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【シクロクロス世界選手権】鳴り響く大型カウベルにびっくり! 取材サイドストーリー

2月1-2日にスイスで開催された、シクロクロス世界選手権。

その取材&観戦の裏舞台を国内外のシクロクロス観戦ツウとして知られるTannne MOMIKOさんがレポート。

開催されたスイスでは、「カウベルのデカさにびっくり!」などなど。現地ならではの情報をお届けする。

チューリッヒ市内は盛り上がってなかったけれど、各国から応援団

デューベンドルフ空軍基地で「自転車レースがあるなんて聞いていない」、と入国審査官の女性に問いただされ、冷や汗をかきながら入国したスイス・チューリッヒ空港。

「デューベンドルフなんて旅行者にありえない地名を言うからびっくりしたじゃない」とかなり怪しい人物と思われたようだ。

知られていないのも無理はないようで、駅の近くに1枚寂しげなデザインのシクロクロス世界選ポスターを見つけた程度。ポスターのモデルと思われるヨランダ・ネフも負傷欠場だ。

空港やホテル周辺にシクロクロス世界選手権のバナーやポスターはみかけず、翌日電車の駅近くにようやくポスターを発見したが、そのデザインはかなり地味だった。
これがもしスイス勢が有力なマウンテンバイクの世界選手権だったり、もし今回ヨランダ・ネフが負傷欠場せず女子エリート優勝候補の一角として出場していたなら、様子は違っただろうか。

チューリヒにあった世界選手権の地味なポスター。これが電車の駅近くにポツンとあるだけ

ところが、いざレース一日めのフタをあけてみると、最寄り駅からは会場まで歩く人々の列が連なっていおり、心配された雨もなかった。

電車の駅やバス停から徒歩10分、空港からも中心地からも10㎞程度の距離にある世界選会場は便利だ。会場にはスイス国旗を持つ地元の人々が目立つ。

レース会場では多く見られた赤白のスイス国旗。

「フォト!フォト!」

写真を撮るようせがまれた米国人のおじさんからは米国チャンピオンゲージ・ヘクトのポストカードを手渡された。

米国人は沢山来ていたと思うが、大応援団というより、あちこちに散らばって観戦していたように見えた。

オレンジのTシャツを着たアナマリー・ワースト(オランダ)の応援団は50名以上のバスで夜中0時に出発し昼に会場到着したところで遭遇した。

「睡眠不足で移動はホント疲れたけど、彼女は勝つからね!」と意気は高かった。オランダやベルギーから陸路600-800㎞、関東から全日本選手権のあった愛媛県内子までドライブするイメージ。簡単なものではない。

女子エリートで2位となったアナマリー・ワーストの応援団。オレンジ色の揃いのTシャツの一団。オランダの応援団?と聞いたところ、「ロゴをみてよ、Worstを応援するクラブだよ、メンバーは50人以上で、夜中の0時にオランダを出てやっとさっき着いたんだ」

忘れてはいけない、日本勢もこんな心のこもった手作りグッズで応援する姿が。L1選手の上田 順子さん。

ジュニア初開催で盛り上がる女子レース

初日、女子ジュニアのレースが世界選手権で初めて開催され46名が出走した。

これはUCIが推進してきた女子選手への機会均等化施策の一環で、2016年に女子のU23レースが世界選で開催されるまで女子はエリートしか開催されていなかった。近年、女子カテゴリーに参入するMTBやロード兼務の選手層が増え、表彰台争いがエキサイティングになっている。これは元英国・ヨーロッパチャンピオンのヘレン・ワイマンさんが4年間のUCI委員の在任中に着手し推進してきた結果だ。

元英国女子チャンピオンのヘレン・ワイマン。現在インターネット中継で解説者を務めているが、語り口は優しくて明快だ。

スイス応援団が持ち込んだ巨大カウベル

U23男子の2位に入ったケヴィン・クーンの大応援団が赤い国旗と大きなカウベル「スーパーケヴィン」のチャントを繰り返す。彼が所属していたサイクリングクラブのメンバ―らしい。重そうな大型カウベルを首から下げ鳴らし誇らしげに練り歩く男性の一団とすれ違った時、大きな音が頭の中までワンワン響いた。

