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海峡を渡っての集団スプリントは初出場ヤコブセン勝利、ワウトがマイヨジョーヌに|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランス2022は現地72日、第2ステージが行われた。海峡「グレートベルト」を渡ったレースは集団スプリントで勝負が決し、ファビオ・ヤコブセン(クイックステップ・アルファヴィニル、オランダ)がツール初出場で初勝利を挙げた。前日の個人タイムトライアルで勝ってマイヨジョーヌを着用したイヴ・ランパールト(ベルギー)は、ヤコブセンのスプリントのためにアシスト任務に集中。2日続けてのクイックステップ勢勝利に結びつけた。同時にジャージの行方も変動し、ステージ2位でボーナスタイムを得たワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)に移っている。

マイヨジョーヌ自らリードアウト、ヤコブセンのスプリントにフォーカスしたクイックステップ

629日のチームプレゼンテーションから始まった、デンマークの首都・コペンハーゲンの熱気。名残り惜しさはあるが、この先も旅は続く。この日はコペンハーゲンを離れて、近郊のロスキレを出発。同地やコペンハーゲンが位置するシェラン島から、西のフェン島へと移って、島の玄関口であるニュボーにフィニッシュする202.2kmに設定された。

Photo: Syunsuke FUKUMITSU

コースのカテゴライズこそ平坦だが、レース展開に大きな影響を及ぼすとみられたのがフィニッシュ前21kmから始まるビッグブリッジ「グレートベルト・リンク」だ。全長は18km。ウェストブリッジとイーストフリッジに分かれており、グレートベルト海峡を横断する。常時強い風が吹いており、ともすると集団分断が起こるのでは、との戦前の予想も。実際に各チームはこの橋の通過を見越して、慎重にレースを進めていくこととなる。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

前日の個人タイムトライアルを勝ったランパールトがマイヨジョーヌをまとって、全176選手がロスキレをスタート。自国ステージに燃えるマグナス・コルト(EFエデュケーション・イージーポスト、デンマーク)のファーストアタックからプロトンは動き、やがて4人の逃げグループが形成される。レースを先行したのはコルトのほか、スヴェンエリック・ビーストルム(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、ノルウェー)、シリル・バルト、ピエール・ロラン(ともにB&Bホテルズ・カテエム、フランス)。少しずつタイム差を広げていって、メイン集団に対して2分前後の差でしばし先を行った。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

この間、3つ立て続けに上った4級山岳はいずれもコルトが1位通過。この時点で、レースを完了できれば山岳賞ジャージを着用できる状況を作り出した。かたや、山岳賞を狙って動いていたB&B勢はポイント獲得ならず、逃げるのをあきらめて集団へと戻っている。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

コルトとビーストルムの北欧勢2人となった先頭パックは、そのまま126.9km地点に設けられた中間スプリントポイントへ。ここはコルトがビーストルムに先頭を譲る形をとり、1番と2番でそれぞれ通過。メイン集団もここへ向けてスピードアップを図っており、数十秒後には到達。カレブ・ユアン(ロット・スーダル、ベルギー)が先着して全体の3位通過。ランパールトに代わってマイヨヴェールを着るファンアールトが4位通過、ペテル・サガン(トタルエナジーズ、スロバキア)が5位で通過した。

©︎ A.S.O./Charly Lopez

これを機に、メイン集団は各チームが隊列をなしてポジショニングに勤しむ。自然と先頭との差は縮まっていき、17秒差となったところでビーストルムが単独アタック。コルトは集団へと戻ったが、ここでの両者の動きが利いたのか、ステージ敢闘賞はビーストルムに決まっている。

一時的に先頭のビーストルムとメイン集団との差は広がったものの、やはり射程圏に捉えていることには変わらず。集団ではこのステージの優勝候補だったマッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)がパンク、アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)はメカトラで後方へと下がったが、その後集団へと復帰。数人が絡むクラッシュも幾度か発生したが、レース展開に影響を与えるほどではなかった。

着実にレースを進めた集団は、残り31kmでビーストルムをキャッチ。グレートベルト・リンクまで10kmを切って前方での位置取りは激しさを増していく。

©︎ A.S.O./Romain Laurent

そして迎えた、この日の最重要局面。グレートベルト・リンクの入口手前でリゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・イージーポスト、コロンビア)が落車するが、待つことなく集団は進行。ここから活性化するかと思われた矢先、集団中ほどでも落車が。これにはマイヨジョーヌのランパールトが巻き込まれてしまった。

しかし、レース通過時間帯は海からの強い風というよりは、プロトンが向かっているフェン島側からの風で、選手たちにとっては真向いからの風。集団を破壊するほどの威力とはならず、全体的に落ち着いたムードで進行。やがてランパールトやウランといった役者も復帰。クイックステップ・アルファヴィニルやイネオス・グレナディアーズが統率を図りながら、全長18kmの橋を渡りきった。

フェン島に入って、残りは3km。道幅が狭く、タイトなコーナーを抜ける間にボブ・ユンゲルス(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、ルクセンブルク)がタイヤを滑らせ、その直後には集団前方を由来とする大規模なクラッシュが発生。大幅に人数が絞り込まれた状況下で最終局面へ。

