TREK・DOMANE SERIES【ハシケンのロードバイクエクスプローラー】
ハシケン
- 2019年10月19日
勝てるエンデュランスロードは
革新的な振動吸収機構とともにある
4年ぶりにフルモデルチェンジを果たしたドマーネ。コアテクノロジーである
IsoSpeed(アイソスピード)を搭載するエンデュランスロードは、2度のフルモデルチェンジによって
どのような進化を遂げてきたのか。
新旧モデル徹底比較
第3世代へ突入したドマーネの変遷を、振動吸収システムであるアイソスピードを軸に振り返る。
トレックのラインナップにエンデュランスロードとしてドマーネが加わったのは2012年のことだ。石畳の過酷なパリ〜ルーベで勝てるバイクをファビアン・カンチェラーラと共同開発したことが始まりだった。
シートチューブをトップチューブから独立させ積極的にしならせることで、かつてない快適性を獲得した初代アイソスピードの実力は、2013年のパリ〜ルーベ勝利によって「快適性=速さ」ということを証明してみせた。4年後の第2世代ではヘッドチューブにもアイソスピードを搭載し、エンデュランスロードとしての確固たる地位を獲得することになった。
あれから3年、昨年マドンに一足先に搭載されたしなり量を調整できる新型アイソスピード機構を採用し、ドマーネは最新形態へと進化を遂げた。ドマーネの歴史は、アイソスピードの進化とともに歩んできた。
そして第3世代では、エアロダイナミクスを向上させつつ、最大タイヤ幅38mmというワイドクリアランスの実現により、より多様なライドシーンに対応できるモデルへと生まれ変わっている。また、ブレーキ機構は第3世代からディスクブレーキ1本に絞り、リムブレーキは廃している。
個性あるエンデュランスロードの決定版
数々の新機構を取り込みさらなる快適性と拡張性を手に入れた
フルモデルチェンジをとげた新型ドマーネにおいて、ミドルグレードに位置するドマーネSL6。
フレーム内蔵ストレージなど最新機構を搭載するなどトップグレードの性能を取り入れた
ハイパフォーマンスモデルインプレッション。
ドマーネSLにも前後にアイソスピードが搭載されるが、トップグレードのSLRとの機構の違いはシートチューブ独立式である点だ。それ以外、フロントのアイススピード機構や新たに採用されるフレーム内蔵ストレージ、38mm対応ワイドクリアランス、汎用性とメンテナンス性に優れるT 47スレッドBBなど、フラッグシップの機構をぜいたくに継承している。
その走りはドマーネらしくロードノイズをスムーズに収束させ、コーナーでは路面に吸い付くような安定したステアリング性能が印象的だ。長めのホイールベース、先端をオフセットさせたフロントフォークに加え、長距離走行に適した独自のエンデュランスジオメトリーにより、誰もが安心で快適と思えるライドフィールを実現している。
加速に若干の重さは感じるものの、マイペースでロングライドを楽しむには十分すぎる走行性能を約束するモデルといえる。また、フレームのOCLV500カーボンは適度な剛性感で疲労が溜まってからの踏みやすさをサポートしてくれるだろう。
拡張性も高く、高速ツーリングやグラベルにも対応する。アルテグラコンポーネントでフルアッセンブルした仕様で40万8000円(税抜)は、ワンランク上のロングライドを楽しめる。
INFO
ドマーネ SL6
完成車価格:40万8000円(税抜)
■フレーム: 500シリーズOCLVカーボン
■フォーク:700シリーズ(44、47)、500シリーズ(50、52、54、56)
■コンポーネント:シマノ・アルテグラR8000
■ハンドルバー:ボントレガー・エリートアイソゾーンVR-SF
■ホイール:ボントレガー・パラジウムコンプ25
■タイヤ:ボントレガー・R2ハードケースライト
■サイズ:44、47、50、52、54、56cm
■完成車実測重量:9.2kg(52cm/ペダルなし)
1/ノーマルステムとハンドルはポジションの微調整を容易にする。フロントアイソスピードを含むヘッドまわりは上位モデル同様だ
2/BITSを収納するフレーム内蔵ストレージ機構
3/メインフレームと独立させ、シートチューブをベアリングで固定するアイソ2 スピード機構を採用
「王冠」の名にふさわしい完成度エンデュランスロードの境地を切り開く
ドマーネの誕生から7年。第3世代に入り、快適性を第一に追求してきたドマーネはエアロ化や拡張性を高めるなど
円熟感を増している。あらためてドマーネ最大の魅力を確かめておきたい。
エンデュランスロードの開発には各社ともに創意工夫をしてきた。しなりを生み出すシートチューブ形状の追求、振動減衰を狙ったジェルタイプのエラストマーの挿入、さらには本格的なサスペンション機構の搭載……。
アイソスピードもそのうちのひとつではあるが、ひときわ魅力を感じるのは、その快適性が誰にでもわかりやすく感じられるからだろう。
路面からのノイズを打ち消す極めて滑らかなライドフィールは、エアロ化、拡張性の向上などを進める第3世代においても大きなアイデンティティとなっている。「凸凹の路面の上にカーペットを敷いて、その上を走っているかのようなフィーリング」とは、各所でよく耳にする表現だ。このように、トップレーサーに限らずロングライドを楽しむサイクリストであっても恩恵を授かれる魅力がドマーネの評価を高める。
最後に、「プロジェクトワン」で選択できる美しいフレーム塗装はトレックならではの大きな魅力といえるだろう。なかでも情熱をテーマにした「モルテンマーブル」や、壮大な宇宙をイメージさせる「コスモス(COSMOS)」カラーは感性を刺激して所有欲をかきたてる。
OTHER MODEL
ドマーネ SLR 7 eTap
92万2000円(完成車/税抜)
最高峰の700シリーズOCLVカーボンによりハイレベルな軽さと剛性を獲得したプロ仕様。12速無線変速のスラムのレッドEタップアクセスをアッセンブル。同価格の完成車カラーには、ブードゥートレックホワイト/ブルー(写真)を含め3展開
ドマーネ SLR 6
76万2000円(完成車/税抜)
最も予算を抑えつつ、最高グレードの700シリーズOCLVカーボンを採用するSLRフレームの乗り味を体感できる完成車。アルテグラグループセットと、ホイールにはボントレガーのアイオロスプロ3V TLRをアッセンブルしたハイパフォーマンスモデル
ドマーネ SL 5
31万8000円(完成車/税抜)
500シリーズOCLVカーボンを採用し、前後アイソスピードを搭載する生粋のエンデュランスロード。32mmワイドタイヤやシマノ・105コンポーネントは50-34T / 11-34Tの構成により悪路も難なく走破するユーティリティを獲得している
IMPRESSION RIDER
ハシケン
問:トレック・ジャパン www.trekbikes.com
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