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選手の大幅入れ替えで選手層に厚み、コフィディス&EF 2022年体制|ロードレースジャーナル

vol.29 堅実補強で弱点を補う
その効果がシーズンのスタートダッシュに現れる

国内外のロードレース情報を専門的にお届けする連載「ロードレースジャーナル」。オフシーズンから継続して紹介してきたUCIワールドチームの2022年動向は、いよいよ今回で全チーム登場となる。締めは、フランス伝統チームのコフィディスと、中根英登の走りに今年も期待のEFエデュケーション・イージーポスト。プロトンではおなじみの両チームは、この冬に堅実的な選手補強を行い、その効果がシーズンイン早々に現れている。目標となるツール・ド・フランスに向けて、エースクラスの現状も気になるところだ。そんな両者の今シーズンを占っていこう。

コカール、トマら即戦力加入組がチーム力を押し上げ コフィディス

コフィディス
2021年UCIチームランキング15位

ヨーロッパや中東で展開されているシーズン序盤のレースにおいて、快進撃となる走りを見せているのが、“白と赤の軍団”であるコフィディスである。フランスきっての伝統チームだが、ここ数年はライバルチームの後塵を拝することが多く、どこか地味な印象は拭えずにいた。しかし、今年の彼らはこれまでとは違った姿を見せてくれそうだ。

2月2~6日に行われた、事実上のフランス国内開幕戦にあたるステージレース・エトワール・ド・ベッセージュ(UCIヨーロッパツアー2.1)で彼らは強さを示してみせた。まず第2ステージで、移籍加入組のブライアン・コカール(フランス)が急坂スプリントをパワーで勝利。ここでチームに勢いづけると、大会初日からステージ優勝争いに加わっていたバンジャマン・トマ(フランス)が翌日の第3ステージで単独逃げ切りに成功。個人総合でトップに立ち、最終日までリーダージャージを守り抜いたのだ。ともに元来力がある選手とはいえ、シーズン序盤からの活躍は、チームとして新たな方向性を感じさせるインパクトとなった。

フランスに本格的なシーズンの到来を告げるエトワール・ド・ベッセージュで加入したばかりのバンジャマン・トマが個人総合優勝。チームに勢いをもたらした ©︎ COFIDIS

もっとも、昨年を振り返ると、チームが獲得したUCIポイントのうち8割近くがクリストフ・ラポルト、ギヨーム・マルタン(ともにフランス)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)の3人が稼いだものだった。しかし、ラポルトがチーム ユンボ・ヴィスマへ、ヴィヴィアーニがイネオス・グレナディアーズにそれぞれ移籍。マルタンにグランツールで個人総合上位に入る力があるとはいえ、彼ひとりにすべてを託すようなチーム状態では、各チームの力が拮抗する中で苦戦を強いられるのが火を見るよりも明らかであった。

そんな危機的状況を立て直すべく、チームは補強に着手。派手さこそないが、トラックからロードに主戦場を移して好走を続けてきたコカールやトマ、スプリンターとしての実績は申し分なしのダヴィデ・チモライ(イタリア)、ステージレースやクラシックでいくつもの好成績を挙げるヨン・イサギレ(スペイン)らの獲得に成功。前述のコカールとトマの活躍は、即戦力として加わった選手たちがきっちりとチームに順応していることを証明する結果ともなった。

移籍加入したブライアン・コカールもチームに順応。エーススプリンターの座は固い ©︎ Getty Images

着々と進行していく今季への楽しみが増えていく中、これからの注目はやはり総合エースのマルタンとベテランのイサギレとなっていきそうだ。ツール個人総合8位、同じくブエルタでは9位、東京五輪にも出場したマルタンはグランツールレーサーとしての地位を築き、今年はさらなるジャンプアップが見込まれる。すでに、ジロ・デ・イタリアとツールにフォーカスすると公言しており、3月のパリ~ニース、ボルタ・ア・カタルーニャ、4月のリエージュ~バストーニュ~リエージュの走りがポイントになってくるとも述べている。ロードレース界指折りの理論派である28歳。その知性に導き出された走りはどんな結果に結びつくだろうか。

