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トップライダーから新星まで ジロ・デ・イタリア2021ヒーロー名鑑|ロードレースジャーナル

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INDEX

17ステージ優勝 ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネイション、アイルランド)

©︎ LaPresse

昨年のブエルタ・ア・エスパーニャで個人総合4位に入り、今大会は総合表彰台への期待もあったマーティンだが、本人はステージ狙いに集中していた。「例えば個人総合10位で終わるくらいなら、ステージ優勝を狙う方が得策」。4月半ばのツアー・オブ・ジ・アルプス出場後に、この日のコースを下見して特徴をつかんでいた。狙ったステージを逃さないあたりはさすがベテラン。ちなみに、皮肉にも最終的な個人総合順位は10位だった。

18ステージ優勝 アルベルト・ベッティオル(EFエデュケーション・NIPPO、イタリア)

©︎ LaPresse

総合成績がかかっていたヒュー・カーシー(イギリス)のために働いていたが、この日はカーシーの許可を得て逃げに乗った。終盤は独走力自慢の男たちが攻撃を繰り出したが、そこは2年前のロンド・ファン・フラーンデレン王者。アタックの打ち合いからの逃げ切りには自信があった。ステージ優勝を争ったニコラス・ロッシュ(チームDSM、アイルランド)とは、一緒に高地トレーニングをするほどの仲。しかしこのステージでは協調できなかった。

19ステージ優勝 サイモン・イェーツ(チーム バイクエクスチェンジ、イギリス)

©︎ LaPresse

戦前はマリアローザ候補筆頭ともいわれたが、開幕時点で大腿部を故障。第2週では冷雨で体が動かず。天候が戻ってきた第3週でようやく復調。総合で十分なリードを得ていたベルナルが一定リズムで走る意思を示していると分かると、「きっと逃がしてくれると思った」とアタック。その見立て通り、山頂フィニッシュを制した。5日前のケーブルカー事故の影響で山岳ルートがカットされ、アシスト陣が対応しやすいコースになったことも味方した。

20ステージ優勝 ダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)

©︎ LaPresse

これまで幾人ものビッグネームに必要とされてきた男が、初めて仲間たちに支えられながら大きな目標に挑んだ。ランダのリタイアで思いがけずめぐってきた総合エースの席。突然の役回りにも臆せずトライできたのは、これまで多くのリーダーを間近で見てきたから。心身のコントロール方法は経験から培っていた。「この勝利の70%は彼のもの」とお膳立てしてくれたペリョ・ビルバオ(スペイン)を称えた姿は、どこまでもアシストの気持ちが分かる男の姿だった。

9・第16ステージ優勝、個人総合優勝 エガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)

©︎ LaPresse

昨夏から抱える背中の痛みはいまだ完治していない。いつ暴発するか分からない爆弾を抱えながらの3週間。ただ、結果的には2位以下とのタイム差以上に、力の違いは歴然としていた。グラベルを走った第9ステージ、悪天候でルート変更になった第16ステージと、誰にとっても苦難の日を制したあたりに「真の強さ」を感じさせた。アシスト陣の強力さもプラスして、幾分苦しんだ第3週も無事クリア。2つ目のグランツールタイトルを勝ち取った。

背部の故障が癒えていないことや、チーム事情を考慮して今年のツール・ド・フランスには「絶対に出ない」。一方で、全グランツール制覇への期待がかかっていることを問われると…前向きな様子を見せた。24歳のグランツールスターが抱く次なる野望は、どうやらブエルタ・ア・エスパーニャ制覇のようだ。

なお、ジロの優勝報告のためコロンビアに帰国予定も、渡航前のPCR検査で新型コロナウイルス陽性が発覚。本記執筆時点では拠点のモナコで隔離生活を送っている。

福光 俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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