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世界最長の女性ロープチーム!氷河の山4,164mのブライトホルンを80人で登頂!【前編】

©Switzerland Tourism/Caroline Fink

スイスで昨年始まった女性を対象とするアウトドアのプロジェクト。今年のテーマは【100%woman world record】。世界25ヵ国から集まる80名の女性と一緒に、スイスの山岳観光地サースフェーに位置する4,027mのアラリンホルンの登頂を目指すという内容です。アラリンホルンはヨーロッパで初心者向けの優しい4,000m峰のひとつ。80名での登頂が実現すれば、世界最長の女性のロープチームとして世界記録となる予定です。スイス在住で登山ガイドとして活動する私、西村志津は昨年の8月のプロジェクトにも参加し、ツェルマットに位置する4,164mのブライトホルンに女性のグループで登頂しました。昨年の山行と比較しつつ、今年6月17日18日の2日間ツアーに参加したようすをレポートしたいと思います。

©Switzerland Tourism/Nicole Schafer

なんと19名の国際山岳ガイドも全員女性。スイス、フランス、イタリアからこの日のために集結しました。可愛い笑顔とホスピタリティにあふれ、過酷なガイド試験を通過した逞しい女性たちです。女性のカメラマンは4名。山を走って登って、ドローンを飛ばして撮影をしてくれました。氷河上ではカメラマン1名に対してガイドも1名ついて、ロープでつなぎ撮影していくスタイルです。

初日はサースフェーで氷河トレーニング

▲左から2番目がガイドのスーザン。20年以上のガイド歴がある。

私のチームは全部で5名、2日間このメンバーで行動します。ガイド1名に対してゲストが4名。ガイドはツェルマットガイド協会に所属するベテランのスーザン。チームメイトはスイス、イギリス、ポーランドと国際色豊か!英語でコミュニケーションをとります。こんな交流も楽しみのひとつ。

▲氷河トレーニングと高所登山の装備の参考例。

今回は、両日ともに風が弱く暖かな天候に恵まれたので、山ではソフトシェルのパンツ一枚とダウンジャケットで行動ができました。どんなウエアを着るかもガイドにアドバイスをもらうといいですよ。アイゼンやハーネス、ピッケルは現地でレンタルすることも可能。ストックは一本あると氷河でバランスを取って歩きやすく、姿勢が良くなり胸も広がるので呼吸が少し楽になります。折り畳み式タイプがコンパクトになり行動しやすいです。行動食はバックパックを下ろさずに取り出せるよう、ジャケットやバックパックのポケットにチョコレートやエネルギーバーなどを入れておくことをおすすめします。水は行動しながらも飲めるハイドレーションが便利です。

▲アイゼンを登山靴に調節するスーザン。背景の雪はすべて氷河!

山岳観光地のサースフェーの標高は、村ですでに1,800mあり、静かな避暑地として人気です。村からシュピールボーデンへ向かうゴンドラに乗り、ロープウェイを経由して標高2,869mのレングフルーへ。ガイドが親切に登山靴とアイゼンの大きさを調節してくれるので、初めてアイゼンを履く人も安心です。ここでハーネスも装着して準備を整えます。

©Switzerland Tourism/Florence Gross
▲壮大な氷河の中を歩いていく。右手の奥に見える白い山がアラリンホルン。

土地勘のあるスーザンは、一番手で氷河の中を歩いて行きます。約15m間隔の長いロープでつなぎ進みます。ポイントはロープがたるまないように気を付けて歩くこと。もしクレバスに落ちた場合、たるんだ分だけ長く引き込まれてしまうので、少し張り気味に前後のメンバーと息を合わせて歩きます。

▲傾斜のある氷河をアイゼンの爪を差し込んで登るトレーニング。

アイゼンを履いて傾斜のある氷河を歩いたり、登ったり、少しずつ足を慣らしていきます。写真ではとても危険に見えますが、国際山岳ガイドが確保をしてアドバイスをくれるので、初めて氷河トレーニングをする人も参加が可能です。

▲サースフェーのヴァリサーホフ・グランドホテル&スパ。木で作られ落ち着く雰囲気。

氷河トレーニングを終え、ホテルへ戻りシャワーを浴びると安心感でほっとしました。明日はいよいよアラリンホルン登山。と思っていたら、夕食時のミーティングで驚く予定変更の発表がありました。今年は暑く雪解けが1か月早く進み、アラリンホルンの氷河の状態が悪いとのこと。下見に行ったガイドによると、氷河のクレバスが大きく開いているのを確認。80名のチームでの登山は危険と判断し、明日は急遽ツェルマットのブライトホルン登山に変更すると知らされました。突然の発表に戸惑いを隠せない仲間。

日本でも海外でも、山での行動は天候や状況の変化で予定が思い通りにいかないときがありますよね。初日のミーティングでガイドリーダーのキャロラインは、私たちにこう問いかけていました。

「なぜ今回のプロジェクトに参加したのか、なぜ山に登るのか、経験や体力の異なる仲間達とどのように団結して行動するのか、状況や気持ちの変化がある中でどのように自分と向き合って行動していくのか」

改めて、考えるきっかけとなりました。今回の目的は、仲間と全員で山を登り一体感を味わってシェアすること。アラリンホルンへ行けず残念ですが、気持ちを切り替えて、プロの国際山岳ガイドを信頼し行動をともにしたいと感じました。

>>>後編へ続く

西村志津 プロフィール
日本山岳ガイド協会認定 登山ガイドⅡ・スキーガイド・ヨガ講師。20代にスイスやウィスラーにてスキーとハイキングガイドをして活動。帰国後JMGA認定登山ガイドⅡとヨガアライアンスの資格を取得。結婚を機にスイスへ移住。現在は2児の母。オンラインにて「スイスツアー」や「登山者のためのヨガ」を発信中!スイスと日本の架け橋となる活動に努める。
https://linktr.ee/seas_yoga_hiking_skiing

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ランドネ 編集部

ランドネ 編集部

自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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