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五輪ロード個人TT、男子はガンナ、女子はファンデルブレッヘンの両世界チャンプに注目

相次いで劇的な幕切れとなった男女のロードレースに続き、東京五輪の自転車競技は728日に男女の個人タイムトライアルが実施される。富士スピードウェイを基点とするコースを舞台に、独走力自慢によるメダル決定戦。やはり、世界のトップを行く選手たちがメダル争いの中心となりそうだ。ここでは、個人タイムトライアルのコース紹介と合わせて、男女両レースの展望をお届けする。

富士スピードウェイを基点とする周回コースが舞台

レースは静岡県小山町・富士スピードウェイを主会場とする、122.1kmのコースで行われる。ロードレースでは途中の周回コースとフィニッシュラインが設けられた同サーキットだが、今度はスタート・フィニッシュ地点が設定される。

女子は1周、22.1㎞

東京五輪・女子個人タイムトライアル コースマップ

コースはまず下り基調の序盤を経て、一般道に出てからが本番。5.4kmに及ぶ長い上りは、極度な急勾配ではないとはいえ、高度にして200m以上を上がっていくことになる。その後は約5km下って、富士スピードウェイの敷地内へ。ロードレースでは男女ともに、この区間での短い上りでレースが動いたが、タイムトライアルでもこのポイントをいかにクリアするかでフィニッシュタイムの差が生まれそうだ。富士スピードウェイ内に入ってからは、細かなアップダウンをこなしてコントロールラインへと向かっていく。

男子は2周、44.2㎞

東京五輪・男子個人タイムトライアル コースマップ

こう見ると、コースは大小の変化に富んだものと言えそうだ。かといって、丘陵TTというほどでもないので、日頃タイムトライアルを得意としている選手であれば問題なくこなすことができる設定と見て良いだろう。

この富士のコースを、男子は2周回・44.2km、女子は1周回・22.1kmで争う。

女子はオランダVSアメリカの構図か

直前のジロ・デ・ドンネで総合優勝したアンナ・ファンデルブレッヘン PMG Sport/Tommaso Pelagalli/BettiniPhoto©2021

午前1130分に第1走者がスタートする女子。金メダルの最右翼となるのは、アンナ・ファンデルブレッヘン、アンネミーク・ファンフルーテンの2枚看板を送り込むオランダだろう。

25日のロードレースでは主導権を握り切れないまま、結果的にファンフルーテンの銀メダルが精いっぱいだったが、そのリベンジにもかけて金メダルを至上命題に戦うに違いない。

両者ともに今季は好調。現・世界女王のファンデルブレッヘンは、直近でジロ・デ・イタリア・ドンヌ(女性版ジロ・デ・イタリア)で個人総合優勝。この大会でのタイムトライアルステージは山岳コースだったが、ライバルを圧倒。コースレイアウト問わず強さを発揮できるだけに、富士のコースも問題なく適応するはずだ。ファンフルーテンは、ジロを回避して五輪に集中。6月の国内選手権のこの種目では4位に終わったが、2017年と2018年にはマイヨアルカンシエルを獲得している得意種目だけに、しっかり合わせてくるだろう。もっとも、ロードの走りを見る限りは好調だ。

オランダ勢の対抗馬となるのが、クロエ・タイガート(アメリカ)だ。2019年の世界女王は、昨年の世界選手権で圧倒的な勝利が見えていながらコースアウトしリタイア。その際、ガードレールに接触し大腿部に大けがを負ったが、順調な回復で戦線に戻ってきた。今年は大きなレースを走っていないが、6月には国内選手権で圧勝。順当であればメダル争いに加わることだろう。アメリカ勢は、こちらも実力者のアンバー・ネーベンも控えており、オランダ同様に選手層は厚い。

昨年の世界選手権銀メダリストのマーレン・ローセル(スイス)、経験・実績は申し分なしのリサ・ブレナウアー(ドイツ)も有力。世界大会では上位の常連となっている2人も、コースにピッタリ合えば金メダルの可能性は十分にある。ロードレースではリタイアに終わったエマ・ノールゴー(デンマーク)、ロード銅メダリストのエリサ・ロンゴボルギーニ(イタリア)もタイムトライアル能力は高い。

日本からは、與那嶺恵理がエントリー。TTを得意とするため上位争いへ加わりたいところ。ただし、現在イリアの症状という不安要素を抱えたままでの出走となる。

男子はガンナとファンアールトの一騎打ちか!?

