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モデル仲川希良の「絵本とわたしとアウトドア」#07 子うさぎましろのお話

静まり返った針葉樹の森。しっとりと地面を覆う苔からすくすく伸びる若木を見ていると、「うちのクリスマスツリーにほしいな」なんて気持ちがわいてきます。この先伸びても、森の上に顔を出せる成木になれるのはほんの数本あるか、ないか。どうせ朽ち果てるならツリーになったほうが……なんて考えたところで、いやいやそんな身勝手な、と、それを打ち消します。この先風が吹き荒れたり雷が落ちたり、近くの大木が倒れて光やスペースが生まれる可能性もなくはない。いつ訪れるともしれないそのチャンスまでただ一心に生きる姿を前に、ずいぶん自分本位な考えをしてしまったな。

木々に限らず生きとし生けるものすべてが、ただ自らの命を全うしている森の世界。そこに身を置くだけで、自分の心も正しく整う気がするのは、私が森歩きが好きな理由のひとつです。

サンタクロースの住む場所として知られるラップランド。冬に訪れたら絵本とそっくりの銀世界が広がっていた。月明かりの下で散歩中に見つけた、まるでましろの木のように輝くもみの木

 

「子うさぎましろのお話」の舞台は、もみの木の林です。それもクリスマスの、真っ白な雪景色。身も心もシャンとしそうなものなのに、うさぎの子「ましろ」はサンタクロースのおじいさんに大胆な嘘をつきます。もう贈り物をもらったのに別の子になりすまして、もう一度贈り物をもらおうというのです。おじいさんはましろであることはお見通しですが、「そうか、そうか。」と言って、ひとつだけ残っていた種を手渡します。

この絵本で好きなのは、ましろの嘘をだれも責めないところ。林を歩きながら考えをめぐらせ反省したましろは、僕のじゃないのだから神様にお返ししよう、と、種を土の中に埋めます。春になってそこから芽を出したのはもみの木です。ぐんぐん伸びたその木はやがて12月を迎えると、金や銀のベルと、たくさんのおもちゃを実らすようになります。

「ぼくの 木じゃなくて、かみさまの 木だよ」と、去年ついてしまった嘘を告白するましろに、サンタクロースのおじいさんはやっぱり「そうか、そうか。」と答えて、ましろの頭を優しく撫でるのです。物言わずして多くのことを教えてくれるおじいさんの姿は、まるで森のようだなと思います。

きっとだれもが幼いころに経験する嘘。そのうち我が息子も出来心でつくことがあるかもしれません。おじいさんがましろにしたように、森を歩くたびその存在に正されるように、その時は私も息子を包んであげられるでしょうか。

 

 

子うさぎましろのお話
(佐々木たづ・文、三好碩也・絵/岩崎書店)
幼いころはサンタクロースの優しさには気づかず、ましろの気持ちで読んだ絵本。別の子になるために体に擦り付けた炭が取れないと気づいたシーンではとても不安になった

 

モデル/フィールドナビゲーター
仲川希良
テレビや雑誌、ラジオ、広告などに出演。登山歴はランドネといっしょの11年目。里山から雪山まで幅広くフィールドに親しみ、その魅力を伝える。一児の母。新著『わたしの山旅 広がる山の魅力・味わい方』(小社刊)が発売!

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ランドネ 編集部

ランドネ 編集部

自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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