会津~長野まで、上りっぱなしの酷道200kmの旅・前編|筧 五郎の酷道の旅
Bicycle Club編集部
- 2022年01月07日
初の枝折峠、思わぬ絶景に感動!
「ここが枝折峠だぁ」と思った先にランナーが10人ほどいたので、「ここはえだおり峠ですか?」と聞いた。「えだおり? あ~しおり峠のことね。それなら10km下った先から7km上って枝折峠だよ」と教えられたのだが、まだ上るの?と思った。ここで僕は、枝折峠をしおり峠と呼ぶことを知るのだ。
途中、銀山平からは念願の奥只見シルバーラインを歩いた。残念ながら自転車は通行禁止なので、自転車を置いて徒歩でトンネル内部に向かった。内部はとてつもない冷気で、体中の汗が一気に引いた。オレンジ色のライトに、霧で50m先も見えないその景色は、スターウォーズのジェダイ登場シーンを彷彿とさせるものだった。自転車は走れないが、「来て良かった」と感動した。
感動のあとは、枝折峠への7kmの上りだ。なだらかな勾配が続き、これは楽な峠かと思ったら、僕の予想を裏切ることなく峠に着く。しかし、国道352号を走って驚いたのが、片側の景色が見える時間が長いことだ。これは走っていて、じつに気持ちがいい。“酷道”と呼ぶのが失礼と感じるほど。枝折峠からの下り区間は、新潟県を代表する越後駒ヶ岳と八海山が見え続けるのだ。「宿に着いたら日本酒八海山を飲むのだ」と心に誓いながら下った。
新潟は米どころだ。魚沼市まで走ってきて、コシヒカリを食べたい!という願いがようやくかないそうだ。
宿に着くまで辛抱、辛抱だと言い聞かせたためか、ハンガーノックになりかけてしまった。
さっきまでは貴重な補給食のおにぎりだと思っていたが、日本一のコシヒカリの田んぼを前に食べるコンビニのおにぎりは何もありがたみがなく、それはそれで悲しかった。
温泉で思いっきり脚を伸ばし、目の前に広がる八海山を見ながらの食事となった。待望の魚沼産コシヒカリである。それがおいしかったことは言うまでもない。
▼「酷道200kmの旅」2日目はコチラから
ライダー紹介
筧 五郎
NHK BS-1「チャリダー☆」で人気のホビーレーサー。「酷道」ハンターとしても知られる。2005年国内ヒルクライムレースの最高峰、乗鞍のチャンピオンクラスに優勝。名古屋のショップ「56CYCLE」店長
※この記事はBiCYCLE CLUB別冊「ロードバイク一人旅入門」からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
出典
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Bicycle Club編集部
ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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