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世界王者・ガンナが第1ステージ最速タイムでマリアローザ|ジロ・デ・イタリア

2021年のロードレースシーズン最初のグランツール、ジロ・デ・イタリアがついに開幕。現地58日に8.6kmの個人タイムトライアルによる第1ステージを行い、この種目の世界王者であるフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)が最速タイムをマーク。今大会最初のマリアローザ着用者となった。

ガンナが平均時速58kmの驚異的スピードで走破

104回を迎えるジロの開幕地となったのが、イタリア北部・ピエモンテ州に位置する街・トリノ。大会初日は8.6kmと短い距離の個人タイムトライアルが設定され、23チーム・184選手が1人ずつコースを駆けていく。ルートは、中心部にあるカステッロ広場をスタートし、市街地を抜けてからはポー川に沿ってヴァレンティーノ公園を通過。その後進行方向を逆にして川の対岸を進んでいく。全体的に平坦基調だ。

1走者フィリッポ・タリアーニ(アンドローニジョカトリ・シデルメク、イタリア)のスタートで大会の幕が開けると、13番目に出走したジョナタン・カストロビエホ(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)が好走。914秒で走り切り、まずはこのタイムが基準となった。

長くトップにあったこの記録を更新したのが、61番出走のマティアス・ブレンドレ(イスラエル・スタートアップネイション、オーストリア)。5秒上回る99秒で走ってトップに立った。

これをきっかけに、好タイムをマークする選手が続々。個人総合争いで有力視されるアレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プレミアテック、ロシア)が911秒、ジャンニ・モスコン(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)は910秒をマークしトップに肉薄。この間、右手首の骨折を乗り越えて今大会に合わせてきたヴィンチェンツォ・ニバリ(トレック・セガフレード、イタリア)も出走し、927秒でまとめている。

9分台前半のフィニッシュタイムでの争いが続く中、その水準をさらに高めたのが94番目に登場したトビアス・フォス(チーム ユンボ・ヴィスマ、ノルウェー)。ブランドレのタイムを一気に更新する9分ちょうどで走ってトップに浮上。この数人あとにスタートしたレミ・カヴァニャ(ドゥクーニンク・クイックステップ、フランス)の走りに期待がかかったが、3.8km地点の中間計測ポイントでわずかに遅れると、フィニッシュでは5秒遅れにとどまった。

©︎ LaPesse

フォスにとどまらず、チーム ユンボ・ヴィスマ勢の充実をうかがわせるようにエドアルド・アッフィニ(イタリア)も続いた。まず中間計測で3秒上回ると、その勢いのままフィニッシュへ。この日最初の9分切りとなる857秒で走り抜き、暫定1位へ。この後に出走する選手たちに大きなプレッシャーを与えた。

©︎ LaPresse

後半出走になると、総合系ライダーも続々登場。ヒュー・カーシー(EFエデュケーション・NIPPO、イギリス)やパヴェル・シヴァコフ(イネオス・グレナディアーズ、ロシア)はアッフィニから20秒以上の遅れとなったが、タイムトライアルを得意とするジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ、ポルトガル)が7秒差にとどめる94秒を記録。総合争いの軸となるであろうエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)とサイモン・イェーツ(チーム バイクエクスチェンジ、イギリス)も30秒近い差でフィニッシュ。

©︎ LaPresse

昨年のイル・ロンバルディアでのクラッシュから約9カ月ぶりの戦線復帰となるレムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク・クイックステップ、ベルギー)は、久々のレースであることを感じさせない力強い走り。総合系ライダーでは上々の96秒で走り、好スタートを切った。

©︎ LaPresse

そしてこの日最高の走りを見せたのが、174番目にコースへと繰り出したガンナだった。中間計測でアッフィニを1秒上回ると、そのスピードをさらに軌道に乗せ、フィニッシュでは10秒更新。多くの選手が後半にペースを落とした中、逆にタイム差を広げてみせた。フィニッシュタイム847秒は、2位以下に1km以上の差をつける58.748kmと驚異のアベレージスピード。今シーズンに入って個人タイムトライアルで後塵を拝することも多かったが、世界王者がいよいよ復調。ジロ通算では5勝目として、今大会最初のマリアローザ着用者となった。

