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ロード選手の参戦あるか!? UCIトラック新リーグ|ロードレースジャーナル

vol.4
UCIトラックチャンピオンズリーグが11月開幕
ロード兼任選手が出場する可能性は?

国内外のロードレース情報を専門的にお届けする連載「ロードレースジャーナル」。今回は、このほどUCI(国際自転車競技連合)がレースフォーマットを発表したトラック新リーグ「UCIトラックチャンピオンズリーグ」の全容をまとめるとともに、ロードとトラックを兼任する選手の出場可能性について探ってみる。

短距離と中距離合わせて4種目で実施

©️ SWpix.com

UCIがトラック競技の活性化を目指して打ち出した、この新リーグ。その構想は昨年3月、ディスカバリーチャンネルの運営などを手掛けるアメリカのメディア関連企業・ディスカバリー社と長期的なパートナー協定を結んだ際に、初めて大々的に発表された。

そこでは、トラック競技をダイナミックかつ魅力あるイベントに仕上げてテレビで放映。数ある種目の中から実施は4種目に限定し、イベントの開催時間も2時間と、新規ファンを飽きさせないつくりを目指すとした。

その発表から1年が過ぎ、427日にUCIがリーグに関する新情報を公開。実施4種目に関する具体的なフォーマットと、イベントの開催時期が明らかになった。

リーグのスタートは今年11月とし、6週間連続でイベントを実施。開催地は現状で未定だが、複数都市を転戦していくことになるとみられる。

4つの実施競技は、スプリント・ケイリン・エリミネーション・スクラッチ。スプリントとケイリンで構成される「スプリントリーグ」と、エリミネーションとスクラッチで構成される「エンデュランスリーグ」に分けられる。

各種目の進行方法だが、スプリントは18人を6組に分け(13人ずつ)、各組の勝者が準決勝へ。準決勝は6人を2組に分けて、それぞれの勝者が決勝で優勝を争う。レースはトラック3周で競われる。

ケイリンはデルニー(先導バイク)が2周回先導したのち、残り3周でトップを争う。こちらは18人を3組に分け(16人ずつ)、各組上位2人が決勝へと進む。

エリミネーションは18選手が一斉にスタート。最初の1周をニュートラルラップとし、2周目以降は各周回の最下位の選手がレースを離脱。最後まで残った選手の優勝となる。

スクラッチは、トラックを20周(250m×20周)する5km、本来の同種目よりはるかに短めに設定される。こちらも18人が一斉にスタートし、一番にフィニッシュした選手が優勝。ロードレースに最も近い競技方法といえる。

©️ SWpix.com

いずれの種目も順位によってポイントが付与され、全6戦を終えた時点でランキングトップの選手がリーグ優勝となる。なお、各ラウンド終了時点でランクトップの選手には、リーダージャージに袖を通す権利が与えられる。

リーグでは、各レースならびにシリーズ総合順位に基づいて支払われる賞金を男女同額とすることを打ち出している。これは、リーグ出場人数が男女とも同じであることに加えて、UCI主催イベントにおける賞金額の平等ポリシーに基づくものである。

また、各ラウンドの順位、シリーズランキングに応じてUCIポイントも付与するとし、このポイント数がUCIトラック世界選手権で与えられるものと同等になるとしている。

各リーグ18人ずつが得られる出場資格

シリーズに参戦できるのは、男女とも「スプリントリーグ」「エンデュランスリーグ」それぞれ18人ずつ。合計で72選手が出走する見込みだ。

出場資格を得るためには、10月に開催予定のUCIトラック世界選手権で指定種目で上位に入ることが第一条件となる。同大会のスプリントとケイリンの上位6選手が「スプリントリーグ」、エリミネーション・オムニアム・スクラッチ・ポイントレースの上位3選手が「エンデュランスリーグ」への出場権を得ることになる。