大注目の男子は、第1走者が午後2時にスタート。40人がエントリーしている。

見どころは、ここ数年で絶対王者となりつつあるフィリッポ・ガンナ(イタリア)に、ワウト・ファンアールトとレムコ・エヴェネプール(ベルギー)がどこまで迫るかだ。

個人タイムトライアルでは押しも押されもせぬ世界ナンバーワンのガンナ。シーズンインの段階から、五輪に照準を定めることを宣言し、その間に臨むレースでは敗れてもさほど気にしないスタンスを貫いてきた。5月のジロ・デ・イタリアこそTTステージで強さを見せたが、6月には国内選手権で4位に終わった。ただ、それはジロ後に意識的に調整ペースを落としたことに起因する。この五輪ではトラック競技への出走も控えていることから、普段とは違うトレーニングペースでここまで持ってきたが、第一のターゲットは個人TT。ロードにおいては登坂力もこのところ見せており、富士のコースも問題ないだろう。目下の注目は、44.2kmをどのくらいのアベレージスピードで走破するかだ。

フィリッポ・ガンナ ©︎ LaPresse

そんなガンナを破るとすれば、最有力はファンアールトだろう。先のツール・ド・フランスでの大活躍は説明するまでもなく、さらに24日のロードでも銀メダルと、しっかり結果を残してみせた。昨年の世界選手権のこの種目でも銀メダル。ここ最近は、もう1つの本職であるシクロクロスと合わせて世界大会での2位が多く、「シルバーコレクター」との声も挙がっているが、そんな見方を覆す走りを富士で見せられるか。今シーズンの勢いだけで見れば、ガンナをはるかに上回っている。

ワウト・ファンアールト ©️ A.S.O. / Pauline Ballet

ベルギー勢は出走2選手そろってのメダル獲得の可能性も十分。エヴェネプールは、けがからの復帰戦だったジロで個人TTを好走。この種目での代表入りを決定させた。6月には地元でのベルギー・ツアーで個人総合優勝。TTステージでも勝っており、本番への期待が高まっている。

レムコ・エヴェネプール ©︎ LaPresse

3強と同等の力を持つと見られるのが、この種目のヨーロッパ王者であるシュテファン・キュング(スイス)。TTでの勝利には常にこだわりを見せており、ツールでもTTステージに集中して挑んだ。結果はともなわなかったが、グランツールのTTステージより一発勝負の個人TTで真価を発揮できる強みがある。昨年の世界選手権ではガンナ、ファンアールトに次ぐ銅メダル。実力や最近の結果を見る限りは、対抗馬の1人となってくる。

選手層では引けを取らないオーストラリア勢。リッチー・ポートとローハン・デニスの2枚看板がエントリーした。ポートはロードで48位だったが、レース後に本調子ではなかったことを認めている。一方で、デニスは個人タイムトライアルに賭けてロードを出走しなかった。過去に世界を制したこの種目で、今度は五輪制覇に挑む。

一時の休養から、五輪のこの種目でのメダル獲得を目指して復帰したトム・デュムラン(オランダ)は、メダル獲得で戦線復帰のアピールといきたい。国内選手権ではきっちり勝っており、TTを走るうえでの調整は順調なよう。ロードではアシストとして役目をまっとうしており、走りそのものも問題はない。

すっかり一大勢力となったスロベニアからは、プリモシュ・ログリッチがエントリー。ツールでの落車負傷が尾を引いているのか、ロードでは目立つことができなかったが、得意のTTで一発逆転なるか。

プリモシュ・ログリッチ(右) ©︎ A.S.O./Pauline Ballet

どんな展開になるとしても、上位はUCIワールドツアーを主戦場とする選手たちが固めてくるだろう。グランツールではTTステージでの走りから総合にもつなげているジョアン・アルメイダ(ポルトガル)、「クレルモン=フェランのTGV」ことレミ・カヴァニャ(フランス)、今年のロンド・ファン・フラーンデレン王者のカスパー・アスグリーン(デンマーク)、ロードでは鮮烈な印象を残したブランドン・マクナルティ(アメリカ)と、注目すべき選手が続々とコースへと繰り出していく。ロードでのクラッシュが心配なゲラント・トーマス(イギリス)は実力通りの走りができれば上位は固いが果たして。

