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フランス伝統の2チーム、ツールへ視界は良好 AG2R&グルパマ2022年体制|ロードレースジャーナル

vol.26 資金力アップで昨年は快進撃
今季は数人のエース頼みに限らないチーム作りを目指す

国内外のロードレース情報を専門的にお届けする連載「ロードレースジャーナル」。進行中の2022年トップチームの展望は今回、フランスが誇る伝統の2つのチームを紹介。ベン・オコーナー(オーストラリア)やブノワ・コスヌフロワ(フランス)のエース擁立に成功したアージェードゥーゼール・シトロエン チームは、新シーズンへ向けて順調な調整ぶり。一方のグルパマ・エフデジも、最大目標のツール・ド・フランスへ向けて早くも5選手のメンバー入りを発表。ともに、目指す高みへの視界は明るい。

計算できるエースを擁してプロトンの台風の目に アージェードゥーゼール・シトロエン チーム

アージェードゥーゼール・シトロエン チーム
2021UCIチームランキング:8

昨年挙げた12勝は、どれもインパクトに満ちたものだった。オコーナーが初の総合エースとして臨んだツールでステージ1勝。そのままの勢いで個人総合でも4位を収めると、ジロ・デ・イタリアではアンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア)、ブエルタ・ア・エスパーニャではクレマン・シャンプッサン(フランス)もそれぞれステージ優勝。チームが期待をかけてきた選手たちが、大舞台で結果を残した。

昨年のツール・ド・フランスで個人総合4位と大躍進のベン・オコーナー。今年もチームの総合エースを担う ©︎ A.S.O./Pauline Ballet

さらには、コスヌフロワがブルターニュクラシック・ウエストフランスでのUCIワールドツアー初勝利を筆頭に、チーム勝ち頭となる3勝。ブルターニュでの勝利は世界王者ジュリアン・アラフィリップ(フランス)との争いを制してのものだから、その価値は一層高まった。

1992年に発足し、ちょうど30シーズン目の節目の1年だった昨季、チームは大きな転換期を迎えた。タイトルスポンサーに自動車ブランドのシトロエン社を迎えたことにより、それまで不安視されていた財政面が大幅に改善。それに合わせるかのように、選手たちが躍動したのだった。

運営の安定がレースでの活躍に反映されることを実証する好例となったチームは、今年も計算できるエースを軸に戦っていく。やはりオコーナーは今年もツールで総合エースを務める。さすがに今年はマークが厳しくなるだろうが、山岳・個人タイムトライアルともにもう一段階レベルアップを図って、本番へと臨みたい。すでにレーススケジュールが固まっており、ステージレースを中心に走る。本人がポイントとして挙げるのが、3月のパリ~ニースとボルタ・ア・カタルーニャの連戦。ここである程度手ごたえをつかんでおきたいとのこと。

フランス代表の常連にもなっているコスヌフロワは、ワンデーレースにフォーカス。ラ・フレーシュ・ワロンヌとリエージュ~バストーニュ~リエージュで勝負に絡みたい。昨年は膝の故障でシーズンインが遅れた分、秋にかけて調子が上がるメリットもあったが、今年はシーズンを通して優勝争いに加わる走りが託される。ハマったときのパンチ力や勝負強さはライバルを寄せ付けないものがあるだけに、それらを武器に飛躍のシーズンとしたいところ。

すっかりフランス代表クラスに成長したブノワ・コスヌフロワ。今季はフルシーズン戦い抜くことが課題となってくる ©︎ A.S.O./Aurélien Vialatte

エースの擁立に成功し、これからはオコーナーとコスヌフロワばかりに頼らない戦力強化を目指すことになる。意外性のヴェンドラーメや将来を嘱望されるシャンプッサンはもちろんだが、期待されながらコンディション不良に泣いたボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)やグレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー)の復調も待たれる。とくにファンアーヴェルマートはオリヴェル・ナーセン(ベルギー)とのコンビで北のクラシックを戦わなくてはならない。若い選手も多く、育成のうまさも近いうちに証明できるはずだ。

アージェードゥーゼール・シトロエン チーム 2022年シーズン 所属選手

●継続
クレマン・ベルテ(フランス)
ジョフレ・ブシャール(フランス)
リリアン・カルメジャーヌ(フランス)
クレマン・シャンプッサン(フランス)
ミカエル・シェレル(フランス)
ブノワ・コスヌフロワ(フランス)
スタン・デウルフ(ベルギー)
ドリアン・ゴドン(フランス)
ヤーコ・ハンニネン(フィンランド)
アントニー・ジュリアン(フランス)
ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)
ローレンス・ナーセン(ベルギー)
オリヴェル・ナーセン(ベルギー)
ベン・オコーナー(オーストラリア)
オレリアン・パレパントル(フランス)
ナンス・ペテルス(フランス)
ニコラ・プロドム(フランス)
マルク・サロー(フランス)
ミヒャエル・シェアー(スイス)
ダミアン・トゥゼ(フランス)
グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー)
ハイス・ファンフッケ(ベルギー)
アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア)
クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス)
ローレンス・ワーバス(アメリカ)

