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ピーダスンがロングスプリントをモノに、ラポルトは落車も総合首位キープ|パリ~ニース第3ステージ

UCIワールドツアーのパリ~ニースは現地38日に第3ステージを行った。レース後半のアップダウンで出入りが繰り返されたものの、最終的にはスプリントフィニッシュに。ステージ優勝争いは、ロングスプリントに持ち込んだマッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)の作戦が成功。この大会では初めてとなる勝利を挙げた。個人総合トップの証であるマイヨジョーヌは、引き続きクリストフ・ラポルト(ユンボ・ヴィスマ、フランス)が着用することに。フィニッシュ前で落車に巻き込まれたが、ピーダスンらと同タイム扱いとなりジャージのキープに成功している。

フィニッシュ前のレイアウトを把握していたピーダスン、早めの仕掛けが奏功

フランス北部から日々南へと針路をとっているプロトン。大会3日目はビエルゾンからデュン=ル=パレステルまでの191kmに設定された。平坦ステージにカテゴライズされるが、中盤以降細かなアップダウンが連続。3級山岳が3カ所控えるほか、フィニッシュ前2km34%の勾配が続く。スプリンター有利ではあるものの、風やレースペース次第では大きな変化が起きることも考えられた。

3人が先行する形で進んだレース前半。最大で5分ほどのタイム差まで広がった。その後は少しずつ差が詰まっていき、残り50kmで約230秒、残り35kmでは125秒まで縮まった。この流れから、フィニッシュ前32kmではセーアン・クラーウアナスン(チーム ディーエスエム、デンマーク)がメイン集団からアタック。ここはコフィディスがペースアップを図って、逃げていた選手たちをすべてキャッチ。ただ、細かなアップダウンが連続する局面とあって、上りを利用した仕掛けが散発した。

©︎ A.S.O./Alex Broadway

残り25kmではカンタン・パシェ(グルパマ・エフデジ、フランス)がアタック。ヴィクトル・コレツキー(B&Bホテルズ KTM、フランス)が追随したが、完全にリードを奪うところまでは至らない。この流れのまま172.1km地点に設けられた中間スプリントポイントへ。個人総合4位につけるピエール・ラトゥール(トタルエナジーズ、フランス)が1位通過して、3秒のボーナスタイム獲得に成功。同3位につけるプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)もさすがに逃さず2位通過。2秒のボーナスをゲットした。

©︎ A.S.O./Alex Broadway

フィニッシュまで10kmを切ると、マイヨジョーヌを着用するラポルト自ら集団をコントロール。クラーウアナスンが再びアタックし、オリヴィエ・ルガック(グルパマ・エフデジ、フランス)も続いたが、勢いは集団の方が上。2人を吸収するのに時間を要することはなく、プロトンは一団のまま最終局面へと入っていった。

©︎ A.S.O./Alex Broadway

前日勝ったファビオ・ヤコブセン(クイックステップ・アルファヴィニル、オランダ)ら、スプリント自慢の一部が遅れたこともあり、上りに強いスプリンターが有利な展開に。残り1kmを切って混戦から主導権を確保したのはトレック・セガフレード。ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー)がピーダスンを従えて先頭へ。そして、最後の300m。ピーダスンが思い切って加速した。

先頭に立ったピーダスンをチェックしたのはワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)とブライアン・コカール(コフィディス、フランス)。3人の争いとなったステージ優勝争いだったが、ピーダスンはファンアールトとコカールに前を譲らず。長い上りスプリントになったものの、狙いどおりの一着フィニッシュ。パリ~ニースでは初めてとなるステージ優勝を挙げた。

©︎ A.S.O./Alex Broadway

ピーダスンといえば、2019年の世界チャンピオン。チームではスプリントに加えて、石畳系クラシックのエースも務める。多くのレースでコンビを組むのが、この日牽引役を務めたストゥイヴェン。2人のコンビプレーが生きて、勝利を手繰り寄せた。

