サイクルトレインが近鉄でスタート、新王寺～西田原本間と松阪～賢島間で期間限定運行

Bicycle Club編集部

2022年04月08日

輪行せずにそのまま電車内に自転車をもちこめるサイクルトレインが注目され、各地でその利用が広がっている。近畿日本鉄道株式会社（以下略、近鉄）がこの4月、奈良県を走る田原本線と三重県を走る山田線・鳥羽線・志摩線で期間限定のサイクルトレインを運行する。

日本最大の私鉄・近鉄が運行するサイクルトレイン

今回近鉄で運行されるサイクルトレインの特徴として次の点が挙げられる。

追加料金は不要で、乗車券のみで自転車を持ち込める
事前予約は必要なし
駅構内に自転車を解体せずに持ち込め（輪行袋に格納しなくてもOK）、電車にそのまま乗車できる
※列車内での転倒を防止するため、つり革や手すりなどに固定する固定ひも等を持参する
※自転車を輪行袋に格納していれば、サイクルトレイン実施列車・区間以外でも車内に持ち込み可能

今回、日本最大の営業距離を誇る近鉄がサイクルトレインを運行することは大きなニュースだ。京阪神方面、名古屋・東京方面から愛車を持ち込むには現地までは輪行する必要があるものの、現地での観光に鉄道を組み合わせたサイクリングを楽しむ際に活用できるほか、沿線の住民の移動手段としての利用も期待できる。また、沿線のレンタサイクルとの組み合わせで、サイクルツアーの行動範囲も広がり、より楽しめることになる。

続いて実施路線の詳細を紹介する。

チューリップフェアだけでなく、法隆寺や唐古・鍵遺跡も無理なく巡れる
近鉄田原本線・サイクルトレイン

奈良県、田原本線の近隣各町（王寺町・河合町・広陵町・三宅町・田原本町・上牧町・川西町）と近鉄は、奈良県営馬見丘陵公園での馬見チューリップフェア開催にあわせ、自転車をそのまま車内に持ち込めるサイクルトレインを、2022年4月9日（土）から4月17日（日）まで運行する。

サイクルトレインは新王寺・西田原本両駅を9時～15時台に発車する列車が対象で、3両編成の2両目（中央の車両）に追加料金なしで乗車券のみで自転車をそのまま持ち込める。大輪田駅と佐味田川駅を除く各駅で乗降可能で、事前予約も不要だ。持ち込み可能台数は各列車16台までで、混雑状況などによっては利用できないこともある。

対象列車には窓やヘッドバークにサイクルトレインであることを示す自転車マークが貼られるほか、駅にサイクルトレインの乗降口を示すサインも掲出される。乗車中は安全のため、自転車をつり革や手すりなどに固定する固定ひも（ビニールひもなど何でもよい）を各自で持参し、使用する。

今回、近鉄が鉄道利用の活性化をするために田原本線近隣各町と相談するなかで、河合町から「サイクルトレインを実施しては？」という提案があり、奈良県と近隣各町、近鉄が連携し実行へと繋がった。運行するサイクルトレインは、奈良県が策定した「奈良県自転車活用推進計画」にも関連した取り組み。鉄道と自転車を併用し、田原本線沿線でのサイクリングを楽しんでもらうことで、田原本線沿線の活性化につなげるとともに、同地域の魅力向上を図るのがねらいだ。

田原本線サイクルトレイン実施概要

実施日：2022年4月9日（土）～4月17日（日）
運行区間：近鉄田原本線西田原本駅～新王寺駅の各駅間（大輪田駅、佐味田川駅除く）
対象列車：新王寺・西田原本両駅を9時～15時台に発車する列車
利用できる車両：3両編成の前から2両目（上下列車とも）
利用可能台数：各列車16台まで（車内の混雑具合などにより、16台以下でも自転車の持ち込みができない場合あり）

近鉄田原本線には県営馬見丘陵公園や京奈和自転車道も

近鉄田原本線は、西田原本駅（田原本町）から新王寺駅（王寺町）までを結ぶ10.1kmの鉄道路線。田原本鉄道として1911（明治44）年に免許を受け、のちに大和鉄道と改称。1918（大正7）年4月26日に現在の路線が開通した。沿線には奈良県営馬見丘陵公園や太子道などの見どころが点在する。さらに京奈和自転車道、大和中央自転車道とも交差するなど、サイクリングコースも多いエリアを走る。

問：近畿日本鉄道株式会社大阪統括部運輸部営業課
TEL.06-6775-3514 ※平日9：10～18：00

レンタサイクル活用で松阪の城下町や伊勢神宮などを手ぶらでサイクリングできる
近鉄山田線・鳥羽線・志摩線（松阪駅～賢島駅）サイクルトレイン

近鉄山田線・鳥羽線・志摩線では2022年4月16日（土）から4月24日（日）まで、山田線・鳥羽線・志摩線（松阪駅～賢島駅間 57.6km）の一部の普通列車をサイクルトレインとして運行する。

同線沿線は松阪の城下町や伊勢神宮、夫婦岩などの観光名所が点在するが、これまでは電車で駅に着いてから徒歩やバス・タクシーなどの公共交通機関、レンタカーで移動するしかなかった。しかし、サイクルトレインを利用すれば、自転車をそのまま車内に持ちこめるので、降車後すぐに自転車で移動できるのがポイントだ。沿線にはレンタサイクルを利用できる施設も複数あり、手ぶらでやってきてレンタサイクルを活用すれば、自転車ならではの機動性と気軽さ、運行ダイヤに縛られない自由度の高さを生かした観光旅行を楽しめる。

また、伊勢市内や鳥羽～志摩周辺は、昨年国土交通省からナショナルサイクルルートに指定された「太平洋岸自転車道」のルートの一部が通っている。特に鳥羽～志摩にかけての海沿いのエリアは伊勢志摩国立公園の絶景が楽しめ、こうしたコースとサイクルトレインを組み合わせたサイクリングも楽しめそうだ。

「沿線は城下町の松阪、伊勢神宮や伊勢志摩国立公園の絶景スポットを擁する伊勢・鳥羽・志摩など人気の観光地ですが、電車と自転車を組み合わせることで、観光地までの移動もサイクリングというアクティビティとしてお楽しみいただけます」と同社担当者。自転車愛好家だけでなく、一般の観光客の利用も見込んでいる。

サイクルトレインは、松阪～賢島間の各駅（一部除く）から乗降可能だが、松阪駅・伊勢市駅は近鉄側改札からしか入場できないので注意。対象となる列車には、サイクルトレインであることを示すヘッドマークが先頭車両に掲出されるほか、駅ホームにはサイクルトレインの乗降口を示すサインマークが掲出される。

自転車の持ち込みが可能なのは、上下線とも2両編成の2両目（進行方向の後ろ側）の車両。各列車に持ち込み可能な自転車の台数は5台までで、混雑時などは利用できないこともあるので注意しよう。乗車中は安全のため、自転車をつり革や手すりなどに固定する固定ひも（ビニールひもなど何でもよい）を各自で持参し、使用する。