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ツール・ド・フランス最終局面 TTでバイクを変えるメリット、デメリットを計算してみた

9月19日、ツール・ド・フランスは第20ステージのTT(タイムライアル)を迎え。実質的に総合優勝が決まる。首位のプリモッシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)と2位のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)の差は57秒。そこで気になるのがバイクの選択だ。
現地にいるサイクルジャーナリスト福光俊介さんからの話では「上りの入口でバイク交換する選手が相当いると思われます。ログリッチもそれを匂わすような発言を数日前からしてますね。あとは、UCI規則に則ってバイク交換はチームカーからに限定されますね」という。
では、TTバイク、ノーマルバイク、さらに乗り換えについて第20ステージのケースを考えてみた。

一般的には平坦だったらTTバイクが断然有利

2019年のツール・ド・フランス第13ステージでの個人TT。A.S.O./Pauline BALLET

自転車の総抵抗の内、大きいのが空気抵抗、そしてライダーやバイクの重量が関係する登坂抵抗だ。このほかタイヤの転がり抵抗や機械抵抗などがある。平坦なTTではおもに空気抵抗が8割以上を占めるため、多少重くなっても圧倒的にTTバイクが有利になる。ところが、ある程度勾配がきつくなると次第に軽いバイク有利になるため山岳TTではノーマルバイクを選らぶケースがでてくる。

第20ステージは前半平坦、後半山岳でバイク選びが難しい

今回ツール・ド・フランスの第20ステージでは、前半30.3㎞がほぼ平坦。後半5.8㎞が平均勾配8.5%の山岳となるため、各選手によってバイク選びが勝負の分かれ目となる。ただし、ライダーの体重、FTP(1時間出し続けられるパワー)、フォームや機材による空気抵抗の違いによって、かなり条件が変わってくる。

ノーマルバイクとTTバイクの比較
素人なりにざっくりと計算してみた

試算はふじいのりあきさんの計算式を使ってみた。条件はライダーの身長177㎝、体重65kg、FTP370W、高度0m、気温30℃、風速0m/s、TTバイク(ライダーに追加する装備の重量10㎏、空気抵抗係数0.7、ノーマルバイク(ライダーに追加する装備の重量8㎏、空気抵抗係数0.8)

あくまでも素人の計算なので、ざっくりとしたものになるのはお許しいただこう。平坦区間(0.8%の上りを仮定)ではTTバイクが有利で、ノーマルバイクに比べ、TTバイクでは平坦で1.9㎞/hも速くなる。逆に上り区間(8.5%ののぼりを仮定)では0.3㎞/hだけノーマルバイクのほうが早くゴールする計算だ。

実際のコースでは乗り換えたほうが有利だが…

コースを2つに分け、30.8㎞の勾配0.8%区間、5.9㎞の平均勾配8.5%で計算してみた。

では、ノーマルバイク、TTバイク、そして両方を使ったケースを計算してみよう。乗り換えがない場合、ノーマルバイクに比べ、TTバイクのほうが有利になるようだ。さらに有利なのは平坦区間はTTバイクで走り、上り区間で軽いノーマルバイクに乗り換えるパターンだ。ただし、有利と言っても30秒ほどのアドバンテージなので、乗り換えに失敗するリスクは無視できない。もちろんバイクを乗り換えたほうが有利だが、チームによってはそのリスクを避けるチームもでてくるかもしれない。ある意味今日の見どころになりそうだ。

また、総合に関係ない選手などこのステージを狙わなくてよい選手の場合は、TTバイクで走ることになり、乗り換えはないと思うが、最後の25%ともいわれる激坂対策としてあえてノーマルバイクを選ぶケースがあるかもしれない。どちらにしてこの日の制限時間はトップタイムの25%、この制限時間以内にゴールしないとパリにいけなくなるから選手たちも大変だ。

スタートリストはコチラから。公式WEB スタートリスト ※英語

大会WEBサイト
https://www.letour.fr/

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PROFILE

山口

Bicycle Club / 編集長

山口

バイシクルクラブ編集長。かつてはマウンテンサイクリングin乗鞍で入賞。ロード、シクロクロスで日本選手権出場経験をもつ。47歳を迎えた現在ではレースだけではなく、サイクリングを楽しむためために必要な走行環境やサイクルツーリズムなどの環境整備などにも取り組んでいる。

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バイシクルクラブ編集長。かつてはマウンテンサイクリングin乗鞍で入賞。ロード、シクロクロスで日本選手権出場経験をもつ。47歳を迎えた現在ではレースだけではなく、サイクリングを楽しむためために必要な走行環境やサイクルツーリズムなどの環境整備などにも取り組んでいる。

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