のごちそうは?

梅雨の真っ只中、雨に濡れたフキの葉は手のひらを広げて、これから始まる夏を迎えているようでした

【新潟県・越後湯沢のフキ】
キク科
旬:フキノトウ(蕾)3~4月、フキ(茎)5~7月
日本原産

○教えてもらった名人
飯田千香子さん
プロスノーボーダー/登山ガイド/庭師。ライフワークはスノーボード片手に雪山を旅すること。山の仲間や企業とともに自然に関わるさまざまなプロジェクトに取り組む。現在は新潟の酒蔵にて森とお庭を製作中!
www.officechicka.net/

米どころ、酒どころ雪国の山の力

関越トンネルを抜けると、新潟県は霧の中だった。雲の中へ飛び込むように、高速道路を下っていく。フロントガラスにミスト状の細かい水滴がつき、ワイパーに集められると雨と変わらない量の水になり流れていく。これだけの潤いがあるなら、まだ柔らかいフキが採れるはず、とじわじわ気持ちが盛り上がる。

全体的に早く旬が終わってしまった山菜に、今年はどうしたものかと思案していた私。こんなときの頼みの綱は、困ったときの雪国である。

そこで、越後湯沢の飯田千香子さんに、「まだ採れる山菜はないかな」と相談すると、「フキならまだあるよ」との返事。そうだ! フキがあるじゃないか! フキノトウの採れる季節は短いが、筋を取れば比較的長く食べられる。長い期間採れることで、旬がすぐ終わる山菜と比べると有難みが少ないけれど、おいしい山菜であることには変わりない。ならば、極上のフキを採って、新しいレシピでフキ三昧といこう。

事前に下見をしてくれた千香子さんと、霧の山へ向かう。そこここに生えているフキだが、方角と標高、植生を見ながら、よりおいしそうなフキを探す。ここは、適度に光の入る藪の中の柔らかいフキを狙いたい。霧で濡れた葉でびしょ濡れになるが、行くしかないね、と目で合図して、ガサガサと藪に分け入った。お互いの位置を声で確認しながら、採り進む。まだまだ新緑色の団扇のようなフキの葉っぱはしっとり濡れて瑞々しい。ナイフで根元を切り取ると、私の手にはフキの草露がしみて、あたりにはフキの香りが広がった。採るという行為は、元々は生きるために直結した行動だった。いまは採らなくても生きていけるけれど、こうしていると、生き物として根っこの部分が喜び、収穫を分かち合うことで満たされるんだよなぁ、と真っ白な霧の中で思った。

光が好きな植物。7月ごろは直射日光に当たる場所では育ちすぎて硬いので、明るい木陰を探す。

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1.低木の藪の下や、森の縁が見つけやすい。私たちは東向きの急な斜面の藪の中で見つけた
2.千香子さんの園芸用ハサミは、茎をグリップするゴムがついていてとても扱いやすかった

今回は、フキご飯、フキと豚バラのきんぴら、フキと厚揚げの炊いたの、とフキ尽くし!

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1.下茹で前に塩を振り“板摺(いたずり)”すると細い茎は筋がとりやすい。太い茎はそのままでOK

2.下茹でしたら冷水に浸し、色止めする。その後一本づつ筋を取る。心を無にして手を動かす

山菜採りのアドバイス

森の動物や虫が活発になる季節。藪に入る際には、長そで長ズボンで肌の露出を控えること。熊やヒルの出没情報は事前に調べて入山しよう。

○渡辺佐智(わたなべさち)
自然のなかで体を動かし、
おいしいものを食べることを愛する。
安全登山のための情報を
ウェブサイトでも発信
www.yamanosachi.jp
やまのさちサイトで番外編を公開中!
yamanosachiROGO
http://www.yamanosachi.jp/bangai.html

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