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カヴェンディッシュ復活!“マン島超特急”が5年ぶりのステージ優勝|ツール・ド・フランス

かつてツール・ド・フランスを席巻した圧倒的スプリント。あれから年月が経ち、一時は引退もささやかれた男が華麗によみがえった。現地629日に行われたツール・ド・フランス20214ステージは、前日に続く平坦区間。度重なるクラッシュによる騒動の1日を乗り越えたこの日は、有力スプリンターによる力勝負。それを制したのは久々のツール参戦となった36歳のマーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ、イギリス)だった。

ツール通算31勝目のカヴェンディッシュ メルクスの記録まであと3つに迫る

大クラッシュが多発した第3ステージでは、負傷度合いが大きかったロベルト・ヘーシンク(チーム ユンボ・ヴィスマ、オランダ)、ジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス、オーストラリア)に加え、フィニッシュ前で激しく地面に叩きつけられたカレブ・ユアン(ロット・スーダル、オーストラリア)もレース継続が不可能に。この日は177人がスタートラインについた。

ルドンからフジェールまでの150.4kmに設定されたルートは、カテゴリー山岳が1つも置かれないピュアな平坦ステージ。コースがひかれる地域は風が強いのが特徴で、レースに影響する可能性も考えられた。なお、この日でで開幕から続いたブルターニュ地方のステージは終わりとなる。

©︎ A.S.O./Charly Lopez

リアルスタートに向けてニュートラル区間を進んだプロトンだったが、0km地点に達したところで一斉にストップ。アンドレ・グライペル(イスラエル・スタートアップネイション、ドイツ)らが中心となって、前日までのクラッシュ多発やコース設定に対して抗議の意思を表示。UCI(国際自転車競技連合)や主催者、大会関係者に向けて、選手やチームとの対話を要求する姿勢を示した。

ただ、ストライキとまではいかず、ある程度時間が経ったところで再スタート。しばらくは意識的に一団のまま進み、10km地点を過ぎたあたりからリーダーチームのアルペシン・フェニックスがペーシングを始めるとようやく「レーススタート」。ブレント・ファンムール(ロット・スーダル、ベルギー)とピエールリュック・ペリション(コフィディス、フランス)がアタックし、逃げが容認された。

©︎ A.S.O./Charly Lopez

それからは長く2人逃げの状態が続いた。メイン集団はおおよそ2分程度の差で推移し、本格的な追撃タイミングを計りながら進行。レース後半に入っても形勢は変わらず、114.4km地点に設けられた中間スプリントポイントも2人が先行して通過。ファンムールが1位通過すると、メイン集団は120秒後に到達。ここはカヴェンディッシュが集団先頭をとり、全体の3位通過。15ポイントを獲得した。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

これを機に、メイン集団は先頭の2人との差を少しずつ縮めにかかる。残り20kmを前にその差が1分を切ると、完全に射程圏に捉えて吸収は時間の問題に。

しかし、この状況を崩すべく残り14kmでファンムールがアタック。労せずペリションを振り払うと、逃げ切りの可能性に賭けて独走に。メイン集団は前日までのリスキーな状況を考慮してかスピードを上げながらもどこか慎重さを感じる走り。ファンムールは再び手段とのタイム差を広げて、残り10kmでは1分以上のリードとなった。

敢然と逃げ続けるファンムールに対し、スプリントを狙うチームを中心に追い込みを図る集団。残り5kmを切ってからは1kmごとにタイム差が1分ずつ縮まるような流れ。ドゥクーニンク・クイックステップが牽引し、ファンムールに迫る。

粘りに粘るファンムールは、トップを守ったまま最後の1kmを迎える。この時点でリードは数秒だが、懸命に踏み続ける。だが、フィニッシュ前数百メートルから始まったリードアウト陣の加速には勝てず、スプリントが始まると同時に残り150mで集団に飲み込まれた。

こうなると勝負はスプリンターのものへ。ヤスパー・フィリプセン(アルペシン・フェニックス、ベルギー)が好加速を見せるが、ここに続いたのがカヴェンディッシュ。上り基調の最終局面を突き進むとフィリプセンをかわし、逆サイドから迫ったナセル・ブアニ(チーム アルケア・サムシック、フランス)も振り切り、一番にフィニッシュラインを通過。実に5年ぶりとなる、ツールでのステージ優勝を挙げた。

©︎ A.S.O./Charly Lopez

3年ぶりに帰還を果たしたツールで、久々の勝利。現チームに6年ぶりに復帰した今季は復調傾向にあり、ここまで5勝を挙げていたが、当初はツール出場予定はなく、故障を抱えたサム・ベネット(アイルランド)の代役で滑り込みのメンバー入りだった。昨季終盤には引退をほのめかすなど、苦しい日々が続いたが、それを乗り越えての劇的勝利。フィニッシュ直後にチームメートへと飛びつき、喜びの涙を流した。

