東京五輪直前インタビュー・新城幸也選手が近況と決意を語る!
Bicycle Club編集部
- 2021年07月15日
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東京五輪開幕まであと1週間ほど。7月24日に開催される自転車ロードレースを走る日本代表の新城幸也選手が近況やオリンピックに向けての決意を語った。
フレッシュな状態でオリンピックに挑めるのが楽しみ
――現在の新城選手の状況を教えてください。
新城 7月に入ってから帰国して、オリンピックバブルの中で生活しています。日本チームと合流し、現在最終調整を行っています。
――今年はジロ・デ・イタリアを走り、ツールはリザーブにも選ばれていたそうですが出場しませんでした。調整に影響はありましたか?
新城 当初はジロの後はリカバリー優先で少しゆっくりして、ツールに出てそのままの流れでオリンピックに挑むシナリオでした。でも今回はジロを走ったのでツールはスキップというチームオーダーになりました。結果として帰国が遅れる形になりましたが、ツール・ド・フランスを走らなかったので、日本に前入りしてしっかりトレーニングできていますし、レースに臨む態勢を日本で作れています。ナショナルチームとしてトレーニングしているので身体のケアなども万全ですし、思い切り毎日トレーニングに集中できる環境にあります。その点ではプラスになっていると思います。
――どんな調整をしていますか?
新城 勝負のポイントが上りになると思うので、その対策をしています。上りは個人的に一番強化しなければいけない部分ですが、ジロでクイーンステージをはじめ山岳の厳しいコースを走ったことがコンディションを高める上で役に立っていると思います。今もいい状態でレースに臨めるよう最終調整をしています。
――現在のコンディションはどうですか?
新城 自分の感覚でしかありませんが、いつものレースと同じように順調に準備できています。僕にとっては初めての日本で行われる国際レースですし、とてもモチベーションは高まっています。
――少し緊張しているように見えますが?
新城 当日になったら緊張するかもしれませんけど、今は全く緊張していませんよ(笑)。もし緊張しているように見えるとしたら、いつもだったらツールを走ってからオリンピックという流れだったので、1カ月以上レース間隔を開けてオリンピックに臨むのも初めてだからかもしれません。そのことに少し不安はありますが、フレッシュな状態でレースに臨めるので楽しみではあります。
東京のコースはリオ以上に厳しい
――オリンピックのコースは試走されましたか?
新城 全部を通して走ったわけではありませんが、ポイントに分けて5回以上は試走しています。富士スピードウェイ周辺や富士山の上りはまだ走っていませんが、レース前までに試走する予定です。
――これまでに出場したオリンピックのコースと比べて、今回のコースの印象はどうですか?
新城 リオと比べてもタフなコースというのは間違いないですね。あと、周回コースではなく、ラインレースというのも特徴ですよね。コースのデータはインプット済みで、試走時の印象もデータで見たとおりの上りや距離でした。ただ、天候次第でコースの様子も変わるでしょうし、展開にも影響はありそうです。しっかり準備して臨みたい。
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――海外のレースやコースと似ていると感じるものはありますか?
新城 海外のレースのコースとは地形も違いますし、暑さがここまで厳しいところは少ないので、似たようなレースはないと思います。自分は暑さに強い方なので、暑くなれば有利ですね。
――東京五輪のコースは獲得標高の多さと暑さが勝敗を左右するポイントになりそうですが、どんな対策をしていますか?
新城 ロードレースは、気温と獲得標高だけでなく展開なども絡んで決まります。ですから、特に暑さ対策もいつもと同じように準備するだけです。ウェアはメッシュ系のモノを着て、ドリンクもミネラルやカロリーがしっかりとれる冷たいドリンクを用意するぐらいですね。
――勝負どころはどこだと思いますか?
新城 道志みち、籠坂、三国峠、富士山と勝負どころになりそうなポイントがたくさんあります。勝負どころは強豪国の動きで決まるので、実際に走ってみないと分かりませんね。富士山で仕掛ける選手もいるだろうし、三国峠でよーいドンの勝負になるかもしれません。
レースを動かすことはできないが、展開の激しいレースになれば……
――新城選手が望む展開は?
新城 うーん、難しいですね……(笑)。……(熟考の末)望んでいない展開は、スローペースで三国峠のきつい上りまで集団で行くことですね。残り距離がまだある道志みちでレースが動くと自分にもチャンスが芽生えるので、動くレースが希望ですね。
――増田選手とチームでどう走るかなどの作戦はありますか?
新城 今の時点で決めていることはほとんどありません。他の強豪国は最大5人出場しますが、日本は増田選手と僕の2人だけなので、自分たち主体でレースを動かすことはないでしょう。レースを走りながら2人で協力し、どちらかがよい成績を残せるよう挑みたいですね。
――どこのチームが主導権を握りそうだと思いますか?
新城 スタートリストが出ていないのでなんとも言えませんし、走りながらでないと分からないですね。1チーム最大5人なので、1チームだけでレースをコントロールできませんし、2~3チームで協力しないとレースを落ち着かせるのは難しいと思います。コロンビア、フランス、イタリア、ベルギー、スロベニア、ドイツといった主要国はほぼ優勝を狙ってきていますから、各チームの思惑も入り乱れるので予想も難しいですね。自転車レースインターナショナルになってきたので、主要国だけおさえればいいというものでもありませんし。
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――優勝候補を挙げるとしたら誰ですか?
新城 優勝候補を1人だけ挙げるのは難しいですね。たぶん30人ぐらいいるんじゃないですかね(笑)。でも、増田さん以外は全員ライバルです。ロードレースは優勝しなければ意味がありません。
「オリンピックが開催されることに感謝。自分の走りで日本を元気づけたい」
――東京五輪が延期になったことについてどう思いましたか? ショックを受けたアスリートは多かったと思うのですが。
新城 僕は延期になってうれしかったですね。中止じゃなかった、と。18歳からヨーロッパでレースしていて、日本で国際レースを走ったことがありません。ですから、東京五輪は日本で走れる貴重な機会なんです。新型コロナウイルス感染症が広がる中、オリンピックの中止が議論されたとき、中止にはならないでほしいと思っていました。開催されるのはうれしいですし、本当に感謝しています。
――オリンピックのロードレースは、沿道での観戦の自粛が呼びかけられています。影響は?
新城 こればかりはしょうがないですよね。ヨーロッパでも昨年のレースは無観客で行われてそれも経験済みですから、個人的には影響はないです。むしろファンの方ががっかりされていると思います。
――オリンピックは今回で3度目ですが、3大ツールとオリンピックの違いは?
新城 3大ツールはチームのメンバーの数が決まっていますが、オリンピックや世界選手権は国によって参加選手の人数が違います。なので、レースがいつもと違う展開になることも多いです。個人的には世界戦では好走したこともあるので、オリンピックもチャンスがないわけではないと思っています。
――最後に目標と日本のファンへのコメントを。
新城 ツールなど世界のレースを走る中で、現実的には30位以内に入るのは難しいと思います。でも、ロードレースは何が起こるか分かりません。距離や獲得標高といったコースの状況だけでなく、当日の気温や天候などのコンディション、当日のレース展開など、あらゆる状況を想定して少しでもに好成績につながる可能性が生まれるように準備をします。母国の日本で行われるオリンピックなので、モチベーションは高まっています。少しでもいい成績を残したいと思いますし、僕の走りを見た日本の皆さんが元気になって明るい気持ちになってくれればうれしいです。
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