ステージ2位にはコカール、同じく3位にはファンアールトと続いた。また、マイヨジョーヌはラポルトがキープ。最終局面でファンアールトを引き上げた後、他選手の落車に巻き込まれて臀部を痛がる素振りを見せていたが、何とか起き上がってアシスト陣とともにフィニッシュラインを通過。ここまで良い走りを見せてきたが、次のステージ以降も元気に出走できるだろうか。総合タイム差1秒でファンアールトが2位、9秒差でログリッチが3位と、第1ステージ以降ユンボ・ヴィスマ勢の上位独占が続いている。

ここまでは平坦コースや横風といった要素によってハイスピードレースが続いたが、9日に行われる第4ステージから流れが変化しそうだ。この日は13.4kmの個人タイムトライアル。序盤から細かなアップダウンが続き、最後の700mは一気の上り。平均勾配8.6%を駆け上がる。独走力と登坂力、両方を兼ね備えた選手が上位に顔を見せることになるだろう。個人総合争いにおいても、重要な1日になる。

ステージ優勝 マッズ・ピーダスン コメント

©︎ A.S.O./Alex Broadway

「フィニッシュの特徴は把握していたので、早めの仕掛けを試みた。結果的に完ぺきに決まって、最終局面で運がなかった前日とはまったく異なる状況になった。

今日のチームは本当に素晴らしくて、アレックス(キルシュ)とヤスパー(ストゥイヴェン)が最高のリードアウトだった。タイミングを計って、頭を下げてフィニッシュラインに突き進むだけだった。後ろにいた選手たちに抜かれずに終えられたのは幸運だった。

UCIワールドツアーでの勝利は、2020年のヘント~ウェヴェルヘム以来。今年はシーズン序盤から順調で、目標であるクラシックへ正しい道を進んでいると思う。世界選手権を勝った時はキャリアでも最高のコンディションだったが、それに近いところまで来ていると実感している」

個人総合時間賞 クリストフ・ラポルト コメント

©︎ A.S.O./Alex Broadway

「多くのチームがハードなレースに持ち込みたいと考えていたと思うが、われわれもこのステージを成功させられた。1日を通して激しかったが、最終局面へ向けてベストを尽くした。進行方向から見て右から風が来ていた。できることなら左サイドからワウト(ファンアールト)を引き上げようと考えていたが難しく、彼自身でポジションを確保してもらうほかなかった。

クラッシュは決して喜ばしいこととはいえない。目の前で落車が発生したので避けきれなかった。臀部と膝を痛めてしまったが、それほど深刻ではないと思う。仕方がないとはいえ、良い気分とは言えないね」

パリ~ニース2022 第3ステージ結果

ステージ結果

1 マッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク) 4:23’29”
2 ブライアン・コカール(コフィディス、フランス)ST
3 ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)
4 ヤスパー・フィリプセン(アルペシン・フェニックス、ベルギー)
5 アンソニー・トゥルジス(トタルエナジーズ、フランス)
6 ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、エリトリア)
7 フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス、イギリス)
8 ダニー・ファンポッペル(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)
9 イーサン・ハイター(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)
10 フアン・モラノ(UAEチームエミレーツ、コロンビア)

個人総合時間賞

1 クリストフ・ラポルト(ユンボ・ヴィスマ、フランス) 11:34’44”
2 ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)+0’01”
3 プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)+0’09”
4 マッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)+0’29”
5 ブライアン・コカール(コフィディス、フランス)+0’33”
6 ピエール・ラトゥール(トタルエナジーズ、フランス)ST
7 ゼネク・スティバル(クイックステップ・アルファヴィニル、チェコ)+0’38”
8 ヤスパー・ストゥイヴェン(トレック・セガフレード、ベルギー)+0’39”
9 アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ、ロシア)ST
10 フロリアン・セネシャル(クイックステップ・アルファヴィニル、フランス)

ポイント賞

ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)

山岳賞

マシュー・ホームズ(ロット・スーダル、イギリス)

ヤングライダー賞

スタン・デウルフ(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、ベルギー)

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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