会場を去ろうとする時間帯にまだ続いているケビン祭りに遭遇した。「スーパーケビン!スーパーケビン、スーパーケビンケビン!」の大合唱で本人を囲んでいる。傍に立っていた女性に聞くと、ここに何十人もいるカウベルや赤い旗の人々は皆、ケビン・クーンの応援団だそうで、彼が所属していたサイクリングクラブのメンバーで構成されているのだとか。

スイスは時計台といい、鳴りものを打ち鳴らすのが得意な国なのかもしれない。ハンディだけど凝った作りの自分用のカウベルを持っているご老人に話しかけると、1972年ジェントルマンズレースで優勝した際の賞品なのだとか。筋金入りだ。

オランダ勢活躍の裏で、落胆するベルギー、そしてイギリスの躍進

レース2日めは朝から容赦なく雨。

最初の男子ジュニアのレースの時からすでに路面は泥が酷いが時間とともに泥沼化は進む。エリート男子レースの頃には選手が次の周回に戻ってくるまでの時間が長く感じたが筆者が風雨に疲れていただけではなく、実際のラップタイムもかなり落ちていたようだ。気温が低くないのにまだ救われた。

トラックやロードレースが根付いている英国から近年多くの若手選手が参戦している。男子ジュニアはトップ20に4名、男子U23 はトップ20に3名が入った

雨がやんだ男子エリート終盤は逆に泥の粘着力が増し、一歩ごと靴が泥沼の中にくっ付き持っていかれそうになる。世界トップのパワーとテクニックを持つ選手達がのろのろぎこちなく細かい轍が網目のようにめぐらされた重いセクションを通過するのを見た。

ベルギーの若手選手たちが一同にアップする壮観な眺め。

ベルギーからの応援団は多数来ていたが、レースは盛り上がりに欠ける結果となった。

1日めはオランダ人が多数表彰台に登ったいっぽう、ベルギー人が1名もいないというのが気がかりだった。

2日めは下馬評どおりティバウ・ネイスが圧勝し、男子ジュニアだけの表彰台はベルギージャージ一色となったが、女子は昨年女王のベルギ―人サナ・カントが全く振るわず12位に終わり、男子エリートもマチュー以外ベルギー独占というわけでもなく2位は英国ピドコックに奪われた。

ウォーリーの一団。は英国の誰を応援しているのか。

いっぽう女子U23でも英国アナ・ケイが表彰台、エヴィ・リチャーズは女子エリートの表彰台まであと1歩と近年の英国勢の好成績が目につく。やはり底力のある国、シクロクロスの注目度アップとともに強い選手がシクロクロスにも参戦しはじめている。

昨年、オリンピックのMTBテストイベントに来日していたエヴィ・リチャーズ(英国)。後方は大ベテランのケイティ・コンプトン(米国)。

英国人の知り合いの話ではピドコックの台頭がきっかけで英国国内でのシクロクロスの注目度は数年前と比べると各段に上がっているらしい。英国車連の公式サイトでお家芸であるトラック競技の国内選手権を差しおいてトップにシクロクロス世界選手権が取り上げられるなど、ピドコック出現前はありえなかったことらしい。レース後記者会見でピドコックは、(ロードでも世界選U23で3位など活躍しているが)冬にシクロクロスを走ることには今後も変わりないと発言していた。

エリート男子では英国のピドコックがベルギー勢を押さえて2位に入るという快挙を成し遂げた

長年日本チームをサポートしてきたランジットさん「日本チームについて」

日本代表の現地スタッフを10年来務めてきたランジット・レヴェンスさん。

必要機材が多く必要なシクロクロスの海外遠征では、宿や選手の移動の手配だけでなく、メカニック用車両の確保が欠かせない。レース現場も周辺の事情も日本とは異なる点が多く、現地の人によるサポートがなくては難しい面が多い。そのような状況下でここ10年日本代表の現地スタッフを務めてきたのがこのランジット・レヴェンスさんだ。

