ヒラマサプラッギングを突き詰めた渾身のブランク ZENAQ SINPAA 83 HIRAMASA
SALT WORLD 編集部
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オフショアキャスティングロッドを選ぶ際はパワーとキャスト性能に目が行きがち。しかし百戦錬磨のエキスパートがそれと同じくらい重視するのが、目的に応じたルアーアクションの出しやすさである。ここで紹介するSINPAA 83 HIRAMASAは、高いレベルのキャスト性能を備えたうえでヒラマサゲームの核となるダイビングペンシルの操作性を突き詰めた渾身の1本。研ぎ澄まされたスペックが大マサを撃つ。
圧倒的な遠投性能と繊細なルアー操作を兼備
我々アングラーがオフショアキャスティング用のロッドを選ぶ際、最も気になるのはそのキャスト性能ではないだろうか。空気抵抗の大きなプラグもヘビーウェイトのプラグも、難なくポイントへと運ぶ遠投性能、あるいはそれを実現するブランクのパワー。もちろんそれらは、キャスティングロッドの基本性能として決しておろそかにできない要素である。
しかしそれに加えて、百戦錬磨のアングラーが口を揃えて指摘するのは、ルアーアクションの重要性。つまり、そのロッドでルアーにどんな動きを与えられるのか? ということだ。
例えば同じ100gのプラグであっても、大口径のポッパーで強烈なバブル&炸裂音を演出するのと、細身のダイビングペンシルを繊細に動かすのとでは、ロッドにかかる抵抗もティップを動かすスピードもまるで異なる。求めるアクションを自在に演出することができなければ、いかにキャスト性能に優れていても、いかにパワーがあっても満足なゲームは成立しない。それどころか、ストレスがたまる要因となる可能性すらある。
それを踏まえたうえでゼナックのキャスティングロッドを検証すると、フラッグシップの『トビゾー』は、マグロやGTを見据えたワールドワイドなパワー特化型のロッド。遠投性能やパワフルなルアー操作、大型魚とのファイトを最優先しているぶん、ルアーを繊細に操るという部分においてはアングラーに一定の力量が求められる。
しかしここで取り上げるSINPAA(シンパ)は、圧倒的なキャスティング性能をまとったうえで、ターゲットごとに最適なスペックを突き詰めるというコンセプト。『SINPAA 83 HIRAMASA』は、文字通りヒラマサ、それも20kgオーバーに照準を当てて作り上げたスペシャルなロッドなのである。
その最大の特徴は、強靭なバットパワーとトルクを残しつつ、ティップはアングラーの入力に対してスムーズに曲がる設計にしていること。そのため、ヒラマサゲームのメインとなるダイビングペンシルや、小口径カップを持つペンシルポッパーに泡をまとわせ、柔らかく自然なアクションを容易に演出することができる。アングラーを選ばず、誰が使っても一定の効果を得られることが、こだわり抜いたブランク性能の証なのである。とはいえもちろんパワーは十分、大型ヒラマサとのファイトを全身で受け止めることは言うまでもない。
キャスト精度と集中力を持続するロジック
このような特性を引き出すための仕掛けとして、注目すべきは独特なガイドセッティングだろう。SINPAA 83 HIRAMASAのガイドは、ダブルラッピングで強度を重視したバット部に対し、ティップに近いガイドはシングルラッピングでブランクの自由度を高めると同時に、軽量化もしているのだ。ティップが荷重に応じてスムーズに追随することは、前述の繊細なルアー操作に直結する。
また、トビゾーでその効果が実証されたRGガイドシステムのなかから、トップ下の近い位置に2番ガイドを置く「アシストガイド」を採用。これによりティップのブレが抑制され、糸がらみ等キャスティング時のトラブルが大幅に減少。これはキャストパワーのロスが少ないことを意味し、初速の維持、弾道のコントロール、アキュラシー性など、キャスティング精度の向上にもつながっているのだ。
しかもこのアシストガイドがあることで、空気抵抗が異なるルアーを同じフィーリングでキャストすることができるという。サンマ、イカ、シイラなど、食われているベイトによって使うルアーのサイズが大きく変わるヒラマサゲームにおいて、そのメリットは計り知れない。
肝心のブランクは簡潔に言えば中弾性のチューブラーだが、もちろんそれだけではない。長年培った竿造りの技術を駆使して強力なバットパワーと美しいベントカーブを両立し、きれいに曲がって魚にプレッシャーを与えながらも人間には優しく、常にアングラー側が主導権を取れるように設計されているのだ。蛇足ながらこの曲がりの美しさへのこだわりは、ゼナックの竿造りに共通する理念だと言える。
グリップには定評のあるヘキサゴングリップを搭載。変則六角形のグリップはアングラーの掌に自然になじんでロッドワークを安定させると同時に、軽く握るだけでグリップがしっかり決まるため、長時間の釣りでも握力の低下や疲労を感じにくい。いつ来るか分からないチャンスに向けて集中力を保ち続けるためにも、これは大きなアドバンテージとなるだろう。
構想から完成までには4年ものテスト期間を費やしたというが、なぜ1本のロッドにそこまでの手順を踏むのだろうか。その答えはこのロッドが・・・いやゼナックの竿造りが『いま一番良い竿』であり、『5年後も10年後も良い竿』を目指しているから。使い込むほどに手になじみ、時代の変化に対応してともに成長する相棒。それがSINPAA 83 HIRAMASAというロッドだ。
ゼナックでは、好評のSINPAAに新たな1本を追加すべくプロジェクトを始動させているという。『今までより良いものができないなら新製品を出す必要はない』という頑固なまでの職人気質ゆえ完成には長い時間を要すると思われるが、期待せずにはいられない。
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写真:アラタジュン
まとめ:SALTWORLD
製品情報:ゼナックオフィシャルウェブ https://zenaq.com
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SALT WORLD 編集部
近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
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