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国際自転車連合がウクライナ人選手救済、スポーツ界に広がる影響|ロードレースジャーナル

vol.30 ロシアとベラルーシ籍のチームはレースシーンから排除
ルスヴェロは事実上の解体状態に

国内外のロードレース情報を専門的にお届けする連載「ロードレースジャーナル」。日々ニュースをにぎわせているウクライナ情勢に関して、ロードレースの側面からチェックし、現況をまとめていこうと思う。最大のトピックは、競技を統括するUCI(国際自転車競技連合)がロシアとベラルーシ、両国籍のチームをレースシーンから除外した動きだ。

ロシア、ベラルーシに対するUCIの決定

ロシアがウクライナへ軍事侵攻を開始したのが2月24日。その5日後の3月1日、UCIは声明を出し、ロシア籍とベラルーシ籍のチームがUCI公認レースへ出場することを禁止する決定を下した。

これに先立って、IOC(国際オリンピック委員会)がロシアとベラルーシ両国選手の国際大会出場を禁ずる決定をしており、UCIが足並みをそろえた格好だ。

UCI管理委員会が全会一致で決定した内容は、以下の通り。

1.ロシアおよびベラルーシの代表チームまたは国内選抜への、UCI国際カレンダーのレースイベント出場を許可しない

2.ロシアまたはベラルーシ籍のチームのステータスが取り消され、今後の再申請についても検討しないものとする。効力は以下のチームに発する

●UCIプロチーム
ガズプロム・ルスヴェロ(ロシア)

●UCIトラックチームマラソン
トゥーラサイクリングチーム(ロシア)

●UCIコンチネンタルチーム
ヴォズプロイズヴェデニー(ロシア)
CCNファクトリーレーシング(ベラルーシ)
ミンスクサイクリングクラブ(ベラルーシ)

●UCIウィメンズコンチネンタルチーム
ミンスクサイクリングクラブ(ベラルーシ)

3.2022年のUCI国際カレンダーからロシアおよびベラルーシでのイベント開催を撤回し、今後の登録要求を考慮しないものとする。効力は以下のイベントに発する

グランプリモスクワ1:クラス2トラックイベント(5月20~21日)
グランフォンドモスクワ:UCIグランフォンドワールドシリーズイベント(5月21~22日)
グランプリモスクワ2:カテゴリー2トラックイベント(5月22日)
グランプリサンクトペテルブルク:カテゴリー2トラックイベント(5月26~29日)
ファイブリングス・オブ・モスクワ:2.2クラスロードイベント(6月8~12日)

4.ロシアとベラルーシの国内選手権もUCI国際カレンダーから除外

5.UCI国際カレンダーにおけるすべてのイベントで、ロシアとベラルーシに関連するすべてのエンブレム・名前・国コード・国旗・国歌を用いることを禁止する。つまり、ロシアとベラルーシのナショナルチャンピオンジャージの着用も禁止される

6.UCIイベント開催へのロシアおよびベラルーシからの入札は認められない

7.UCI国際カレンダーのイベント主催者へ、ロシアとベラルーシのクラブ・地域チーム・混合チームの招待を禁ずる

8.UCIは今後通知するまで、ロシアまたはベラルーシの国際コミッセールをUCI国際カレンダーのイベントメンバーに任命しない

 

UCIによる声明
https://www.uci.org/pressrelease/the-uci-takes-strong-measures-in-the-face-of-the-situation-in-ukraine/6V8FrkqsPbhbeMIc8rgb3t

この決定により、先のUAEツアーで活躍したガズプロム・ルスヴェロの今後の活動は禁じられることとなった。第6ステージでは19歳のマティアス・ヴァチェク(チェコ)が勝利するなどインパクトを残したが、ロシア国籍の選手はもとより、ヴァチェクを含む12人の他国籍の選手も同チームでの活動が不可能に。また、UCI発表の直前には、同チームをサポートしていたルック社がパートナーシップ契約を停止すると発表。チームはジロ・デ・イタリアへのワイルドカード選出を目指してイタリア人選手を多数採用していたが、選出されなかったどころか、現在は事実上の解体状態となっている。

