
熊野山岳コースをスチュワートが勝利 総合首位も獲得|ツール・ド・熊野 第3ステージ

Bicycle Club編集部
- 2025年05月11日
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和歌山県と三重県を舞台に開催されている「第25回ツール・ド・熊野2025」。熊野の険しい山岳を巡る第3ステージは、終盤に絞り込まれた集団から2名が抜け出しに成功。最後はスプリントを制したマーク・スチュワート(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)がステージ優勝。最終ステージを前に総合首位も奪取した。
熊野山岳コースで総合成績争い激化

和歌山県と三重県を舞台に開催されているツール・ド・熊野は最難関のクイーンステージを迎える。
コースレイアウトは、2級山岳に設定された丸山千枚田を含む17.2kmのルートを4回巡り、スタートとフィニッシュ地点を結ぶ区間を加えた、総距離107.7kmとなっている。
途中、ボーナスタイムが付与されるスプリントポイントや、千枚田頂上とフィニッシュの登りで付与される山岳ポイントが用意されている。
翌日のステージに山岳ポイントが無いため、この日は総合成績争いに加えて山岳賞争いにも注目が集まった。
山岳賞はガリッボが独走状態 千枚田で3賞ジャージが後退

前日から降り続いた雨が尾を引き、不安定な天候の中レースがスタート。
パレード区間を経て何度かアタックが繰り返されると、ハイペースでレースは進行する。6.9km地点、ボーナスタイムが付与されるスプリントポイントを目掛けてソリューションテック・ヴィーニファンティーニが隊列を組んで先頭へ。このポイントをドゥシャン・ラヨビッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)が1位で通過。それに続いた今村駿介(ワンティ・NIPPO・リユーズ) もボーナスタイムを獲得した。
ひとしきりの争いの後も速い展開が続く。途中、トンネル内で大規模な落車が発生し、集団が複数に分断。数十人が最前線へ戻ったところで、今度は千枚田での争いに向けてキナンレーシングチームが集団のペースを上げる。強度の高い登坂区間で選手が遅れだすと、集団は30名ほどに絞り込まれた。山頂間際では、ニコロ・ガリッボ(JCLチーム右京)が飛び出して山頂をトップで通過し、山岳賞を狙っていく。
千枚田を巡る周回の下り、平坦では再びキナンレーシングチームがコントロール。遅れた選手の合流を許さないペースで2度目の千枚田に到達した。登坂区間に差し掛かると今度はトレンガヌサイクリングチームが集団牽引を開始。

するとさらに選手が溢れ、20名程度の集団となる。山頂では再びガリッボが踏み込んで山岳ポイントを上乗せ。2周回目の下り、平坦区間は人数を揃えているJCLチーム右京、トレンガヌサイクリングチーム、VC福岡らがペースを落とさない。3度目、4度目の周回もこれらのチームがペースメイクに徹して後続の合流を許さなかった。この間の山岳賞争いはガリッボが全て1着で通過。ポイントを大きく加算したガリッボは最終ステージの完走で山岳賞が確定することになった。
また、ここまでの千枚田を巡る周回で、今村、ラヨヴィッチ、鎌田と3賞ジャージを着用する3名も集団から溢れている。
熊野山岳王者ベンジャミらのアタック実らず スチュワート&ブレグノイが逃げ切り態勢へ
千枚田を4度超えた先頭集団はフィニッシュ地点へのアップダウン区間を進行。ここから昨年の熊野山岳コース優勝者 ベンジャミ・プラデスとジェラルド・レデスマ(VC FUKUOKA)がアタックを繰り返すが、集団に捕まる。続いて仕掛けたマーク・スチュワート (ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)とマティアス・ブレグノイ(トレンガヌサイクリングチーム)が抜け出しに成功。先頭2名は残り5kmでも1分以上の差が付いており、逃げ切りが濃厚に。

フィニッシュ地点の登りに到達した2人は最後の勝負をかける。
まず先にスプリントを開始したのはブレグノイ。これに反応したスチュワートがじわりと距離を詰める。残り距離をみながらブレグノイを交わしたスチュワートが両手を広げて先着し、チームに勝利をもたらした。
この結果、スチュワートは個人総合成績でもトップに浮上。チームとしてはリーダージャージの奪還に成功した。

各賞ジャージ獲得者(第3ステージ終了時点)
- 個人総合時間賞 マーク・スチュワート (ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)
- ポイント賞(グリーンジャージ): ドゥシャン・ラヨビッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)
- 山岳賞(レッドジャージ):ニコロ・ガリッボ(JCLチーム右京)
- 新人賞(ホワイトジャージ):ソーレン・ケイエ(ワンティ・NIPPO・リユーズ)
リーダージャージを獲得したスチュワートは「日本に来てから時差ボケが続いていたが、今朝起きて調子の良さを感じていた。第3ステージはハードなクイーンステージだと聞いていたが、おかげで雨混じりの難しいコンディションの中優勝することが出来た。最後に一緒に先行したトレンガヌ・サイクリングチームの選手がどれだけスプリント力があるのか分からなかったので、最後の30秒は全開でスプリントに臨んだ。リーダージャージを獲得できてとても嬉しい。強いチームと共に最終日を迎えられるので、最後まで守り切りたい」とコメント。
また、スチュワードとチームメイトの新城幸也はコース途中のトンネル内で発生した落車に巻き込まれ

第3ステージ リザルト

1位 マーク・スチュワート・(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ) 2h46m 29s
2位 ブレグノイ・マティアス(トレンガヌサイクリングチーム) +0s
3位 ニコロ・ガリッボ(JCLチーム右京)+45s
4位 ベンジャミ・プラデス(VC福岡)+45s
5位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +45s
6位 ダヴィデ・バルダッチーニ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ) +45s
7位 ヴァディム・プロンスキー(トレンガヌサイクリングチーム)+45s
8位 小石祐馬(JCLチーム右京)+45s
9位 橋川 丈(愛三工業レーシングチーム)+45s
10位 ソーレン・ケイエ(ワンティ・NIPPO・リユーズ)+45s
個人総合成績(第3ステージ終了時点)
1位 マーク・スチュワート (ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ) 8h38m12s
2位 マティアス・ブレグノイ(トレンガヌサイクリングチーム) +04s
3位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +47s
4位 ベンジャミ・プラデス(VC福岡)+51s
5位 ソーレン・ケイエ(ワンティ・NIPPO・リユーズ)+51s
6位 小石祐馬(JCLチーム右京) +52s
7位 テグシュバヤール・バッサイカン(ルージャイ・インシュランス) +54s
8位 ヴァディム・プロンスキー(トレンガヌサイクリングチーム) +55s
9位 織田 聖(マトリックス・パワータグ) +55s
10位 橋川 丈(愛三工業レーシングチーム) +55s
ポイント賞(第3ステージ終了時点)
ドゥシャン・ラヨビッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)
山岳賞(第3ステージ終了時点)
ニコロ・ガリッボ(JCLチーム右京)
新人賞(第3ステージ終了時点)
ソーレン・ケイエ(ワンティ・NIPPO・リユーズ)
チーム総合成績首位(第3ステージ終了時点)
トレンガヌサイクリングチーム
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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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