●加入
フェリックス・ガル(オーストリア) チームDSMより移籍
ポール・ラペラ(フランス) アージェードゥーゼール・シトロエン U23より昇格
ヴァランタン・パレパントル(フランス) アージェードゥーゼール・シトロエン U23より昇格
アントワーヌ・ロージェル(フランス) グルパマ・エフデジコンチネンタルチームから移籍

ツール内定5選手を発表、ピノ完全復活へ グルパマ・エフデジ

グルパマ・エフデジ
2021UCIチームランキング:9

同じくフランスをベースとするグルパマ・エフデジも今シーズンの準備を軌道に乗せている。111日にはツールへ向けて、どこよりも早く5選手を正式発表。ティボー・ピノ、ダヴィド・ゴデュ、ヴァランタン・マドゥアス(いずれもフランス)、シュテファン・キュング(スイス)、マイケル・ストーラー(オーストラリア)、いずれも押しも押されもせぬチームのリーダー格だ。

本番まで約半年前に大きな決定をしたあたりに、チームの本気度がうかがえる。長年チームを支えてきたピノは、頂点が見えていた2019年のツールで故障リタイア。翌年も落車に起因する背部のケガで結果を残すことができなかった。回復に長く時間がかかったが、昨シーズン後半に戦線復帰し、このほど行ったグラン・カナリア島(スペイン)でのトレーニングキャンプでも調子は上向きに。心身のプレッシャーを軽減するために、ゴデュとストーラーとのトリプルリーダー体制を受け入れて、ツールに照準を定めることとした。

ここ数年の走りでは、ゴデュとストーラーの方がピノより計算はできるだろう。ゴデュは昨年、リエージュで表彰台の一角(3位)を占めたほか、コンスタントに上位を押さえたが、ツールだけは悔いの残る結果に終わった。大会中盤にやってきた「バッドデイ」は、本人に言わせれば「タイミングが悪すぎた」。最後まで上位復帰が果たせないままパリまで行ってしまったことが何より悔しかった。今年はピノとストーラーと並ぶ立場だが、シーズン前半から違いを見せていくべく飛ばしていくつもりだ。春のクラシックでは優勝を目指す。

ツールでトリプルリーダー体制を予定するグルパマ・エフデジだが、近年の活躍を見るにダヴィド・ゴデュが総合エース一番手と見るのが自然だろう ©︎ A.S.O./ Fabien Boukla

昨年のブエルタでステージ2勝、最終的に山岳賞を獲得したストーラーは今季、ダークホースとしてレースシーンをにぎわせる可能性を秘める。短期間のステージレースではすでに結果を残しており、クライマーとしての資質は証明済み。移籍によって環境は変わったが、チームの期待度はかなりのもの。まずは、220日開幕のUCIワールドツアー初戦・UAEツアーで真価が試される。

移籍加入のマイケル・ストーラー。早速チームの総合エースとして信頼を勝ち取ったよう。ツールでの活躍も期待される ©Cxcling

総合狙いが具体化しているチーム事情もあり、ビッグスプリンターの1人であるアルノー・デマール(フランス)はジロに回る。2年前にはポイント賞「マリアチクラミーノ」をゲットしており、相性は抜群。ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)やラモン・シンケルダム(オランダ)の不動のリードアウトマンも控えており、順当にいけば再びマリアチクラミーノ争いに参戦することだろう。

地元フランス勢を中心としたバランスの取れたチーム構築が強みだが、唯一ともいえる“穴”が石畳系クラシックの攻略に苦心している点。そこはキュングが意欲的で、「脚質的にももっと改善していけると思う」と述べている。個人タイムトライアルの現役ヨーロッパ王者が、持ち前のパワーとレーシングスキルで北のクラシックに名乗りを上げている。スイスの大先輩であるファビアン・カンチェラーラのように、タイムトライアルと石畳を主戦場にできれば、チームの大幅なレベルアップは間違いない。

グルパマ・エフデジ 2022年シーズン 所属選手

●継続
ブルーノ・アルミライル(フランス)
マッテオ・バディラッティ(スイス)
クレモン・ダヴィ(フランス)
アルノー・デマール(フランス)
アントワーヌ・デュシェーヌ(カナダ)
ダヴィド・ゴデュ(フランス)
ケヴィン・ゲニエッツ(ルクセンブルク)
ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)
イグナタス・コノヴァロヴァス(リトアニア)
シュテファン・キュング(スイス)
マチュー・ラダニュス(フランス)
オリヴィエ・ルガック(フランス)
ファビアン・リーンハルト(スイス)
トビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン)
ヴァランタン・マドゥアス(フランス)
ルディ・モラール(フランス)
ティボー・ピノ(フランス)
セバスティアン・レイシェンバック(スイス)
アントニー・ルー(フランス)
マイルズ・スコットソン(オーストラリア)
ラモン・シンケルダム(オランダ)
ジェイク・スチュワート(イギリス)
アッティラ・ヴァルテル(ハンガリー)
ラルス・ファンデンベルフ(オランダ)

●加入
ルイス・アスキー(イギリス) グルパマ・エフデジコンチネンタルチームより昇格
カンタン・パシェ(フランス) B&Bホテルズp/bカテエムより移籍
マイケル・ストーラー(オーストラリア) チームDSMより移籍
ブラム・ウェルテン(オランダ) チーム アルケア・サムシックより移籍

福光 俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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