クイックステップ・アルファヴィニルの牽引が続き、残り1kmからはマイヨジョーヌのランパールト自らリードアウト役に。ピーダスンを押し上げたいトレック・セガフレードのトレインが先頭を奪ったが、残り200mでスプリントが開始されるとピーダスンの脇からヤコブセン、ファンアールトが加速。最後は、スピードに勝るヤコブセンが一番にフィニッシュラインへと飛び込んだ。

©Tim De Waele / Getty Images

25歳のヤコブセンは、ツール初出場ながら2つ目のステージで勝ち星をゲット。彼といえば、2年前のツール・ド・ポローニュ第2ステージでのクラッシュによる大ケガのインパクトが強いが、昨シーズンの戦列復帰後は、ケガ後の長いリハビリが信じられないほどの勝利量産。今季もこれで11勝目で、この先のステージでも勝ちを重ねられそうな勢いだ。

また、クイックステップ・アルファヴィニルはランパールトのマイヨジョーヌよりも、エーススプリンターのヤコブセンによるステージ勝利を最優先した格好に。2日連続でステージ2位としたファンアールトがフィニッシュで6秒のボーナスタイムを獲得し、総合タイムでランパールトを1秒先行。これまで数多くのタイトルを獲得してきたプロトンきってのスターだが、キャリア初めてとなるツールのマイヨジョーヌに袖を通している。

なお、残り3kmを切ってから発生したクラッシュに関しては、「フィニッシュ前3km以内でのトラブルには、関係した選手をそのときいた集団と同タイムでのフィニッシュ扱いにする」とのルールが適用され、結果的に169位までの選手がトップと同じフィニッシュタイムとして認められた。

大会3日目、第3ステージはデンマークでの最終日。バイレからセナボーまでの182kmで、これまた平坦ステージ。風が穏やかなルートとみられており、本来の舞台であるフランスを前に平和裏に終わる1日となるだろうか。

ステージ優勝 ファビオ・ヤコブセン コメント

©Tim De Waele / Getty Images

「命を脅かしたクラッシュから2年間は長いプロセスだったが、ここまで多くの人に支えられて走ることができた。この勝利は彼らに報いるものになった。レースを楽しめたし、勝つことができてさらに良かった。

グレートベルト・リンクを渡り終わる頃には良いポジションが確保できていて、ミケル・モルコフがワウト・ファンアールトの後ろに引き上げてくれた。スプリント時はペテル・サガンと少し接触してしまったが、互いに体勢を崩すことなく加速することができた。脚の痛みを感じていたが、この勝利はトレーニングの成果が出たと思う。15年間、この瞬間を夢見てきた。そして、デンマークの人々の温かい歓迎と応援に心から感謝したい」

個人総合首位 ワウト・ファンアールト コメント

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

「マイヨジョーヌを着ることができてとてもうれしい。サイクリングの世界で最も象徴的なもので、ずっと目標としてきたが、今日がその日になった。最高の気分だ。

フィニッシュラインを越えた瞬間はファビオ・ヤコブセンに負けたことが悔しかったが、冷静になってマイヨジョーヌではないかと気づいた。

これからは、このジャージをできるだけキープしていきたい。今後のステージをどう乗り切るかはその都度考えていきたい。ひとつ言えることは、ユンボ・ヴィスマというチームがとても強いこと。チームメートのおかげでクラッシュを回避できた。クレイジーなステージだったかと言われれば、昨年は別の意味でクレイジーで、今日はみんなリスペクトしあって走ることができていた。実際のところ、向かい風が強く、残り5kmの時点で時速30kmだった」

ツール・ド・フランス2022 第2ステージ結果

ステージ結果

1 ファビオ・ヤコブセン(クイックステップ・アルファヴィニル、オランダ) 4:34’34”
2 ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)ST
3 マッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)
4 ダニー・ファンポッペル(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)
5 ヤスパー・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)
6 ペテル・サガン(トタルエナジーズ、スロバキア)
7 ジェレミー・ルクロック(B&Bホテルズ・カテエム、フランス)
8 ディラン・フルーネウェーヘン(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、オランダ)
9 ルーカ・モッツァート(B&Bホテルズ・カテエム、イタリア)
10 ユーゴ・オフステテール(チーム アルケア・サムシック、フランス)

個人総合時間賞(マイヨジョーヌ)

1 ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー) 4:49’50”
2 イヴ・ランパールト(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)+0’01”
3 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’08”
4 フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)+0’11”
5 マッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)+0’12”
6 マチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)+0’14”
7 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)+0’16”
8 プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)+0’17”
9 バウケ・モレマ(トレック・セガフレード、オランダ)+0’18”
10 ディラン・トゥーンス(バーレーン・ヴィクトリアス、ベルギー)+0’21”

ポイント賞(マイヨヴェール)

ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)

山岳賞(マイヨアポワ)

マグナス・コルト(EFエデュケーション・イージーポスト、デンマーク)

ヤングライダー賞(マイヨブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

ユンボ・ヴィスマ 14:30’09”

 

▼ツール・ド・フランス2022のチーム&コース情報はこちらへ

ツール・ド・フランス2022の出場チーム・選手リストとコースプレビュー

ツール・ド・フランス2022の出場チーム・選手リストとコースプレビュー

2022年07月01日

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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