男女選手の出走時間はこちらから↓

東京五輪個人タイムトライアル・スタートリスト、女子は11時30分~、男子は14時~

東京五輪個人タイムトライアル・スタートリスト、女子は11時30分~、男子は14時~

2021年07月27日

女子選手出走リスト

チーム 選手名(日本語) 選手名(アルファベット)
アメリカ アンバー・ネーベン NEBEN Amber
アメリカ クロエ・ダイガート DYGERT Chloe
イギリス アンナ・シャクリー SHACKLEY Anna
イスラエル オメール・シャピラ SHAPIRA Omer
イタリア エリーザ・ロンゴボルギーニ LONGO BORGHINI Elisa
オーストラリア グレース・ブラウン BROWN Grace
オーストラリア サラ・ジガンテ GIGANTE Sarah
オランダ アンナ・ファンデルブレッヘン van der BREGGEN Anna
オランダ アネミエク・ファンフルーテン van VLEUTEN Annemiek
オリンピック難民選手団 マソマハ・アリ ザダ(アフガニスタン) ALI ZADA Masomah
カナダ キャロルアン・カヌエル CANUEL Karol-Ann
カナダ リア・キルシュマン KIRCHMANN Leah
スイス マーレン・ローセル REUSSER Marlen
スペイン マビ・ガルシア GARCIA CANELLAS Margarita Victo
デンマーク エマセシル・ノースガード JOERGENSEN Emma Cecilie
ドイツ リサ・クライン KLEIN Lisa
ドイツ リサ・ブレナウアー BRENNAUER Lisa
ノルウェー カトリーヌ・アーレルッド AALERUD Katrine
フランス ジュリエット・ラボー LABOUS Juliette
ベラルーシ アレーナ・アミアリウシク AMIALIUSIK Alena
ベルギー ジュリー・ファンデヴェルデ van de VELDE Julie
ポーランド アンナ・プリフタ PLICHTA Anna
メキシコ リズベス・サラザール SALAZAR VAZQUEZ Lizbeth Yareli
ルクセンブルク クリスティーヌ・マジュラス MAJERUS Christine
南アフリカ アシュリー・モールマン MOOLMAN-PASIO Ashleigh
日本 與那嶺恵理 YONAMINE Eri

男子選手出走リスト

チーム 選手名(日本語) 選手名(アルファベット)
アイルランド ニコラス・ロッシュ ROCHE Nicolas
アメリカ ローソン・クラドック CRADDOCK Lawson
アメリカ ブランドン・マクナルティ McNULTY Brandon
アルジェリア ラガブ・エゼディネ LAGAB Azzedine
イギリス ゲラント・トーマス THOMAS Geraint
イギリス テイオ・ゲイガンハート GEOGHEGAN HART Tao
イタリア アルベルト・ベッティオル BETTIOL Alberto
イタリア フィリッポ・ガンナ GANNA Filippo
イラン サイード・サファルザーデ SAFARZADEH Saeid
エストニア タネル・カンゲルト KANGERT Tanel
エリトリア アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー GHEBREIGZABHIER Amanuel
オーストラリア リッチー・ポート PORTE Richie
オーストラリア ローハン・デニス DENNIS Rohan
オーストリア パトリック・コンラッド KONRAD Patrick
オランダ トム・デュムラン DUMOULIN Tom
オリンピック難民選手団 アハマドバドレディン・ワイス WAIS Ahmad Badreddin
カザフスタン アレクセイ・ルツェンコ LUTSENKO Alexey
カナダ ユーゴ・ウル HOULE Hugo
コロンビア リゴベルト・ウラン URAN Rigoberto
スイス ジーノ・マーダー MAEDER Gino
スイス シュテファン・キュング KUENG Stefan
スペイン ヨン・イサギレ IZAGIRRE INSAUSTI Jon
スロバキア ユライ・サガン SAGAN Juraj
スロベニア プリモシュ・ログリッチ ROGLIC Primoz
チェコ ミハエル・クークレ KUKRLE Michael
デンマーク カスパー・アスグリーン ASGREEN Kasper
ドイツ ニキアス・アルント ARNDT Nikias
ドイツ マキシミリアン・シャフマン SCHACHMANN Maximilian
ニュージーランド ジョージ・ベネット BENNETT George
ニュージーランド パトリック・ベヴィン BEVIN Patrick
ノルウェー トビアス・フォス FOSS Tobias S.
フランス レミ・カヴァニャ CAVAGNA Remi
ベルギー レムコ・エヴェネプール EVENEPOEL Remco
ベルギー ワウト・ファンアールト van AERT Wout
ポーランド ミハウ・クフィアトコフスキ KWIATKOWSKI Michal
ポルトガル ジョアン・アルメイダ ALMEIDA Joao
ポルトガル ネルソン・オリヴェイラ OLIVEIRA Nelson
ラトビア トムス・スクインシュ SKUJINS Toms
ロシア アレクサンドル・ウラソフ VLASOV Aleksandr
南アフリカ ステファン・デボッド de BOD Stefan

東京五輪の詳細はこちらから↓

TOKYO2020の2021年新スケジュール決定、自転車競技は7月24日のロードからスタート

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2020年07月18日

 

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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