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日本のオフショアゲームの草分け Maria POPQUEEN&DUCKDIVE【前編】

1989年に海の情報発信基地として発足したマリアは、30年にわたって日本のソルトゲームを牽引してきたパイオニア。これまでに輩出したルアーの数々は湾岸のライトゲームからオフショアのビッグゲームまでありとあらゆるフィールドで活躍している。そんなマリアの代表的なポッパーであるポップクイーンとダックダイブを例に、ルアー開発担当の基諒輔さんからポッパー開発のキモを教えていただいた。

30年続くロングセラー、ポップクイーン

ソルトワールド(以下、SW) マリアのポッパーと言えば、ポップクイーンの名が真っ先に浮かびます。そこで、まずはここから今回のインタビューをスタートしたいと思います。ポップクイーンを発売したのはいつ頃ですか?

基諒輔(以下、基) マリアを立ち上げたのが1989年で、ポップクイーンはその2年後の発売ですから、1991年ですね。来年で30年になるロングセラーです。

SW ルアーの流行り廃りが激しい昨今にあって、30年もの長きにわたって活躍し続けているのは凄いですね。

基 本当ですね。マリアの創成期からあるルアーで、昔からのファンの方がいまも変わらず支えてくださっているという部分も大きいと思います。

SW 当時はミノーがスタンダードで、ペンシルもまずまず使いましたが、ポッパーはそれほどポピュラーではなかった印象もあるのですが……。

基 当初ポップクイーンは130㎜までしかなく、なおかつ用途としては青物よりはシイラのような表層回遊魚を釣るためのルアーというイメージだったので、サブ的な位置付けだったのかもしれませんね。ただ青物に関しては、当時もポッパーで狙っていた方が多くいたという事実があるんですよ。

SW たしかにいまの感覚で捉えれば、浮き姿勢が垂直で小さめのカップをもつポップクイーンが青物にばっちりハマるのは必然ですね。ただ当時は、青物をトップで狙うという知識自体が浸透していませんでした。

基 まだ相模湾のキハダ釣りはなく、夏になったらシイラという認識でしたから、カップが大きくて派手にアピールするものがいいという感覚はあったかもしれません。そういうことから考えても、近年ポップクイーンが再び脚光を浴びているのは青物狙いが確立されたことが大きいと思いますね。当時から備わっていたポップクイーンの要素が、いまの青物の釣りに適していたということですね。

SW ルアーが時代の先を行き過ぎていたのか、時代がやっと追いついたのか。もちろん、そこには釣りの理論だけでなく、タックルの進化もありますね。

基 ポップクイーンはナイロンラインの時代に生まれたルアーなのでカップは小さめですが、PEになってからはカップの大きなポッパーが主流になってきました。PEは入力に対してレスポンス良く動作が始まるので、カップの大きい派手なポッパーに注目が行ったというのもあると思います。

とくに大きいポッパーとなるとGTやキハダが念頭にあったので、より激しいポッパーのほうが注目されました。その部分でポップクイーンは、おとなしい部類に入るのかなと。

SW そこに誘い出しのゲームが登場して……。

基 10数年前からペンシルのブームが来て、青物の誘い出しという釣り方が広まって、当社がローデッドを出したのが2010年。ペンシル主体で動いていくなかで、繊細な誘いを可能にする柔らかいロッドも増え、小口径ポッパーの良さも再認識されてきました。とくにヒラマサやブリをトップで狙うという市場が形成されたあとはポッパーに対する理解度も増して、ポップクイーンの存在感が再び上がってきました。

ちなみにF160を作ったのは、ショアアングラーから多くの要望をいただいたからです。そのため高い足場での使い勝手を考えて、立ち角度が強い設計になっています。

▲解説を担当していただいた基諒輔さんは開発者であり、自らもソルトゲームに熱中するアングラー。エギの開発から始まり、ローデッドなど各種ルアーをデザインしてきたベテランだ。

カップだけではないポッパーのアドバンテージ

SW 基さんが開発者としてこだわるポッパーのファクターや、ペンシルとの違いはどんなところですか?

