東京五輪男子チームパシュート、ガンナ猛追でイタリアが大逆転、61年ぶりの金メダル
福光俊介
- 2021年08月04日
東京五輪・自転車競技トラック種目は8月4日、男子のチームパシュートの決勝ラウンドを実施。金メダルをかけた優勝決定戦はイタリアとデンマークが対戦し、先行していたデンマークをイタリアが最後の1周で逆転。劇的な勝利で金メダルを獲得した。
イタリアがラスト1周でデンマークを逆転、イネオス勢が3冠
8月2日に予選、3日に1回戦と、3日間かけて行われてきた男子チームパシュート。決勝ラウンドで最終順位が決まる。
1回戦の結果から、金メダルマッチへはイタリアとデンマークが進出。予選から好調な走りを続けている両国の対戦となった。イタリアにはフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)とシモーネ・コンソンニ(コフィディス)、デンマークにはラッセノーマン・ハンセン(チーム クベカ・ネクストハッシュ)と、ロードシーンでも活躍する兼任選手が出走した。
迎えた戦いは、スタート直後からイタリアが先行。一時は0.5秒ほどの差とする。しかし、デンマークも徐々にペースを上げると2500mでリード。逆に3000mで0.5秒以上のタイム差とする。
だが、大きなヤマ場は最後の最後に待っていた。予選、1回戦と同様に最後の数周回でガンナが先頭に出たイタリアがデンマークを猛追。残り3周からタイム差を縮めていくと、最後の1周で大逆転。わずかな差で先着したイタリアが、1960年ローマ大会以来となるこの種目での金メダルを決めた。勝利に大きく貢献したガンナは、今大会の男子ロードレースのリチャル・カラパス(エクアドル)、マウンテンバイク・男子クロスカントリーのトーマス・ピドコック(イギリス)に続いて、イネオス・グレナディアーズ勢の五輪金メダリストとなった。
勝利したイタリアのタイムは3分42秒032と、1回戦で自らがマークした3分42秒307の世界記録をさらに更新。銀メダルのデンマークも3分42秒198と、前日のイタリアのタイムを上回った。
なお、優勝決定戦に先だって行われた3位決定戦は、オーストラリアがニュージーランドに勝利。ニュージーランドに落車があり、最終的にオーストラリアの追い抜き勝ちで銅メダルを決めた。
東京五輪トラック 男子チームパシュート決勝ラウンド 結果
7位・8位決定戦
イギリス 3分45秒636(平均スピード63.820km)
スイス 3分50秒041(62.598km)
5位・6位決定戦
カナダ 3分46秒324(63.626km)
ドイツ 3分50秒023(62.602km)
3位決定戦
オーストラリア 追い抜き勝ち
ニュージーランド
優勝決定戦
イタリア 3分42秒032(64.856km)世界記録
デンマーク 3分42秒198(64.807km)
最終順位
1 イタリア
2 デンマーク
3 オーストラリア
4 ニュージーランド
5 カナダ
6 ドイツ
7 イギリス
8 スイス
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PROFILE
サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。