©︎ LaPresse

2位にはアッフィニとフォスのユンボ勢が、その後ろにアルメイダとカヴァニャのドゥクーニンク勢が続く。ユンボはヨス・ファンエムデン(チーム ユンボ・ヴィスマ、オランダ)、ドゥクーニンクはエヴェネプールもトップ10入りし、両チームの好調さも感じられる結果になった。

また、総合系ライダーの多くがガンナから40秒以内の差にとどめたが、ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)が49秒差、ロマン・バルデ(チームDSM、フランス)が52秒差、ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネイション、アイルランド)が57秒差と、今後のステージでの挽回が求められる形になっている。

日本勢で唯一参戦の新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は、ガンナから57秒差の93位でこのステージを完了させている。

9日に行われる第2ステージは、ストゥピニージからノバラまでの179km。平坦ステージで、スプリントによるステージ優勝争いが予想される。

ステージ優勝、個人総合首位 フィリッポ・ガンナ コメント

©︎ LaPresse

「久々に勝利することは決して簡単なことではなかった。やる気がないのでは、という声もあった。ツール・ド・ロマンディの前に筋力トレーニングやトラック走行をしていて、それがなければあの大会の個人タイムトライアルでも勝てていたかもしれないが、目標とするレースを考えると長く勝ち続けることは難しい。個人的な目標は東京五輪での個人タイムトライアルとトラック・チームパシュートでの金メダルだ。

マリアローザは昨年よりはるかにピンク色に感じられるほど美しい。この勝利を欲していて、総合エースのために走る明日からへの大きなモチベーションになるはずだ」

ジロ・デ・イタリア2021 第1ステージ 結果

ステージ結果

1 フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)8’47”
2 エドアルド・アッフィニ(チーム ユンボ・ヴィスマ、イタリア)+0’10”
3 トビアス・フォス(チーム ユンボ・ヴィスマ、ノルウェー)+0’13”
4 ジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ、ポルトガル)+0’17”
5 レミ・カヴァニャ(ドゥクーニンク・クイックステップ、フランス)+0’18”
6 ヨス・ファンエムデン(チーム ユンボ・ヴィスマ、オランダ)ST
7 レムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク・クイックステップ、ベルギー)+0’19”
8 マキシミリアン・ヴァルシャイド(チーム クベカ・アソス、ドイツ)ST
9 マティアス・ブレンドレ(イスラエル・スタートアップネイション、オーストリア)+0’22”
10 ジャンニ・モスコン(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)+0’23”
97 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+0’53”

マリアローザ(個人総合成績)

1 フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)0:08’47”
2 エドアルド・アッフィニ(チーム ユンボ・ヴィスマ、イタリア)+0’10”
3 トビアス・フォス(チーム ユンボ・ヴィスマ、ノルウェー)+0’13”
4 ジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ、ポルトガル)+0’17”
5 レミ・カヴァニャ(ドゥクーニンク・クイックステップ、フランス)+0’18”
6 ヨス・ファンエムデン(チーム ユンボ・ヴィスマ、オランダ)ST
7 レムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク・クイックステップ、ベルギー)+0’19”
8 マキシミリアン・ヴァルシャイド(チーム クベカ・アソス、ドイツ)ST
9 マティアス・ブレンドレ(イスラエル・スタートアップネイション、オーストリア)+0’22”
10 ジャンニ・モスコン(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)+0’23”
97 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+0’53”

マリアチクラミーノ(ポイント賞)

フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)

マリアビアンカ(ヤングライダー賞)

フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)

チーム総合成績

チーム ユンボ・ヴィスマ

 

ジロ・デ・イタリア スタートリスト&コースプレビュー

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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