基 一番の違いはやはりカップの有無ですが、もう少し突っ込んで話すと、ペンシルはルアー本体の動きというか、ボディ自体が動くときに波動を出すものであり、ポッパーはカップによる音、泡、飛沫など、ボディ以外から発するアピールが大きな役割を果たすという違いがあります。マリアがある大学との共同研究で調べたところ、ペンシルは本体の揺れで波動を出す(=水を攪拌する)ので、どちらかと言えば魚の側線にアピールします。要は魚が泳ぐときに出す、ゆったりめの波動です。

対してポッパーのカップから出る音は捕食音に近く、発生した大小の泡が弾けるときの音も含め、側線よりも聴覚に訴える波動なんです。だからペンシルは近づいてきた魚に捕食のスイッチを入れやすく、ポッパーは離れたところにいる魚を呼ぶ効果、というふうに使い分けるのが基本になります。あとはペンシルが横方向(左右)に動くのに対して、ポッパーは直線軌道という違い。そういうところで魚の反応に差が出ると思います。

SW ペンシルのトリッキーな動きよりも、ポッパーの直線的な動きに反応することがあるということですか。

基 はい、それもあります。それとマイクロベイトを捕食しているときのヒラマサは、大きく口を開かずに軽く吸い込むような捕食をするため、吸い込みも弱くなりがちですよね。このとき、ペンシルの横への動きを嫌うというより、横への動きに対応できずにミスバイトが起きるんです。そんなときはポッパーの直線的な動きのほうが吸い込みやすく、フッキングも良い。

どちらがより優れているかは明確に答えられませんが、ペンシルしか食わないときがあったり、ポッパーに変えた途端にスイッチが入ったりすることがあるのは事実です。あくまでもヒラマサ釣りでの体験で、対象魚が変わればまた違うと思いますが。

SW ところでポッパーはペンシルに比べてアピール力が強いとして、それが原因でスレやすくなるという側面もありますか?

基 それは一般論としてよく言われることですね。マリアではそれもあって、ポップクイーンにしてもダックダイブにしても小口径のカップを採用しています。そのことも、ポップクイーンがロングセラーとして釣果を出し続けている要素の一つではないかと思っています。

SW アピールとスレにくさの「ちょうどいいところ」を押さえているということですね。

基 それとポッパーは泡や飛沫で本体を隠す演出もできるので、例えばシラスを食っているなかでダックダイブの230にしか反応しないこともありますし、逆にデカいベイトにしか興味がない魚を反応させることもできます。もちろんペンシルも、動きの強弱でいろいろなサイズのベイトに対応できるのですが、ポッパーのほうがその範囲がより広いとは言えると思います。

量産性・強度・自由度etc.樹脂製ルアーのメリットは?

SW では次に、素材についてお聞かせください。ソルトルアーの初期、海外製も含めてポッパーはウッド製が多かったと記憶しますが、マリアではその頃からずっと樹脂です。ウッドに対して樹脂製ポッパーのメリットはどんなところでしょう?

基 量産性があることと、水密性が高く水が染みたりしにくいこと。またダックダイブに搭載している重心移動は、プラでないと組み込みにくい機構です。そういったことを含め、内部構造を調整することによって、浮き姿勢と飛行姿勢を両立できるのはプラスチックの大きなメリットですね。

SW 強度面でのアドバンテージはいかがですか?

基 ポッパーについて言えば魚とのファイトで破壊されるかどうかという点ではなく、カップのエッジが破損しにくいという優位性はありますね。カップが欠けると本来の性能を発揮できなくなる可能性があるので、著しく欠損するリスクが少ない樹脂製は安心です。

SW ユーザーサイドから見ると、素材の均一性があることや、価格が低く設定できることでしょうか。製品にばらつきがなく手に入りやすいことも、メリットとして挙げたいです。

基 使いたいときにあること、ロストしたときに同じものがすぐに買えることも大切ですからね。とくにうちでは、設計開発から生産まで自社で一括して行うことで、できるだけ品薄にならないようにと意識しています。なかなか手に入らず、せっかく覚えた良い操作法を忘れてしまったらもったいないので。

SW サイズやカラーの面はいかがですか?