グランツールで総合エースを務めるギヨーム・マルタン。個人総合上位の常連を固めるシーズンを迎える ©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

キャリアで初めてフランスチームで走るイサギレは、アルデンヌクラシックとグランツールでのステージ優勝が目標。個人タイムトライアルではスペイン王者となるなど、33歳となった今もそのスピードに陰りは見られない。ステージ狙いの要素が強いチームのレーススタンスにも合致し、今年は随所で持ち味を発揮できることだろう。

メンバーが半数近く入れ替わったが、残留組では昨年のツールでステージ1勝のヴィクトル・ラフェ(フランス)や、ここ一番での勝ち方を知るヘスス・エラダ(スペイン)らが控え、移籍加入組との融合でチーム力アップを図る。

コフィディス 2022年シーズン 所属選手

●継続
ピート・アレハールト(ベルギー)
トム・ボーリ(スイス)
アンドレ・カルヴァーリョ(ポルトガル)
トマ・シャンピオン(フランス)
シモーネ・コンソンニ(イタリア)
ルーベン・フェルナンデス(スペイン)
エディ・フィネ(フランス)
シモン・ゲシュケ(ドイツ)
ヘスス・エラダ(スペイン)
ホセ・エラダ(スペイン)
ヴィクトル・ラフェ(フランス)
ギヨーム・マルタン(フランス)
アントニー・ペレス(フランス)
ピエールリュック・ペリション(フランス)
レミ・ロシャス(フランス)
シュモン・サイノク(ポーランド)
ケニース・ファンビルセン(ベルギー)
イエール・ワライス(ベルギー)

●加入
サンデル・アルメ(ベルギー) チーム クベカ・ネクストハッシュより移籍
フランソワ・ビダール(フランス) アージェードゥーゼール・シトロエンチームより移籍
ダヴィデ・チモライ(イタリア) イスラエル・スタートアップネイションより移籍
ブライアン・コカール(フランス) B&Bホテルズp/bカテエムより移籍
アレクサンドル・ドゥレットル(フランス) デルコより移籍
ヨン・イサギレ(スペイン) アスタナ・プレミアテックより移籍
ウェスリー・クレダー(オランダ) アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオより移籍
アレクシス・ルナール(フランス) イスラエル・スタートアップネイションより移籍
バンジャマン・トマ(フランス) グルパマ・エフデジより移籍
ユーゴ・トゥミレ(フランス) ネオプロ
ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア) モビスター チーム
マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ) チーム クベカ・ネクストハッシュより移籍
アクセル・ザングル(フランス) ネオプロ

中間層の構築でエースを上位へと押し上げ EFエデュケーション・イージーポスト

EFエデュケーション・イージーポスト
2021年UCIチームランキング:16位

日本にも法人を構えるEFエデュケーション・ファースト社がメインスポンサーを務め、キャノンデール社、ラファ社、そして長年ロードレース界に貢献を続けるNIPPO社など、われわれにもなじみ深い企業がスポンサーに名を連ねるEFエデュケーション・イージーポスト。過去にはジャパンカップなど日本のレースにも参戦し、多くのファンを魅了した。

そんなチームは今季を迎えるにあたり、半数近い選手の入れ替えを行った。退団選手の多くが引退によるものだが、その分を補うどころか一気に戦力アップを見込めるほどの陣容に。チームマネージャーのジョナサン・ヴォーターズ氏は、「これまでで最も強力なラインナップとなった」と話す。本格化するシーズンへ、手ごたえは十分のようだ。

昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでリーダージャージを着用したオドクリスティアン・エイキングがEFエデュケーション・イージーポスト入り。チーム力アップの一端となりそうだ ©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

