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サーヴェロ・R5ディスクが新登場、ブエルタ実戦投入の注目モデル|CERVELO

「CERVELO(サーヴェロ)」から新製品が登場。じつはデビュー前からユンボ・ヴィズマの選手が乗り、グランツール制覇に貢献した「CERVELO・R5DISC(サーヴェロ・R5ディスク)」だ。

R5といえば2010年の登場以来サーヴェロの軽量フラッグシップに君臨してきた。今回、第4世代のR5ディスクとしてフルモデルチェンジを果たした。春のクラシックレースからチーム・ユンボ・ヴィスマのプリモシュ・ログリッチが駆り、ブエルタ・ア・エスパーニャでの3年連続総合優勝に貢献したバイクとして、すでに公然の秘密として多くの目に触れてきた新型バイクがR5ディスクとして正式発表された格好だ。

ピュアクライミングバイクとして進化を果たした第4世代R5

本作からディスクブレーキかつ電動コンポーネント専用となり、ステアリングまわりのケーブル内装化も果たしたR5ディスクのコンセプトは「ピュアクライミングバイク」だ。これまで王道のクラシックロードバイクとしての進化を続けてきたが、今回のモデルチェンジで方向性を再定義。

チームからの要望を受けてフレーム重量を削減した。これはシートチューブやシートステー、トップチューブにおける接合部の積層を見直し、使用する材料を削減することによりフレーム単体で130g、16%を軽量化したもので、51サイズのファイブブラックカラーでフレーム単体695gを達成した。フォークを含めたフレームセットでは約14%の軽量化を達成している。さらに軽量化はスルーアクスルなど細部まで徹底して行われ、これにより51サイズのファイブブラックカラーをR9170デュラエースで組み上げた仕様で6.79kgの軽さを実現した。

ケーブルを完全に内装化したフロントまわり。ヘッドチューブの大径化とフロントフォークコラムにルーティングのための切り欠きを設けることで実現した

また前作をテストしたプロチームからのフィードバックで、“過多”と判断された剛性について最適化が図られている。剛性重視の思想で設計された点を見直し、剛性をあえて落とすことで、ハンドリングの安定感や快適性を高めたものだ。

近年、とくにスルーアクスルを採用したディスクブレーキバイクでは先端部が剛性過多になりやすく、疲労を蓄積しない適度な快適性は重要なファクターと位置づけられる。

シートステーは反応性と軽さを重視してトップチューブから直接つながる形状とした

リアバックについては、快適性を高めるためにシートステーの接続部を下部にオフセットする手法が一般的であり、同社の新機軸エンデュランスロードのカレドニア5でも採用するが、R5ディスクではあえてスタンダードな形状とした。これはチューブの集合部が分離することによる重量増を嫌ったもので、クライミングバイクとしての優れた反応性を生み出すためには、トップチューブからシートステーを一体化させることがベストとの判断によるものだ。リアまわりの快適性についてはシートポストのフレックス性を高めることで補われる。

ケーブルを完全に内装化したフロントまわり。ヘッドチューブの大径化とフロントフォークコラムにルーティングのための切り欠きを設けることで実現した
ヘッドのスペーサーは複数のサイズを用意し、+52mmまでハンドル高さを調整可能だ
剛性を最適化するとともに軽量化も達成した新型のフロントフォーク。エンド部分の硬さをブレード部分で逃がす設計となる

最も目を引く部分であるケーブルの内装化についてはカレドニア5に先行して投入されたテクノロジーを採用。ヘッドチューブの上部を1-1/4″、下部を1-1/2″と大径化することでスペースを確保して内装した。これにより空気抵抗を25g削減している。内装化に合わせてDi2などの電動コンポーネント専用となり、ブレーキも油圧式ディスクブレーキのみとなる。ケーブル内装のステアリングシステムでは、ハンドル高の調整範囲が狭くなることが往々にしてあるが、分割可能なスペーサーを複数用意し、最大52mmまで調整可能だ。

ジオメトリーについて前作からの優れたポジショニングを維持するためにスタック及びリーチは変更されないものの、34mmまでのワイドタイヤに対応するためトレイル量を57.5mmに統一した。