基 カラーバリエーション的には、光を透過する色(クリア)を作れるのが樹脂の大きなメリットです。ただ、サイズ展開は楽ではありません。樹脂の場合は大きさごとに金型を作り、生産設備を整えなければいけませんから、必然的にサイズは厳選し、必要なものを絞り込んで対応することになります。

SW たしかに、ひとつひとつ金型から起こすというのは樹脂特有の工程ですね。

基 最終的に意図した動きを出す難しさはウッドも樹脂も同じですが、樹脂の場合はそれを実現するために内部構造等を調整する必要があります。例えばリブ(内部の隔壁)の位置や厚みをわずかに変えるだけでも飛行姿勢が変わって飛ばなくなったり、水なじみが悪くなってアクションが成り立たなくなったりということが起こります。

SW 内部構造の自由度はメリットですが、それゆえ、難しい部分もあるんですね。

基 基本的にウッドは空洞がなく全体にウエイトが分散していますが、樹脂製のルアーは空気の層の周囲にプラスチックの外皮があります。これが運動性能に大きく影響してしまうんです。重量が外側に集中しているため、キャスト時に横からの力が加わると振れが収まらず回転につながってしまう。それを抑えるためにリブの厚み等で姿勢を調整するのですが、その際、ウエイトをどこに置くかによっても分散具合や集中度合いが変わってくるので気を遣います。

SW 樹脂製というと型ができた後の量産性にばかり目が向きますが、そこに至るまではやはり地道なトライ&エラーの積み重ねがあるわけですね。

基 はい。しかも試作品と金型では微妙に違うもので、金型を作ったあとでも2~3回、場合によっては4~5回の修正や改良を行って理想の動きを出しています。ダックダイブでは外側(フォルム)だけで14パターン、内部構造まで含めるとその2倍から3倍の試作品を組んで、そのなかからベストなものを選んでいます。

試作段階でどれだけ最適解に近づけておけるかが、後の工程を短縮することにつながります。

POPQUEEN

マリアの創成期に誕生し、30年の長きに渡り活躍するソルト用ポッパーの先駆者的な存在。シンプルなデザインで使い勝手がよく、ポップ音が遠くにいるターゲットにも存在を知らせ、青物の本能を刺激する。

▲現在のラインナップはF50(50㎜・5g)、F80(80㎜・16g)、F105(105㎜・28g)、F130(130 ㎜・40g)、F160(160㎜・65g)の5アイテム。オフショアにはF130とF160が多用される。カラーはサイズごとに8~10色を展開。
▲ポップクイーンでキャッチしたクロマグロ。初めて登場した当時は青物狙いのメインウエポンとして使うアングラーが多かったという。
▲プラスチック製ルアーのアドバンテージのひとつ、クリアカラー。光を透過することで反応させられる魚がいる。
▲アピール力とスレにくさの両立に加え、演出の多彩さをもたらす小口径のカップ。ナイロンラインの時代から受け継がれるマリアポッパーの神髄だ。樹脂製はカップのエッジが破損しにくいため性能を維持しやすい。
▲内部構造を自在に調整できるのも樹脂製ルアーの特徴。リブと呼ばれる内壁の位置と厚み、ウエイトの位置などを変えることでより良いバランスを追求していく。
▲ダックダイブのテスト用サンプル。最適解を求めて無数のプロトタイプを作り、金型になる段階でも修正・改良が加えられる。

日本のオフショアゲームの草分け Maria POPQUEEN&DUCKDIVE【後編】はこちら>>>

日本のオフショアゲームの草分け Maria POPQUEEN&DUCKDIVE【後編】

日本のオフショアゲームの草分け Maria POPQUEEN&DUCKDIVE【後編】

2022年01月20日

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SALT WORLD 編集部

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近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。

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