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ポガチャルが個人総合2連覇! 最終ステージはバウハウス勝利|ティレーノ~アドリアティコ

イタリアで開催されてきたステージレース、ティレーノ~アドリアティコは現地3月13日に行われた第7ステージで閉幕。大会最終日はスプリント勝負となり、フィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス、ドイツ)が混戦を制した。そして、個人総合時間賞はタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)が昨年からの2連覇を達成。山岳で圧倒的な強さを見せ、今後のレースへの期待も膨らませている。

ポガチャルは早くも今季7勝目

“2つの海を結ぶレース”との別名のとおり、ティレニア海を見ながらスタートしたプロトンは、7日間をかけてアドリア海沿いまで到達。ここまでには、スプリントや個人タイムトライアル、本格的な山岳コースと、ステージレースにおけるあらゆる要素すべてをこなしてきた。

ここまでの6ステージを終えて、ポガチャルが個人総合でトップ。第4ステージで今大会1勝目を挙げると、前日行われた第6ステージでは上りで独走に持ち込んで完勝。山岳ステージで圧倒的な強さを示してきた。

©︎ LaPresse

最終の第7ステージは、サン・ベネデット・デル・トロントを発着地とする159kmの平坦コース。これまでは同地での個人タイムトライアルで大会を締めくくることが多かったが、今年はスプリントでフィナーレを迎える。最終盤はアドリア海を見ながら14.6kmの周回コースを5周する。

多くのチームがセーフティでレースを進めて、スプリントフィニッシュに備えることを選択。アレッサンドロ・トネッリ(バルディアーニCSFファイザネ、イタリア)、ホルヘ・アルカス(モビスター チーム、スペイン)、マヌエーレ・ボアーロ(アスタナカザクスタン チーム、イタリア)の3人だけが逃げに入って、長くメイン集団の前を走り続けた。

©︎ LaPresse

メイン集団は終始、逃げる3人を射程圏にとらえながら進行。最後の周回コースへ入ってからは、30秒前後のタイム差を維持しながら残り距離を減らしていく。こうしてレースは最終周回へ。泳がされた状態が続いた逃げメンバーは、粘りを見せたものの残り8kmで集団に飲み込まれた。

©︎ LaPresse

そこからは、スプリントに向けて各チームがポジション争い。どのチームも勢いがあり混戦模様に。残り3kmでトタルエナジーズが先頭に出ると集団は縦長になり、残り2kmからはイスラエル・プレミアテックが主導権を奪取。集団先頭を確保して最終局面へと向かった。

テクニカルなコーナーを抜けて最終のストレートに入ると、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオのトレインも上がってくる。そのままアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)を先頭に送り込むと、残り200mからスプリントを開始。

©︎ LaPresse

クリストフがトップを守り切るかと思われた勝負は、力のあるスプリンターが次々と加速して横一線に。その中から抜け出したのはバウハウスだった。後方からのスプリントを余儀なくされ、ラインを修正しながらも激戦のステージ優勝争いを制した。これが今季初勝利。

©︎ LaPresse

そして、終始アシスト陣に守られながら走ったポガチャルは、2年連続の個人総合優勝を確定させた。これで今季は、UAEツアー、ストラーデ・ビアンケに続いて、出場した3つのレースすべてで優勝。ステージ優勝も合わせると、すでに7勝を挙げたことになる。シーズン序盤から絶好調の絶対王者は、今後ミラノ~サンレモ、北のクラシック数戦、そしてアルデンヌクラシックへ。さらにはツール・ド・フランスやブエルタ・ア・エスパーニャへの出場も控えるが、当面は春のビッグレースを転戦し、強さに磨きをかけていくことになる。

©︎ LaPresse

なお、ポガチャルは個人総合のほか、ポイント賞、ヤングライダー賞の3冠を達成。個人総合ではヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)が2位、ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)が3位にそれぞれ入賞。山岳賞はクイン・シモンズ(トレック・セガフレード、アメリカ)が受賞した。