何より、エースクラスを支える中間層の充実度が挙げられる。昨年のブエルタでリーダージャージ「マイヨロホ」を着用しヒーローの1人となったオドクリスティアン・エイキング(ノルウェー)や、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネのステージ2連勝が印象深いマーク・パデュン(ウクライナ)、ベテランの域に入ったエステバン・チャベス(コロンビア)といったバリューのある選手たちが次々と合流。アシストとしてだけでなく、ときに自らも勝負に出られる選手たちがそろったことは、自然と戦術の幅が広がる。チーム状況によっては、ビッグレースでエースの役割を担うことも考えられる。

好条件が整い、エースクラスの選手たちが“主戦場”でいかに躍動するかが見もの。グランツールは、もちろんリゴベルト・ウラン(コロンビア)とヒュー・カーシー(イギリス)がリーダー。クラシックレースでは、2019年のロンド・ファン・フラーンデレンを制したアルベルト・ベッティオル(イタリア)や昨年後半から一気に調子を上げているミケル・ヴァルグレン(デンマーク)が中心。ベッティオルは昨年の東京五輪後に体調を崩しそのままシーズンを終えたが、すでに復調。エトワール・ド・ベッセージュで個人総合2位とまとめ、来る北のクラシックへ調整を進めている。また、ブエルタでステージ3勝を挙げたマグヌス・コルト(デンマーク)やクラシカ・サン・セバスティアンを制したニールソン・ポーレス(アメリカ)も主力として計算でき、勝利数量産への期待も膨らむ。

昨年は体調不良に泣いたアルベルト・ベッティオルが復調。エトワール・ド・ベッセージュで個人総合2位となりターゲットである北のクラシックへ手ごたえをつかんだ ©︎ Getty Images

そして、このチームで2年目を迎える中根も現地ですでに始動。スペインを拠点に走る様子をSNSにアップするなど、レースヘ向けた準備も上々のよう。昨年は有名レースでの走りで日本のファンを喜ばせたが、今シーズンもたくさんの明るい話題を届けてくれるはずだ。今年の皮切りとして、2月12日のブエルタ・ア・ムルシア(UCIヨーロッパツアー1.1)、13日のクラシカ・デ・アルメリア(同1.Pro)、14日のクラシカ・ハエン(同ヨーロッパツアー1.1)のスペイン3連戦に出走。長きシーズンの船出を切っている。

EFエデュケーション・イージーポスト 2022年シーズン 所属選手

●継続
ダニエル・アロヤベ(コロンビア)
アルベルト・ベッティオル(イタリア)
シュテファン・ビッセガー(スイス)
ヨナタン・カイセド(エクアドル)
ディエゴ・カマルゴ(コロンビア)
サイモン・カー(イギリス)
ヒュー・カーシー(イギリス)
マグナス・コルト(デンマーク)
ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル)
アレックス・ハウズ(アメリカ)
イェンス・クークレール(ベルギー)
セバスティアン・ラングフェルド(オランダ)
ラクラン・モートン(オーストラリア)
中根英登(日本)
ニールソン・ポーレス(アメリカ)
ヨナス・ルッチ(ドイツ)
トム・スクーリー(ニュージーランド)
リゴベルト・ウラン(コロンビア)
ミケル・ヴァルグレン(デンマーク)
ジュリアス・ファンデンベルフ(オランダ)

●加入
エステバン・チャベス(コロンビア) チーム バイクエクスチェンジより移籍
オウェイン・ドール(イギリス) イネオス・グレナディアーズより移籍
オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー) アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオより移籍
ベン・ヒーリー(アイルランド) トリニティーレーシングより移籍
メルハウィ・クドゥス(エリトリア) アスタナ・プレミアテックより移籍
マーク・パデュン(ウクライナ) バーレーン・ヴィクトリアスより移籍
ショーン・クイン(アメリカ) ハーゲンズバーマン・アクセオンより移籍
ジェームズ・ショー(イギリス) リブル・ウェルドタイトプロサイクリングより移籍
ゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ) チロル・カテエムサイクリングチームより移籍
マリーン・ファンデンベルフ(オランダ) グルパマ・エフデジコンチネンタルチームより移籍
ルーカス・ヴィシニオウスキー(ポーランド) チーム クベカ・ネクストハッシュより移籍

福光 俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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