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自転車レースであり得ないミスコース! バルギル終盤の上りを攻略し勝利|ティレーノ~アドリアティコ第5ステージ

イタリアで開催中のステージレース、ティレーノ~アドリアティコは現地3月11日に第5ステージを行った。レース半ばに決まった逃げが最後まで容認され、先頭グループから飛び出して終盤の登坂区間を走り切ったワレン・バルギル(チーム アルケア・サムシック、フランス)がステージ優勝を果たした。個人総合ではタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)が首位をキープ。終盤にコースアウトするハプニングがあったものの、集団に復帰してレースを終えている。

ポガチャルらがコースアウトでピンチも遅れを取り戻す

丘陵地帯を進行しているプロトン。大会5日目は、セフロからフェルモまでの155km。フィニッシュへ向かう上りがこのステージの注目で、残り3.5kmから約800m続く急坂区間は最大勾配21%。一度緩斜面を迎えるが、最後の1kmで6.1%を駆け上がってフィニッシュラインに到達する。この上りをいかに攻略するかがレースのポイントと見られた。

レース前半はここまでのステージとは違った流れになり、アタックとキャッチを繰り替える時間が長く続いた。フィニッシュまで100kmを切って、ようやく集団が逃げを容認。3人が飛び出した後に9人合流。合計12人の先頭グループが形成され、その中には総合タイム差1分8秒のバンジャマン・トマ(コフィディス、フランス)が合流。ほどなくして、バーチャルリーダーとなる。

©︎ LaPresse

残り60kmでタイム差が3分30秒まで開いたのを境に、メイン集団は少しずつその差を調整。リーダーチームのUAEチームエミレーツがコントロールした。

先頭グループは逃げ切りにかけて、少しずつ探り合いを始める。残り21kmでバルギルがアタックすると、トマも反応。さらに数人が追随したこともあり完全に主導権を得るところまではいかないが、ステージ優勝争いの有資格者が徐々に絞られていく。

©︎ LaPresse

同様にメイン集団のペースを上げて、残り10kmではUAEがマルク・ソレル(スペイン)を牽引役に送り込むと、ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・アルファヴィニル、フランス)らが脱落。さらに残り8kmでは、個人総合2位につけるレムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)がアタック。ここは首位のポガチャルと、前日ステージ2位のヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)がすぐにチェック。今大会の“ビッグ3”ともいえる顔触れで集団からの抜け出しを図った。

3人はそのまま加速し、逃げからこぼれた選手たちを拾いながら前を急いだ。しかし、集団との差が広がるかと思われた矢先に、コーナーを誤り直進してしまう。これで逆にメイン集団が先行する形になると、ポガチャルとヴィンゲゴーはすぐに戻ったものの、コースアウトに気付くのが遅れたエヴェネプールは集団復帰に時間を要した。

活性化するメイン集団をよそに、逃げ切りが見えてきた先頭グループではバルギルが再びアタック。ヴァランタン・フェロン(トタルエナジーズ、フランス)が続いたが、これもすぐに振り切ると単独で最後の登坂区間へ。

クサンドロ・ムーリッセ(アルペシン・フェニックス、ベルギー)とシモーネ・ヴェラスコ(アスタナカザクスタン チーム、イタリア)が追走するが、登坂力に勝るバルギルが少しずつその差を広げていく。完全に独走に持ち込むと、フィニッシュ前の急斜面も問題なくクリア。巧みなレース運びでバルギルがこの大会では初めてとなるステージ優勝を挙げた。

©︎ LaPresse

その後ろではメイン集団もペースを上げており、26秒差でやってきたリッチー・ポート(イネオス・グレナディアーズ、オーストラリア)をはじめに続々とフィニッシュラインへ到達。まさかのハプニングに見舞われたポガチャル、ヴィンゲゴー、エヴェネプールの3人は同じパックでレースを完了。タイムを失わずに済んでいる。

このステージを終えての個人総合は、トップのポガチャルと2位のエヴェネプールは変わらず。フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)が大きく順位を下げたことにより、テイメン・アレンスマン(チーム ディーエスエム、オランダ)が3位に浮上している。

いよいよ、今大会のクイーンステージが登場。12日に行われる第6ステージは、終盤に登坂距離6km・平均勾配9.9%のモンテ・カルペーニャを2回登坂。上りの前半に最大勾配15%を迎え、その後も10%前後の勾配が続く。頂上通過後のダウンヒルもテクニカル。特に最終の2周目はフィニッシュめがけての下りとなる。なお、レースはアペッキオからカルペーニャまでの215kmに設定される。

ステージ優勝 ワレン・バルギル コメント

©︎ LaPresse

「ティレーノ~アドリアティコはパリ~ニースと違って、風が少なくストレスのないレースだと思う。ただ、全体的に難易度が高いのでリラックスして走れるとは言い切れない。このレースには初めて出場したが、本当はジロ・デ・イタリアを走りたいと考えていた。将来的にはジロでもステージ優勝することが個人的な目標。来年は必ずかなえたい。

サイクリングは難しいスポーツで、多くのトレーニングを必要とする。なかには簡単に勝てると思っている人もいるかもしれないが、決してそうではないことを伝えたい」

個人総合時間賞 タデイ・ポガチャル コメント

©︎ LaPresse

「最初の60kmは多くの選手が逃げを試みていて、レースがなかなかコントロールできなかった。逃げが決まってからはしっかりコントロールできて、安定したペースで進んだ。逃げメンバーの中にはバンジャマン・トマのような総合を狙える選手が入っていたので、決して彼らを甘く見ることはしなかった。終盤は勝ちを狙える状況だったが、1つのコーナーでのミスが大きかった。右コーナーがあることは把握していたが、あの局面かどうかは把握しきれていなかった。ステージ優勝は私も、レムコ(エヴェネプール)も、ヨナス(ヴィンゲゴー)も望んでいた。3人それぞれに強さを示すことができたが、私が最優先すべきはリーダージャージのキープだった」

ティレーノ~アドリアティコ2022 第5ステージ結果

ステージ結果

1 ワレン・バルギル(チーム アルケア・サムシック、フランス) 3:39’53”
2 クサンドロ・ムーリッセ(アルペシン・フェニックス、ベルギー)+0’10”
3 シモーネ・ヴェラスコ(アスタナカザクスタン チーム、イタリア)+0’14”
4 ネルソン・オリヴェイラ(モビスター チーム、ポルトガル)+0’15”
5 リッチー・ポート(イネオス・グレナディアーズ、オーストラリア)+0’26”
6 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’28”
7 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)ST
8 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)
9 レムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)
10 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)

個人総合時間賞

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 18:17’08”
2 レムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)+0’09”
3 テイメン・アレンスマン(チーム ディーエスエム、オランダ)+0’43”
4 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)+0’45”
5 ミゲルアンヘル・ロペス(アスタナカザクスタン チーム、イタリア)+1’00”
6 リッチー・ポート(イネオス・グレナディアーズ、オーストラリア)ST
7 テイオ・ゲイガンハート(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+1’02”
8 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)+1’06”
9 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)+1’11”
10 ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)+1’14”

ポイント賞

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

山岳賞

クイン・シモンズ(トレック・セガフレード、アメリカ)

ヤングライダー賞

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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