©Tim De Waele / Getty Images

フジェールは2015年大会の第7ステージでもフィニッシュ地となっており、最終盤は当時と同じレイアウト。奇しくも、その時に勝ったのもカヴェンディッシュ。それも現チーム(当時エティックス・クイックステップ)での白星だった。

今大会は開幕から着実にポイントを稼いできたこともあり、この日の勝利で得たポイントと合わせてマイヨヴェール争いで首位に浮上。チームメートのジュリアン・アラフィリップ(フランス)からグリーンのジャージを引き継いでいる。

©Tim De Waele / Getty Images

なお、個人総合での上位陣の変動はなし。マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)がマイヨジョーヌをキープしている。また、終盤にかけて総合やスプリントに関係しない選手の多くが後方へと下がって危険を回避したこともあり、このステージでの大規模なトラブルは起こらず済んでいる。

30日に行われる第5ステージは、今大会最初の個人タイムトライアルステージ。13年ぶりに第1週に設けられたTTは、27.2kmの平坦コース。スペシャリストの走りと合わせて、総合系ライダーにどれほどのタイム差が生まれるかが見もの。結果次第では、今後の流れにも作用するステージとなるだろう。

ステージ優勝、マイヨヴェール マーク・カヴェンディッシュ コメント

©︎ A.S.O./Charly Lopez

「ツール・ド・フランスに出場できるだけで特別なんだ。このレースには二度と戻ってこれないと思っていた。今日の結果にはチームメートに心から感謝をしている。当初はダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)でのスプリントを予定していたが、残り数キロで遅れてしまったので、アラフィリップが私のサポートに回ってくれた。こうした動きで、このチームがどんな組織か分かってもらえるのではないだろうか。

世界最高レベルのライダーがそろうチームに、果たして私が加わってよいのかと思うこともあった。チームに悪影響を及ぼすことは絶対に避けなければならないし、過去にそのような経験もしてきた。ただ、一番大切なことはみんなを信じることで、それは多くの人に伝えたい。

3週間前には、このような日が訪れるとは想像すらしていなかった。ステージ優勝するには、ドゥクーニンク・クイックステップのようなチームじゃなければ難しかった。世界最高のチームで、プロフェッショナルに満ちている。表彰台からの景色も感動的だった。子供の頃からツール・ド・フランスの表彰台を夢見ていたし、その状況を取り戻せたのは今でも信じられない」

マイヨジョーヌ マチュー・ファンデルプール コメント

©︎ A.S.O./Charly Lopez

「マイヨジョーヌを純粋に楽しむことができた。天気が良く、沿道からの声援も感じられた。チームとしてステージを獲りたかったが、毎日うまくいくわけはない。逃げ続けたファンムールもとても強かった。クリテリウム・ドゥ・ドーフィネで逃げ切った姿が印象に残っていたので、今日も何かやってくれるだろうと思っていた。

明日はマイヨジョーヌのキープに尽力するが、簡単ではないと思う。ワウト・ファンアールト(チーム ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)のような選手に有利に働くと思うし、何より私自身がタイムトライアルのトレーニングをほとんど行っていないので、差がついてしまっても仕方がないと感じている」

ツール・ド・フランス2021 第4ステージ 結果

ステージ結果

1 マーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ、イギリス)3:20’17”
2 ナセル・ブアニ(チーム アルケア・サムシック、フランス)ST
3 ヤスパー・フィリプセン(アルペシン・フェニックス、ベルギー)ST
4 マイケル・マシューズ(チーム バイクエクスチェンジ、オーストラリア)ST
5 ペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ、スロバキア)ST
6 ケース・ボル(チームDSM、オランダ)ST
7 クリストフ・ラポルト(コフィディス、フランス)ST
8 マッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)ST
9 ボーイ・ファンポッペル(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、オランダ)ST
10 アンドレ・グライペル(イスラエル・スタートアップネイション、ドイツ)ST

マイヨジョーヌ(個人総合成績)

1 マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ) 16:19’10”
2 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ、フランス)+0’08”
3 リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)+0’31”
4 ワウト・ファンアールト(チーム ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)ST
5 ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)+0’38”
6 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’39”
7 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)+0’40”
8 ナイロ・キンタナ(チーム アルケア・サムシック、コロンビア)ST
9 ピエール・ラトゥール(チーム トタルエナジーズ、フランス)+0’45”
10 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+0’52”

マイヨヴェール(ポイント賞)

マーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ、イギリス)

マイヨアポワ(山岳賞)

イーデ・スヘリンフ(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)

マイヨブラン(ヤングライダー賞)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合成績

バーレーン・ヴィクトリアス

 

ツール・ド・フランス スタートリスト&コースプレビュー

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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