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カザフスタンではなくカザクスタン? 自転車ロードレース界で議論されるカタカナ表記

日本国内のサイクルメディアやレース関係者が集まり、ロードレースにおける表記について協議する「ロードレース・カタカナ表記ミーティング」がこのほど、オンラインで開催された。今回で6回目を迎えたミーティングでは、国際的にはアルファベットで表される選手名やチーム、レース名を日本でいかにわかりやすく報道できるかの案を出し合い、来る2022年シーズンに向けたメディア間での確認の場となった。

重視されたのは「現地発音」と「定着度」

このミーティングは、サイクルフォトグラファー・辻啓さんの音頭のもと、2016年末に初開催。それまでは外国人ライダーの名前やチーム名、レース名が各メディアやライターにゆだねられていたが、協議をきっかけに選手名であれば出身国、レース名であれば開催地の発音に限りなく近い形でカタカナ表記していこうという機運が高まった。

2022年シーズンに向けてのミーティングに参加したのは、日本国内のサイクルメディア編集部のスタッフ、国内外のレースシーンを取材するジャーナリスト、その他レース関係者の約20人。レース実況でおなじみのサッシャさんも出席し、ドイツ人ライダーの名前を中心に正確な発音を教示した。

協議内で最重視しているのが「現地発音に忠実に」という点。例えば、来季から新チーム名で活動する「Astana Qazaqstan Team」であれば、“アスタナ・カザフスタン チーム”なのか、“アスタナ・カザクスタン チーム”なのかなどを確認。ちなみにこの件であれば、同国発音される“カザクスタン”でカタカナ表記はまとまる見通しだ。

また、例外として「定着度の高さ」も表記の方向性を定める要素として認められている。今回の議論の一例としては、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャで大活躍したオドクリスティアン・エイキング(2022年よりEFエデュケーション・NIPPO、ノルウェー)は、ノルウェー語に忠実に発音すると“オッドクリスティアン・エイキン”となるが、レースファン内での定着度をとるか、本来の発音に寄せるかの検討がなされた。

プロデビュー目前の新星の名前に参加者が悩まされる場面も

各チームの来季所属予定選手リストを見ながら、要検討の選手名をチェックしていく

なかでも参加者を悩ませたのが、来季からボーラ・ハンスグローエで走るネオプロの「Cian UIJTDEBROEKS」という選手名。現在18歳で、ジュニアカテゴリーではタイトルを総ナメにしてきた注目株とあり、このミーティングでは議論必須案件だった。

ベルギー北部・フランドル地方で話されるフラマン語をベースに、当初提示されたのが「キアン・アイドゥブルックス」。現地のニュース音声を検証材料とし確認していくと、「エイテブルックス」「ユエイテブルックス」など、聴く人によってその印象はさまざま。このミーティングだけでは表記確定には至らず、改めて現地報道などを通じて検証が続けられることとなった。

解説者としてもおなじみの別府始さん。「UIJTDEBROEKS」は「ユエイテブルックス」と主張する

クレモン・ヴァントゥリーニ(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム)に代表される、フランスではスタンダードなファーストネーム“クレモン”(Clément)も、フランス語に忠実に発音すると“クレモン”と“クレマン”とで聴こえが分かれるのが実情。そこは、フランス語が堪能で、このウェブサイトでもおなじみの山崎健一さんの見解も交えながら、カタカナ表記の検討を行った。

このほか、来季よりモビスター チームで走るネオプロのブラジル人ライダー「Vinicius RANGEL」であれば、同国で話されるポルトガル語に則して“ヴィニシウス・ハンジェル”とするなど、つい英語読みまたはローマ字読みをしてしまいそうな選手名もできる限り現地語に近い表記にできるよう話し合いを進めていった。

検討・検証は継続 来季シーズンインに乞うご期待

日本国内のロードレース有識者が一堂に会してのミーティングはひとまず終わったが、レース報道に適切なカタカナ表記の検討・検証は引き続き行われる。

この協議の方針として「強制力を生まない」ことを掲げており、各メディアの編集ルールやジャーナリストの見解を優先して記述していくことも可能になっている。多くのチーム・選手が活躍する競技性や日本語の特性などが入り組み、表記すべての統一が困難であることは筆者を含めたジャーナリストやメディア関係者の共通認識でもある。本記を読まれるみなさんも、そのあたりはどうかご理解願いたい。

トップチームの2022年シーズンレース活動スタートは1月下旬。ロードレース・カタカナ表記ミーティングを経たレース報道や選手名表記を楽しみにしておいてほしい。

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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