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価格以上の品質を。見えやすく、使いやすいシマノの新型アイウェア|SHIMANO

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ライドのクオリティーを格上げするテクノロジーの数々

テクノロジー1
ポリアミド採用のオリジナルレンズ

編:次にレンズのテクノロジーをお伺いします。一般的にアイウェアのレンズはポリカーボネートが多いなかで、シマノはポリアミドを採用しています。その理由を教えてください。

入江:光学特性が優れているからです。ポリアミドは、ポリカーボネートよりアッベ数(色収差の度合い)が高い。可視光透過率(光線が通り抜ける割合)が少し高い。屈折率(レンズに入る光線が折れ曲がる割合)は少し低い、という特徴があります。

編:見え方はどんな違いが出るのでしょうか。

入江:アッベ数が高いと、色にじみが少なくなって対象物がより鮮明に見えるようになります。また、可視光透過率と屈折率に優れることから、明るくて視界のひずみが少ないレンズを作ることができます。

編:だからこそポリアミドを採用する、というわけですね。

入江:そうですね。さらにポリアミドはポリカーボネートより比重が16.4%軽く、大型のレンズの場合、約2gの軽量化につながります。

編:2gと聞くと、ほんのわずかな差と思ってしまいますが……。

入江:アイウェアの重量が25~26g程度に収まっていると、かけていることを忘れるような一品に近づきます。一方で30gを超えると重さを感じやすくなります。アイウェアはシクロクロスなどの衝撃が多いレースでは上下に動きやすいものの、レンズが2g軽くなると、その動きをかなり抑えることができます。

編:わずか2gではなく、その2gが大きな差を生むのですね。ただ、ポリアミドはそうした良い素材でありながら、他メーカーではあまり聞かないように感じます……。

入江:市場ではポリカーボネートのレンズが9割ぐらいを占めるかもしれません。手に入りやすい素材であり、多くのOEM工場がレンズ製作のノウハウや金型を持っていますので作りやすいのだと思います。

編:シマノの場合はいかがでしょうか。

入江:自社用にポリアミドのレンズの金型を新規に起こして生産しています。「このレンズカーブで、この厚みで、ポリアミドを使って」となるため、相応の時間やコストをかけています。

編:大変な道を選んでいるのですね。

入江:そうですね(苦笑)。コンポーネントやシューズ、ウェアなどと同じくアイウェアにも、シマノとして求める高い基準がありますので、良いものになるよう開発を進めています。

レンズ素材はポリアミド。見え方が良く、ポリカーボネートより軽く仕上がる。写真はS-PHYRE

テクノロジー2
各国の対衝撃性をクリア

編:レンズの耐衝撃性はどうでしょうか

入江:これまでポリアミドの特徴をお伝えしてきましたが、耐衝撃性に関してはポリカーボネートのほうが上です。とはいえ、シマノのレンズはISO(国際標準化機構)、EN(欧州規格)、JIS(日本産業規格)などに定められたドロップボールテスト(レンズの耐衝撃試験)をクリアしています。

編:信頼できるテストで安全性が証明されていると安心して使えます。

入江:さらに条件が厳しくなる保護メガネ用のテストも行っています。レンズが壊れるようなことはなく、表面にキズがつく程度でまったく大丈夫でした。

テクノロジー3
キズ防止、撥水性の高いマルチコートレンズ

入江:レンズは成型後に特殊なハードコーティングも施しています。

編:具体的にどのようなものでしょうか。

入江:まず、大切なレンズをキズから守るキズ防止コーティングです。その上に、ライドスケープレンズ(走行シーンに合わせた色やミラーが入ったレンズの総称)であれば専用のミラーコーティングを入れています。最表面には雨天時の視界を確保するための撥水コーティングを行っています。

編:レンズ素材に適したポリアミドに、さらに複層のコーティングを施して性能の向上を図っている、と。

入江:はい。シマノでは、すべてのレンズの両面にキズ防止コーティングと撥水コーティングを施していて、これらをマルチコートレンズと呼んでいます。

編:エスファイアシリーズは撥水コーティングではなく、撥水・撥油(はつゆ)コーティングを施しているそうですが、どのような違いがあるのですか。

入江:撥水・撥油コーティングは、撥水コーティングより撥水性が高く、油分もはじいてくれるので、汗や汚れた水をきれいに飛ばすことができます。指紋がつきにくいのでレンズを拭く回数が減り、コーティングも長持ちします。シビアなコンディションに強いことから、プロユースのS-PHYREのみ採用しています。

編:横山選手は撥水コーティングや撥水・撥油コーティングのメリットをどのように感じていますか。

横山航太さん(以下、横山):撥水機能があるとないとでは雨天での走行ストレスが大きく変わります。ないと前が見にくくなるばかりか、曇りやすいので集団走行などが非常に危険になります。障害物の多いオフロードもしかり、です。

編:回避するにはアイウェアを外すしかない、と。

横山:そうなると水しぶきが目に入ってきて、砂も混じっていることから目がジャリジャリするような不快感に悩まされてしまいます。かつてパリ・ルーベで大雨が降ったときに、泥が目に入って病気になってしまった選手もいました。撥水機能は必ずそなえていてほしいです。

視界をクリアに保つ撥水コーティング&撥水・撥油コーティング。写真はS-PHYRE
シマノレーシングの横山航太選手。ロードレースのほかシクロクロスにも参戦する。写真は2023年1月のシクロクロス全日本選手権にて