トラック世界選手権で自動選出されるのは各リーグ12人ずつだが、残り6枠ずつの出場権は、東京五輪や当該種目のUCIランキング、さらにはシリーズ主催者によるワイルドカードで決まることになる。

世界最高峰を謳うトラックリーグへは、日本人選手の出場も期待されるところ。指定種目で上位に入れば自動的に出場権を得ることがベストだが、昨年のトラック世界選手権女子オムニアムでマイヨアルカンシエルを獲得した梶原悠未や、同じく男子ケイリンで銀メダルを獲った脇本雄太は世界ランキングでも常に上位につけており(4月27日付ランクでそれぞれ3位と2位)、東京五輪や世界選手権で上位争いに加わればワイルドカード選出も十分に考えられる。

ガンナやヴィヴィアーニらの参加でレベルアップに期待

現・オムニアム世界王者のバンジャマン・トマ ©︎ UCI

シリーズの大枠が分かったところで、ロード選手が参戦する可能性を見ていこう。

実情として、トラック競技をバックボーンにロードレースへと進出・転向している選手が多いことや、両競技に並行して取り組む兼任選手が多いことを考えると、彼らが新リーグに挑む可能性は十分にあるとみてよいだろう。リーグが11月から12月にかけて行われることもあり、ロードシーズンを終えた脚で臨むことが大いに考えられる。

ミケル・モルコフ(左)とラッセノーマン・ハンセン ©︎ UCI

一方で、五輪を機に勢力図が一変しやすいトラック競技の傾向や、ロードシーズンでフル稼働したなどの理由でトラックレースを回避するといったケースも想定され、どこまでメンツがそろうかは今のところ未知数。出場有資格選手が辞退した場合の補充方法や、シリーズ期間中のトラブル(レース中の落車による負傷や体調不良など)で撤退する選手が出た際に別のライダーとの入れ替えがあるかなど、細かい部分の対応については今後はっきりしていくと思われる。そうしたことも関係してか、今の段階では出場への明確な意欲を示している選手は見当たらない。初の取り組みとなるイベントとあって、深いところについてはまだまだこれから、といったところだ。

フィリッポ・ガンナ(右) ©︎ UCI

とはいえ、ロード選手の参戦に期待せずにはいられない。現在のロードレース界において、兼任選手の代表格とされるフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)やエリア・ヴィヴィアーニ(コフィディス、イタリア)といった面々がエンデュランスリーグにエントリーするとなれば…、華やかかつハイレベルの戦いが観られることは間違いないだろう。

最後に、筆者独断による「シリーズ参加が期待される選手」を列挙しておく。

UCIトラックチャンピオンズリーグ参戦が期待されるロード兼任選手とトラックでの実績

シモーネ・コンソンニ(コフィディス、イタリア) 2020年トラック世界選手権スクラッチ2

エリア・ヴィヴィアーニ(コフィディス、イタリア) 2016年リオ五輪オムニアム金メダル

イーリョ・ケイセ(ドゥクーニンク・クイックステップ、ベルギー) 6日間レースのスペシャリスト

ミケル・モルコフ(ドゥクーニンク・クイックステップ、デンマーク) 2020年マディソン世界王者

シュテファン・ビッセガー(EFエデュケーションNIPPO、スイス) 現在もロードとトラックを兼任

バンジャマン・トマ(グルパマ・エフデジ、フランス) 2020年オムニアム世界王者

フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア) 個人追抜世界記録保持者

ロジャー・クルーゲ(ロット・スーダル、ドイツ) 2018年、2019年マディソン世界王者

セバスティアン・モラ(モビスター チーム、スペイン) 2016年スクラッチ世界王者

キャメロン・マイヤー(チーム バイクエクスチェンジ、オーストラリア) トラック複数種目で世界王者になること9

ラッセノーマン・ハンセン(クベカ・アソス、デンマーク) 2012年ロンドン五輪オムニアム金メダル、2020年マディソン世界王者

UCIワールドチーム所属選手に限る

福光 俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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