UCIワールドツアーは引き続き、イタリアで主要レースが開催。3月19日には伝統のワンデーレース、ミラノ~サンレモが行われる。春のクラシックシーズンの訪れを告げる珠玉のレースには、今大会からの連戦組も多数。伝説級の好勝負が毎年繰り広げられており、今年も春の王者決定戦を大いに楽しめそうだ。

ステージ優勝 フィル・バウハウス コメント

©︎ LaPresse

「最後の2.5kmはほとんど逆風だったので、加速するタイミングを遅らせる必要があると思っていた。チームは素晴らしい働きをしてくれて、特にダミアーノ・カルーゾには感謝の気持ちでいっぱいだ。彼は最高のクライマーの1人でありながら、スプリントのために戦うことを厭わなかった。最終コーナーの直前で道幅が狭くなったが、彼は私をうまく前線へ送り込んでくれて、あとは誰をマークすべきか私自身が判断するだけだった。アルノー・デマールの動きを押さえていたことは結果的に正しかった。最後はわずかなスペースを見つけてスプリントをした。

今年の初勝利で最高にうれしい。ティレーノ~アドリアティコは最大級のレース。かつてはクリテリウム・ドゥ・ドーフィネとツール・ド・ポローニュでステージ優勝しているが、さらなる大きな勝利をつかむことができた」

個人総合時間賞、ポイント賞、ヤングライダー賞 タデイ・ポガチャル コメント

©︎ LaPresse

「昨年と今年とで勝利の価値を比較することはしない。どちらも美しく、チーム全員の結束によって生まれた勝利だ。個人的には昨年と同様で、ツール・ド・フランス時の状態とそう大きくは変わっていない。その意味でも順調だと思う。

自分自身に余計なプレッシャーをかけるつもりはない。レースが好きだから、チームとして勝つために次のレースへ向かう。土曜日には最高のチームでミラノ~サンレモに臨むが、勝つことは非常に難しいレースであることはわかっている。誰が有力かはとてもじゃないが挙げきれない」

山岳賞 クイン・シモンズ コメント

©︎ LaPresse

「タデイ・ポガチャルやヨナス・ヴィンゲゴーに勝っての山岳賞はかなりクールだ。自分自身を成長させるうえで素晴らしいステップになると思う。昨年のこの大会ではとても苦しんだが、1年経ってレースで自らを演じられたことに満足している。将来この大会を制することができるかは、時が経てばわかることだろう。今のところはクラシックに集中していく。ただ、きっと私はこの場に戻ってくるはずだ」

ティレーノ~アドリアティコ2022 第7ステージ結果

ステージ結果

1 フィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス、ドイツ) 3:39’58”
2 ジャコモ・ニッツォーロ(イスラエル・プレミアテック、イタリア)ST
3 カーデン・グローブス(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、オーストラリア)
4 ダヴィデ・チモライ(コフィディス、イタリア)
5 アルベルト・ダイネーゼ(チーム ディーエスエム、イタリア)
6 アレクサンダー・クリストフ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、ノルウェー)
7 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(トタルエナジーズ、ノルウェー)
8 オラフ・コーイ(ユンボ・ヴィスマ、オランダ)
9 アルノー・デマール(グルパマ・エフデジ、フランス)
10 マッテオ・モスケッティ(トレック・セガフレード、イタリア)

個人総合時間賞

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 27:25’53”
2 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)+1’52”
3 ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+2’33”
4 リッチー・ポート(イネオス・グレナディアーズ、オーストラリア)+2’44”
5 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)+3’05”
6 テイメン・アレンスマン(チーム ディーエスエム、オランダ)+3’16”
7 ダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)+3’20”
8 ティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)+3’37”
9 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+3’51”
10 ジュリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード、イタリア)+4’03”

ポイント賞

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

山岳賞

クイン・シモンズ(トレック・セガフレード、アメリカ)

ヤングライダー賞

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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