自転車プロコーチが教える寒さ対策、知っておきたいアイテム&コース選び
中田尚志
- 2021年02月07日
一年の中でも最も気温の低い2月。それでも屋外のライディングを楽しみたいというひとは多いのではないだろうか?「厳冬期でもライディングは可能」とピークス・コーチング・グループのコーチ中田尚志さんは語る。ここでは寒い中でも快適にライディングを楽しむためのアイデアを紹介しよう。
寒い日のライディングはアイテム、ルート選び、そして天気予報など事前準備が大切だ。しっかり準備すれば寒い中でも楽しめる。しっかり準備してライドに出かけよう!
寒さを防ぐ便利なウエア&ギヤ
イタリアブランド、カステリの冬用ジャケット2種類
温度調整はインナーの種類で
インナーは5種類を使い分けている
自転車の場合は上りで汗をかき下りでは冷えるので、単に着込んでしまうと汗冷えが酷くかえって冷えてしまいます。それを防ぐためにはまずは適切なインナーウエアを選ぶのが大切です。
私の場合、ジャケットは2種類しか使い分けませんが、インナーウエアは5種類の中からその日最適なものを選択します。前面に防風素材の着いたもの、ハイネックのもの、厚手、薄手など様々な中から選択します。
寒さの感じる部分は個人差に合わせてカバー
ライダーとしても活躍する大阪シルベストサイクルの店員渕上記理子さんによると頭や首回りを温める用品もおススメ。
一般的に男性よりも女性の方が寒さを感じやすく、年齢が若い人よりも年配の人の方が寒さは感じやすくなります。また寒さに対する慣れやライディング時の運動強度にも大きく左右されます。ですからそれぞれに合った装備を考えていく必要があります。
人によって寒さに弱い箇所は異なります。頭が冷えると走れなくなる人、首筋がダメな人、末端冷え性の人など様々です。
レーサーシューズは暑さ対策のため通気性を優先して作られているので、シューズカバーは欠かせない。
前述のように着込むだけでは蒸れて汗冷えを引き起こしてしまうので熱を逃がす場所が必要です。末端冷え性であれば厚手のグローブ・シューズカバーでしっかり手足をガードし、他の場所で熱を逃がすように考えると良いでしょう。体全体で防寒を考えて、しっかりガードする場所、熱を逃がす場所を選択するのも手です。
最近は電熱線の入ったソックスや足を温めるクリームなども出てきていますから、試してみるのもいいでしょう。
足先に塗っておくとあったかくなるホルメンコール・ウォームフィート。クリーム類の種類によっては皮膚や衣服に刺激のあるものがあるので気をつけよう。
スキー用の電熱線入りソックスを使うとさらに温かい。
体調によって寒く感じるときにはカイロも便利
身体がフレッシュで元気マンマンの時はそれほど気にならない気温でも、疲労している時は寒く感じます。ですから週末走り込む場合は、同じ気温でも土曜日よりも日曜日は1枚多めに着込んだほうが身体が冷えなくてすみます。
さらに最近は充電式のハンドウォーマー(カイロ)が発売されています。気温5℃を割るような時はバックポケットにいれて走ると随分暖かく感じます。充電式であれば上りでスイッチOFF,下りでスイッチONという使い方もできます。また手足の冷える人は靴用の使い捨てカイロを使うのも一手です。
スキンクリームで皮膚を保護する
パンツのパッド用に売られているシャーミークリームだが、肌の保護にも有効
肌が乾燥すると寒さはより厳しく感じます。スキンクリームを塗って保護してあげると寒さは少し和らぎます。
またタイツのパッドにはシャーミークリームを塗ると股擦れを防ぎ快適に走れます。寒い中で股に傷を作ってしまうと寒さが染みて大変なことになるのでここはしっかり保護しましょう。
コースレイアウトを考える
こんな凍結路面、下りなら危険だけど、上りならなんとかなる
上りは日陰、下りは太陽の当たる場所を走る
例えば峠をいくつか超えるルートを考える場合、登りは運動量が増えて発汗するので日陰の斜面を選択。下りは冷えや凍結した道を避けるために陽の当たるコースレイアウトにすると良いです。
さらに峠の登坂路が複数ある場合、上りは緩斜面を選択し、下りは急斜面を選択するのも手です。暖かく感じる緩斜面を長く走り、寒い下りは一気にやり過ごすわけです。
路面が凍結していない場合に有効です。
時間を選ぶ
気象庁WEBサイトで過去のデータも参考に https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php
冬の間はたった数度でも大きく体感温度は異なります。また太陽の輻射熱は気温以上に暖かさを感じるものです。日の当たりやすい午前10:00~午後3:00の暖かい時間帯を選ぶといいでしょう。
森の中を走る
上りはスピードが落ちるので風を受けにくくなります。さらに森の中は木々が風を遮ってくれるので寒さは和らぎます。MTBなどで森に入るとよく分かりますが、風の強い日でも森の中は驚くほど静かで風がないものです。寒風の吹きすさぶ河川敷や海岸線と比較して森の中での体感温度は随分と暖かく感じます。
取材協力
シルベストサイクル梅田店
https://www.silbest.co.jp/
アドバンスドフット
https://www.advanced-foot.jp/
中田尚志 ピークス・コーチンググループ・ジャパン
https://peakscoachinggroup.jp/
ピークス・コーチング・グループ・ジャパン代表。パワートレーニングを主とした自転車競技専門のコーチ。2014年に渡米しハンター・アレンの元でパワートレーニングを学ぶ。
中田尚志の著書「ロードバイクのパワートレーニング」はこちらから読むことができます。
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