テクノロジー4
全5色と豊富なRIDESCAPE(ライドスケープ)レ
ンズ

編:先代に続いて新モデルにもRIDESCAPEレンズ(走行シーンに合わせた色やミラーが入ったレンズ)が使われています。開発のきっかけはどのようなものだったのでしょうか。

入江: RIDESCAPEレンズの開発は2018年からスタートしました。たとえば、アスファルトの路面に光が当たるとき、その光は一方向に反射しているように感じますが、実際は細かい砂や石を固めてできているため、いろいろな方向に拡散反射しています。そのような状況下でも見たい対象物の色を残してまぶしさなどのノイズにフィルターをかけるように設計したのがRIDESCAPEレンズです。
レンズを通して外を見たときに、まぶしく見えるものは状況が把握できてないということとイコールです。偏光レンズを使っても効果が限定的であることから、新たなレンズを作ろうとなりました。

編:ロード用はHC(ハイコントラスト)とRD(ロード)。オフロード用はGR(グラベル)、OR(オフロード・トレイル)。曇り空用はCL(クラウディ)ですね。カラーラインアップも5種類と豊富にそろっています。

入江:HCやRDならアスファルト、GRやORなら土や岩、木の根などに合わせたデータ(反射光の透過率のカーブ)をもとによりよく見えるように製作しています。

編:アスファルトの走行を想定したロード用レンズ、HCとRDでは見え方は異なるのですか。

入江:どちらも朝から夕方までオールマイティに使えます。強いていえば陽射しが強い晴天時はHC、陽射しがあまり強くないときはRDが向いています。ちなみに、RDはレンズ表面に赤色から紫色に変化するマルチレイヤーコーティングを施して、レンズ自体をレーシーな雰囲気に仕上げています。

編:確かにどちらのレンズも視界がしっとりと落ちついた印象になって、アスファルトが細密に見えます。やや明るめ(RD)か、やや暗め(HC)かといった違いですね。

入江: RIDESCAPEレンズがあるなしの見え方のサンプルを用意しましたので、ぜひ参考にしてください。

RIDESCAPE HC レンズ

HC(ハイコントラスト):日中のアスファルトの強いぎらつきを抑えてコントラストを高め、路面の凹凸を強調する。可視光線透過率13%。

RIDESCAPE RD レンズ

RD(ロード):ロード用に開発されたオーラウンドタイプ。視界が良好な晴れの日に適している。可視光線透過率21%。

RIDESCAPE GR レンズ

GR(グラベル):グラベル(砂利道)やダート、アスファルトなどさまざまな路面に適応する。可視光線透過率21%。

RIDESCAPE OR レンズ

OR(オフロード・トレイル):日なたと日陰を交互に駆け抜けるトレイルで木漏れ日のまぶしさをカット。土、岩、砂や木の根などの障害物も見やすい。可視光線透過率35%。

RIDESCAPE CL レンズ

CL(クラウディ):曇り空、低い光量、夜間のライドなどに。クルマのライトのまぶしさなども軽減する。可視光線透過率82%。

 

入江:レンズは、RIDESCAPEレンズのほかにもクリアレンズ、フォトクロミックグレーレンズ(調光レンズ)も用意しています。

編:調光レンズは紫外線の強さに反応してレンズの色が変わります。どれぐらい変化するものなのでしょうか。

入江:可視光透過率(光線が通り抜ける割合)の範囲は17%-85%です。幅広く変化して昼夜を問わずに使えるよう設定しています。色の変化のスピードは約8秒で暗くなり、約35秒で明るくなります。

テクノロジー5
フィット感の工夫

編:アイウェアを選ぶとき、自身の顔にフィットするかどうかも大切な要素です。

入江:シマノのアイウェアは世界中で発売していますので、できるだけ顔やアタマの形状が異なる多くのお客さまにフィットするように設計しています。3Dスキャナーで各国のグローバルスタッフの顔やアタマをスキャンして、顔やアタマ全体の大きさ、前後長、鼻の高さ、耳の位置などをデータ化するとともに、そのデータをもとにアイウェアの基本寸法を決めています。

編:フィット感を上げるためのこだわりはどうでしょうか。

入江:レンズ素材のところで少し触れましたが、ひとつは、ポリアミドレンズを開発したことでアイウェアが軽量に仕上がり、軽くなるぶんアイウェア自体がズレにくくなっています。
さらに、内側にカーブしているテンプル(つる)を、アタマの幅に合わせてたわんでフィットするようにして、テンプルの内側には滑り止め加工をしています。そのほかにも、S-PHYREやAEROLITEはノーズパッドの調整が可能になっています。

編:横山選手、S-PHYREのかけ心地はいかがでしょうか。

横山:ノーズパッドを付け替えずに出荷状態のまま使っていますが、先代モデルよりフィット感が上がっていると思います。

入江:S-PHYREとAEROLITEに使われている大型ワンピースレンズは、レンズカーブを見直してフラットな形状に近づけています。頬とレンズの間に少し隙間が空くようになり、口角を上げても頬に当たりにくく、曇りにくくもなっています。

耳の後ろから後頭部にかけてきっちりとフィットするテンプル。写真はS-PHYRE
テンプル内側にアンカー効果のある滑り止めパターンを採用。写真はAEROLITE
レンズ形状を工夫してレンズと頬が当たりにくい設計に。写真はS-PHYRE

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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