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ポガチャルが衝撃の50km独走! “白い道”を完全攻略し圧勝|ストラーデビアンケ

ロードレース最高峰「UCIワールドツアー」は、3月5日にストラーデビアンケが開催された。“白い道”と呼ばれるイタリア・トスカーナの未舗装路を走るレースは、ここ2年のツール・ド・フランスを制しているタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)が初優勝。それも、フィニッシュまでの50kmを独走する衝撃的な圧勝劇だった。

コースの1/3が白砂の未舗装路

今年で16回目と、トップクラスのレースとしては歴史こそ浅いものの、シーズン前半の重要レースとして定着しているこの大会。例年ビッグネームが集結し、ここでの走りからその先のレースへの活躍につなげていく。いわば、試金石となる大会だ。

大会名のストラーデビアンケとは、イタリア語で「白い道」を意味する。そのとおり、白色の砂が覆う未舗装路を走ることが大きな特徴だ。今回はシエナの街を発着とする184kmのコースが設定されたが、そのうち3分の1にあたる63kmが未舗装区間。11カ所に点在し、急勾配の上りと下りもあることから、脚力はもとよりバイクテクニックも要求される。もちろん、レース展開を変化させるのはこの区間となってくる。

そして、フィニッシュまで1kmを切ってやってくる、シエナの街への最大勾配16%の急坂も見どころの1つ。数人に絞られた優勝争いは、この上りで決定的瞬間を迎えることが大多数だ。

フィニッシュ前50kmでポガチャルがアタック

9人の逃げで幕を開けたレースは、しばし淡々と進んだが、未舗装区間を進んでいたフィニッシュ前100kmの地点で突如事件発生。メイン集団を横風が襲い、前後を問わず選手たちが次々と脇の草むらへと投げ出される。3年ぶりの優勝を狙う、世界王者ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・アルファヴィニル、フランス)は他選手のバイクに引っかかる格好で一回転。ほかにも何十人と選手たちが足止めを食う形になった。

これで崩壊した集団。生き残った選手たちが一時的にスピードを上げる場面も見られたが、先頭グループに迫ったこともあり意識的にペースを落ち着かせる。コース復帰に3分近い時間を要したアラフィリップも20kmほどをかけてメイン集団へと戻ることに成功している。

この間も未舗装のアップダウンをこなしており、序盤から飛ばした先頭グループは徐々に人数を減らしていく。やがて迎えたのは、残り54kmから始まる8番目の未舗装セクション、モンテ・サンテ・マリエ。11.5km続く区間で大きな局面が訪れた。

まず、1kmもいかないうちに逃げていた選手たちが吸収される。これを合図に、常に集団前方をキープしていたアラフィリップがペースアップ。有力選手が徐々に顔を見せ始める。さらにはポガチャルが先頭をうかがうと、アラフィリップもすかさずチェックに動いた。

フィニッシュまでちょうど50kmとなったタイミングで、再びポガチャルが先頭へ。下りを利用して加速すると、虚を突かれた集団は対応しきれない。カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)が単独で追走を開始したが、その頃にはポガチャルは数十メートル先行。見る見る間にその差は10秒、20秒……と広がっていき、独走態勢を築いていった。

しばらくは40~50秒の差で推移したポガチャルと後続との差は、残り30kmを切って1分を超える。何とか追いたい集団は、ひとまずロドリゲスをキャッチし、9番目の未舗装セクションであるモンテアペルティの上りで5人が抜け出し追撃ムードを高める。同時に、落車を乗り越えて果敢な走りを見せていたアラフィリップは脱落した。

この間にポガチャルのリードは再び50秒ほどに減ったが、逃げるうえでは大きな問題には至らない。追走グループでは、上りを利用してカスパー・アスグリーン(クイックステップ・アルファヴィニル、デンマーク)が単独走に。少し経ってアレハンドロ・バルベルデ(モビスター チーム、スペイン)が合流し2人で前を追う形になったが、最後の最後までポガチャルの背中を見ることはできなかった。

レース最後の50kmを1人で駆け抜けたポガチャル。いつもであれば雌雄を決するシエナへの上りも、今年はウイニングライドの場に。上りの入口では自身のファンクラブメンバーにハイタッチで応じてみせ、余裕を感じさせる一幕も。

急坂もきっちりこなしてフィニッシュへとやってきたポガチャル。4度目の出場にして初優勝。また1つ、大きな勲章を手に入れた。

ティレーノ、ミラノ~サンレモ、そして北のクラシック初挑戦

過去3回の出場では、30位、13位、7位としていたポガチャル。今年は優勝争いに加わることが予想されてはいたが、想像をはるかに上回る衝撃の走り。シーズンイン目前に新型コロナウイルスの陽性反応によって隔離生活を送ったが、今年初戦のUAEツアー(個人総合優勝)と今回の走りを見る限り心配は必要なさそうだ。この勢いのまま、7日開幕のティレーノ~アドリアティコ、19日のミラノ~サンレモを走る予定。そして、今月末からは自身初挑戦となる北のクラシックへ向かう見通しだ。

なお、2位争いは最後の上りでスパートしたバルベルデが先着。アスグリーンが3位として表彰台を確保した。

UCIワールドツアーは、ここから名高いレースが次々と開催される。6日からはパリ~ニース、7日からはティレーノ~アドリアティコがそれぞれ開幕。シーズン前半の大事な時期に突入していく。

優勝 タデイ・ポガチャル コメント

「まず、残り100kmでのクラッシュで大けがした選手がいないことを願っている。私もあの場面で落車し、ハンドルバーが90度曲がってしまった。

モンテ・サンテ・マリエは重要なポイントだが、本当はアタックする予定ではなかった。誰かがついてくるだろうと思っていたが、誰も一緒には来なかったのでフィニッシュまで100%の力で走るしかなかった。最後の40~50kmはとても苦しかった。脚が爆発するのではないかと思ったほどで、景色を楽しむ余裕はなかった。

勝因はプレッシャーを気にせず走ったこと。チームから強く求められるものもなかったし、周りの声もまったく気にならなかった」

ストラーデビアンケ2022 結果

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 4:47’49”
2 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター チーム、スペイン)+0’37”
3 カスパー・アスグリーン(クイックステップ・アルファヴィニル、デンマーク)+0’46”
4 アッティラ・ヴァルテル(グルパマ・エフデジ、ハンガリー)+1’07”
5 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+1’09”
6 ジョナタン・ナルバエス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)ST
7 クイン・シモンズ(トレック・セガフレード、アメリカ)+1’21”
8 ティム・ウェレンス(ロット・スーダル、ベルギー)+1’25”
9 シモーネ・ペティッリ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、イタリア)+1’35”
10 セルヒオ・イギータ(ボーラ・ハンスグローエ、コロンビア)+1’53”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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