UAEツアー第6ステージではガズプロム・ルスヴェロのマティアス・ヴァチェクが勝利したが、現在はチーム活動が禁じられている ©︎ LaPresse

一方で、ロシアまたはベラルーシのライセンス所有者であっても、他国籍のチームに所属している場合に限って、所属チームとともにUCI国際カレンダーのイベントに参加できることも発表された。該当する選手・関係者へは、中立的な立場であることが条件として提示され、エンブレム・名前・国コード・国旗といったロシアやベラルーシを想起させるものの使用は認められない。これらはすべて、UCIによって指示されたものによって代用されることになる。対象選手としては、アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)らの名が挙がる。

なお、これらの決定によって資格を失ったロシア、ベラルーシの選手が競技活動を継続できるよう救済を図っていくこともUCIは挙げている。今後の情勢次第では、ガスプロム・ルスヴェロなどに所属する有力選手が他国籍のチームへシーズン途中に移籍するケースが出てくるかもしれない。

UCI本部でのウクライナ人選手支援を本格化

ロシア、ベラルーシ両国連盟への制裁を発表したUCIは、同時にウクライナ選手たちの支援に動き出している。

具体的には、スイス・エグルにある本部併設のUCIワールドサイクリングセンター(WCC)にウクライナ人選手の受け入れ態勢を整えるとし、ウクライナ国立自転車競技連盟と連携を取り合いながら選手たちの活動を後押しする。

同国ではUCIコンチネンタルチームが1チーム登録されているほか、毎年のロード世界選手権やヨーロッパ選手権への選手派遣も積極的に行っている。年齢・性別を問わず国を代表するレベルの選手たちが戦火を避けて競技に取り組めるよう、自転車競技界を挙げてサポートする動きが活発になりつつある。

UCIによるウクライナ人選手救済に向けた動きが進んでいる ©︎ UCI

選手たちの反応

ウクライナ侵攻が進む中、自国の現状を憂うウクライナ、ロシア両国の選手・関係者。彼らのコメントからは、苦しい心情がうかがえる。

ロシアによる侵攻が始まった直後の27日にグラン・カミーニョ(UCIヨーロッパツアー2.1)第4ステージを勝ったマーク・パデュン(EFエデュケーション・イージーポスト、ウクライナ)は、「国のことを思うと素直には喜べない。とにかくこの勝利をすべての人々(ウクライナ国民)と共有したい」とコメント。出身地ドネツクは2014年のクリミア危機によりいち早くロシアによる侵攻を受けており、その際に戦火を逃れて以来、同地へは戻っていないという。

グラン・カミーニョ第4ステージで勝ったマーク・パデュン(右)はクリミア危機以来故郷へは帰っていないという ©︎ Getty Images

イネオス・グレナディアーズのパヴェル・シヴァコフは、現状に反対する意見を明確にした。Twitterで「戦争には反対。私の心はウクライナの人々ともにあるし、ロシア人の大半は戦争を嫌い平和を望んでいる」と投稿。元々は両親の祖国であるロシア籍で走ってきたが、3月4日付で1歳から生活してきたフランスへライセンスを変更。2024年のパリ五輪を「地元代表チームの一員として走りたい」と誓った。

ロシアを代表する総合系ライダーのウラソフも、Instagramで「苦しむ人々になんて言葉をかけたら良いのか思い浮かばない。私の目標はスポーツを通じて団結すること」と声を上げる。

現在、トレック・セガフレードでスポーツディレクター(監督)を務めるウクライナ人のヤロスラフ・ポポヴィッチ氏に至っては、涙ながらに「故郷へ帰って国を守る決意を固めている」とInstagram投稿。「妻や家族の理解を得ている」とし、現在住まいを構えるイタリアから、いつでも帰国できる心構えであることを明かした。

スポーツ界でのこうした動きは自転車競技にとどまらない。サッカーでは、代表チームやクラブチームの国際試合を禁じられたロシアサッカー連合が、制裁への異議を申し立てるためスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴。SNSを介して、ウクライナとロシアの選手たちが対立する様子も散見されるなど、緊張感があらゆるところへ飛び火している。

その競技性から、人間的、家族的と言われるロードレースにあっては、制裁こそあれど選手・関係者間での対立は見たくない。これらの決定や当事者の発言によって、この先どのような動きが見られるのか。競技を追うものとして注視していく必要があるだろう。

※今後大きな動きがあり次第、このコーナーで随時情報をお届けしていきます。

福光 俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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福光俊介

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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