レース前日にお話を聞いたが、彼はこれまで多くの才能ある日本人の若い選手を見てきたが、皆進学やお金の面から日本から出られず、それはこれまで大きな損失だったと話していた。

オリンピック後、来シーズンからベルギーで走ることになった松本璃奈選手はランジットさんが幹部を務めるベルギーの若手女子選手のためのチームに加入する予定であるという話も現地で聞いた。国際化と多様化の流れに日本人もチャンスを広げてゆく可能性を感じた。

日本チームの機材トラックにいつのまにか日の丸が掲げられていた。

独走するマチュー、ついついファンになっちゃいますね

今回一番印象的だったのは、独走するマチュー・ファンデルプールの集中して意欲的に走る姿勢と息遣いを間近に感じたこと。中継で見る彼は一人強すぎて、リアル感がないイメージだったが(巨神兵?)、間近に彼の走りを見て、息遣いを感じると、一人きりでも真摯に走っているのが伝わってきた。独走状態だったが、一人きりでも全力で走る姿を間近に見て「独走しているマチューのファン」という層も多いことが今回よく理解できたかもしれない。

ベルギー以外の国での世界選はマチューの息遣いを感じられるフェンス際かぶりつきも難易度は比較的低い。来年はベルギーのオステンドでの開催、おそらく何重にも観客が立ち並ぶより熱い熱狂の中での世界選手権となるだろう。

若い選手が多数走っているレースに感銘

日本国内では、ジュニアカテゴリーを走る選手の人数自体が少ない。他のカテゴリーとの混走や、数人で走っているレースを眼にするが、世界選手権では男子ジュニア64人、女子ジュニア46人。
こんなに多くの若い選手が共にレースをしているのは国内ではなかなか見られないことなのでとにかく壮観だった。継続して彼らをウォッチできるのは本場のファンも楽しみだろう。

心も身体もまだ華奢で柔らかい世代のうちに大舞台の厳しいレースを多くこなしたり、マスコミの目にさらされることについてはやや心配だけれども、周囲も彼らを守りながら育てていってほしいと願う。

あどけなさも漂うが、世界タイトルを争う男子ジュニアのトップ集団。

女子ジュニアのスタート前に群がるカメラの砲列

日本から参加した女子ジュニアの石田唯と渡部春雅

ゴール後の悲喜こもごも

ゴール直後の選手たちの様子を間近に見られたのも貴重な経験だった。特に2日めのゴール後は降りしきる雨、重たい路面との戦いに、呆然自失になったり、ぐったりしたり、たたえ合ったりした姿が印象的。選手たちは塗り固めたような泥まみれで、ゼッケンを外すスタッフの指も泥に埋まるようだった。

必死で走ったあと倒れこんでバッタリという姿は万国共通。だが、それに群がる各国メディアのカメラの砲列の数がすごかった。

一番印象的だったのは、エリート男子の表彰台を逃した色白細身のマイクル・ヴァントーレンハウトがくいっとドリンクを飲み干したところ。
普段から表彰台にしばしば登っており、今回ももっと脚光を浴びることも不可能ではない実力を持っていたが、6位という結果を振り返ってどう思ったのか。傍でみていると、割り切っていたように見えた。

同胞をハグするサイモン・ザーナー。ゴール後見ただけでも米国人を含め3人の選手をハグし、スタッフからきれいなジャケットを渡されたあともさらにゴールしてきたドイツ人と立ち話をしていた。社交的な人なのだろう

泣き顔なのか、地顔なのか。いつも困り顔で日本のファンにも有名なローレンス・スウェーク(男子エリート5位)

ゴール後のたたずまいが味わい深い、マイクル・ファントーレンハウト(男子エリート6位)

ゴール後フェンスに顔を伏せるフランスの男子ジュニア。このあと地面に倒れこんでいた。

男子ジュニア、鈴木来人選手

 

大会概要

大会名: シクロクロス世界選手権大会
開催日: 2020/02/01 〜 2020/02/02
カテゴリー:CX
開催地: スイス デューベンドルフ
https://dubendorf2020.ch/en/

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