軽さにこだわった細部

大径で左右非対称のBBライト規格を引き続き採用する。前作以上の剛性向上を必要としないため基本設計は継承している
新旧の前後スルーアクスル。先代(右)よりも新型(左)の方が細身に仕上げられており、前後で14g軽量化している
シマノのリアディレーラーはダイレクトマウントリアエンドで取り付けることが可能。スマートな外観で軽量化にも貢献している
ダウンチューブの位置を下げることで、フロントタイヤとの距離を詰めて空気抵抗を軽減する。エアロ面ではサーヴェロ伝統のスクオーバル形状も貢献している

乗りこなすとさらに楽しくなる!
バランスのよいヒルクライムモデル

あらゆる面から隙のないクライミングバイクとして誕生したR5ディスク。すでにグランツールを制するなどその性能は実証されている。その恩恵はホビーレーサーでも受けられるものなのか? 本誌副編集長の山口博久がインプレッションする

副編山口がインプレッション

特長は高い剛性感と進みのよさだ。ただ、正直、ひと踏みめの印象はその硬さにちょっと戸惑ってしまった。ただ、しばらく乗り込んでいくうちにそれだけではないことに気が付いた。縦方向にはある程度しなり、横方向には適度な硬さをしめすフレームだということが理解できる。そして硬さのなかにも踏んだときに反発してくれるBBのウイップが感じられる、いわゆるプッシュが効くバイクだ。

ステアリングは安定志向で、ダンシングではハンドルをこじってしまうとタイミングが取りづらく、ていねいなダンシングが求められる。そこでハンドルをまっすぐにしたまま、左右に倒すように振ると進んでくれる。こうして踏むタイミングがわかってくるとものすごくよく進み、特に上り返しで腰を上げて踏み込んでペースを上げたいときなど、一枚重めのギヤをかけられるため、これはライダーに強い武器になるだろう。これには思わず笑みがこぼれてしまった。

さらにヒルクライムではシッティングでじわじわと踏んでいける。FTP強度で走ったときに1時から入力すると4時で最大にため込んだ力が5時あたりですっと推進力になるイメージだ。縦方向に踏んだときに適度に反発してくれる気持ちよさがある。ただ硬いだけのフレームではこうはならず、4時くらいで急にスカッと力が抜けてしまうため反対脚への踏み替えが必要となり、高回転ペダリングが必要になってしまう。こうした心配がない。
さらにサドルの前にちょこんと座る、いわゆる前乗りをしたときにもトップチューブはたわむことなく失速しないので、ヒルクラムで維持できるぎりぎりハイペースで乗り続けたいシーンでは強い味方になってくれるだろう。

下りでも安定志向は変わらず、ただし、挙動がつかみやすく意識的に荷重を移動させると曲がっていけるので峠道でも扱いやすさを感じるだろう。基本はレースバイクで一見とっつき難い印象を受けたが、乗りこなし方がわかってくるとクセになるバイクで、長距離乗ったときに脚を残せるバイクだ。

試乗車SPEC

フレーム&フォーク:カーボン ●コンポーネント:シマノ・R9170デュラエース ●ホイール:トーケン・ベントス ●タイヤ:パナレーサー・レースA、700×25C ●:ハンドル、ステム、シートポスト:専用オリジナル

試乗車重量実測値(ペダルレス、ボトルケージなし):6.79g(51サイズ)、6.9g(54サイズ)

サーヴェロ
R5ディスク

145万円(シマノ・R9270デュラエースDi2完成車)
150万円(スラム・レッドEタップアクセス完成車)
108万円(R8170アルテグラDI2完成車)
105万円(スラム・フォースEタップアクセス完成車)
63万円(フレームセット・/ハンドル・ステム・シートポスト付属)

Jumbo-Visma Replica
Lime/Black
Five Black

 

ニューモデルインプレッション
一覧はこちらから

問:東商会

www.eastwood.co.jp

出典

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PROFILE

山口

Bicycle Club / 編集長

山口

バイシクルクラブ編集長。かつてはマウンテンサイクリングin乗鞍で入賞。ロード、シクロクロスで日本選手権出場経験をもつ。47歳を迎えた現在ではレースだけではなく、サイクリングを楽しむためために必要な走行環境やサイクルツーリズムなどの環境整備などにも取り組んでいる。

山口の記事一覧

バイシクルクラブ編集長。かつてはマウンテンサイクリングin乗鞍で入賞。ロード、シクロクロスで日本選手権出場経験をもつ。47歳を迎えた現在ではレースだけではなく、サイクリングを楽しむためために必要な走行環境やサイクルツーリズムなどの環境整備などにも取り組んでいる。

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