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メルリールが第6ステージで勝利しポイント賞に王手。レムコはリーダージャージを守って最終日へ|UAEツアー

アラブ首長国連邦(UAE)で開催されているステージレース、UAEツアー。現地2月25日に第6ステージを行い、スプリントを制したティム・メルリール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)が第1ステージに続くステージ優勝。チームタイムトライアルでの勝利も入れると、今大会3勝目を挙げた。この走りで今大会のポイント賞にグッと近づいた。個人総合上位陣には変動がなくレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)がリーダージャージを守って残る1日へ向かう。

連日アタックを試みるゾッカラートらが終盤までレースをリード

開幕以降、チームタイムトライアルの第2ステージ、山岳の第3ステージをのぞいて、平坦ステージを走ってきたプロトン。日替わりで勝者が生まれ、大物スプリンターたちが激戦を展開している。

第6ステージもスプリンター向けの平坦ステージ。首都アブダビが舞台となり、大会最終日にあたる翌日が山岳ステージのため、スプリンターにとっては実質最後の勝負どころとなる。

©️ Sprint Cycling Agency

その見立てどおり、エーススプリンターを擁するチームがレースの主導権を握る。リアルスタートから4km進んだところで、今大会たびたびアタックを試みているサムエーレ・ゾッカラート(グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ、イタリア)に、中間スプリント賞トップのエドワルト・プランカールト(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)とローレンス・ワーバス(アージェードゥーゼール・シトロエンチーム、アメリカ)が加わって逃げグループを形成。集団が容認したことで、長くリードを続けることとなる。

© LaPresse

メイン集団は、イネオス・グレナディアーズやチーム ジェイコ・アルウラー、ユンボ・ヴィスマ、スーダル・クイックステップといったチームが数人出しあってペースをコントロール。先行する3人を射程圏に捉えながら、着々と残り距離を減らしていく。

フィニッシュまで40kmを切って、タイム差は1分を割る。流れは完全にメイン集団のものとなり、どこで先頭3人を捉えるかがポイントになった。

メルリールがライバルを圧倒

それでも逃げの3人も粘って、残り10kmを切っても先行を続ける。しかし、スプリントに向けて態勢を整える集団の勢いには勝てず、残り6kmでゾッカラートが集団へ。ほどなくして残る2人も引き戻され、勝負はスプリントにゆだねられることが決定的になった。

© LaPresse

スプリントに向けては、イスラエル・プレミアテックとスーダル・クイックステップが前を固めていくが、そこにバーレーン・ヴィクトリアスとチーム ディーエスエムも応戦。集団前方が混迷する中、残り1kmとなったところでマーク・カヴェンディッシュ(アスタナ・カザクスタンチーム、イギリス)がパンクで戦線離脱。今大会は数度ステージ上位に入り、このステージで勝利のチャンスをうかがっていたが、トラブルによって望みが絶たれた。

そうして迎えた最終局面。緩やかにカーブがかかったフィニッシュ前でメルリールがライバルを圧倒。懸命に追いかけるライバルたちをよそに、後ろを確認する余裕を見せながらフィニッシュラインへ到達。ロードレースステージでは初日に続く勝利を収めた。

© LaPresse

ここまで混戦状態だったポイント賞争いだが、勝ったメルリールが抜け出す形に。まだ確定ではないものの、残る1ステージを走り切れば同賞獲得がかないそうだ。なお、ステージ2位にはサム・ベネット(ボーラ・ハンスグローエ、アイルランド)、3位にディラン・フルーネウェーヘン(チーム ジェイコ・アルウラー、オランダ)が続いた。

この日も個人総合上位陣には変動はなし。エヴェネプールが危なげなくリーダージャージを守っている。2位のルーク・プラップ(イネオス・グレナディアーズ、オーストラリア)との総合タイム差は9秒。同13秒でペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)も続いている。

いよいよ残りは1ステージ。名峰ジェベル・ハフィートの頂上で大会はクライマックスを迎える。最後の勝負区間は、登坂距離10.7km・平均勾配6.8%。フィニッシュ前3kmで最大勾配11%に達する。総合系ライダーたちによる最終決戦、レース距離は153kmに設定される。

ステージ優勝、ポイント賞 ティム・メルリール コメント

© LaPresse

小さなギャップを見つけてスプリントできたことはラッキーだったし、勝つのには十分なものだった。(ポイント賞の)グリーンジャージで勝てるのは最高の気分。個人では2勝目、チームタイムトライアルも入れると3勝目で、とても調子が良いことを実感している。

個人総合首位 レムコ・エヴェネプール コメント

© LaPresse

明日の目標は(個人総合の)レッドジャージを守ること。シンプルなことだ。最終ステージも勝てれば最高のボーナスだから、両方を目指したいね。仮に明日誰かが私よりもはるかに強かろうと何もがっかりすることはない。9秒の総合アドバンテージでスタートするのは決して楽ではないが、1秒や2秒といった僅差の争いよりはまだ良い。何より私には強いチームがある。

1週間のステージレースで勝った経験は少ない。今年はジロ・デ・イタリアが最大の目標だが、UAEツアーのようなワールドツアーのレースでも勝ちたい。最低でも表彰台。ここまでは本当にうまくいっている。

UAEツアー2023 第6ステージ結果

ステージ結果

1 ティム・メルリール(スーダル・クイックステップ、ベルギー) 3:41’12”
2 サム・ベネット(ボーラ・ハンスグローエ、アイルランド)+0’00”
3 ディラン・フルーネウェーヘン(チーム ジェイコ・アルウラー、オランダ)
4 オラフ・コーイ(ユンボ・ヴィスマ、オランダ)
5 フェルナンド・ガビリア(モビスター チーム、コロンビア)
6 アーヴィッド・デクライン(チューダー・プロサイクリングチーム、オランダ)
7 サム・ウェルスフォード(チーム ディーエスエム、オーストラリア)
8 ヘルベン・テイッセン(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ、ベルギー)
9 エミルス・リエピンシュ(トレック・セガフレード、ラトビア)
10 フィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス、ドイツ)

個人総合時間賞

1 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー) 19:55’40”
2 ルーク・プラップ(イネオス・グレナディアーズ、オーストラリア)+0’09”
3 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+0’13”
4 ステファン・デボッド(EFエデュケーション・イージーポスト、南アフリカ)+1’03”
5 ワウト・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス、オランダ)+1’06”
6 ハルム・ファンハウケ(チーム ディーエスエム、ベルギー)+1’12”
7 アンドレアス・レックネスン(チーム ディーエスエム、ノルウェー)
8 エイネルアウグスト・ルビオ(モビスター チーム、コロンビア)+1’13”
9 ゲオルグ・シュタインハウザー(EFエデュケーション・イージーポスト、南アフリカ)
10 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+1’14”

ポイント賞

ティム・メルリール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)

ヤングライダー賞

レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)

中間スプリント賞

エドワルト・プランカールト(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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