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自転車も運べるスペインの公共交通機関、日本のサイクルトレインに欲しい驚きの設備

自転車での移動が、日常的にそして気軽にできるシステムになっているのが、ヨーロッパの国々の特徴だ。そして、スペインもその例外ではない。とはいえ、広大なスペインでは自転車だけで移動するには街の間の距離が遠いところもあるため、何らかの公共機関のお世話になることも頻繁にある。また、マドリードやバルセロナのような大都市では、自転車を抱えながらバスや地下鉄に乗りたいときがあっても不思議ではない。

では、スペイン国内の公共交通機関で人々が自転車と一緒に移動するとき、その設備や様子はどのようなものなのだろうか。スペイン在住の對馬由佳理がレポートする。

鉄道の種類によって利用方法が違う

スペイン国内を鉄道で移動するとき、多くの人は主にRENFEと呼ばるスペイン国鉄を利用することになる。そして、このRENFEには、大きく分けて3種類の路線がある。

まず、スペインではアベ(AVE)とよばれるマドリードからバルセロナやグラナダ・マラガなどを結ぶ高速鉄道路線があり、これはちょうど日本の新幹線に相当する路線となる。2つ目はスペインの大都市近郊を走るセルカニア(Cercanias)と呼ばれる路線で、バルセロナ近郊ではロダリエ(Rodalie)とも呼ばれている。3つ目はスペインの都市間を結ぶメディア・ディスタンシア(Media Distancia)と呼ばれる路線だ。

そして、この3種類の電車では、それぞれ自転車の運び方が異なっているので、スペインに来た際には注意が必要である。

高速鉄道「AVE」

まず、アベで自転車を運ぶ場合には、基本的に飛行機の国際線で使うような箱や輪行袋に自転車を入れて運ぶ必要がある。そしてアベの車内には自転車を置くための専用の場所はないので、列車内でなんとかして自力で場所を確保する必要がある。

近郊路線「セルカニア」 または「ロダリエ」

バレンシア近郊のセルカニアの車内にて

続いて、大都市の近郊路線であるセルカニアやロダリエを利用するときには、自転車を箱や輪行袋に入れる必要はなく、乗ってきたままの状態で車両内に持ち込むことができる。サイクリストは駅に入った時点で自転車を降り、自転車を押して駅構内を移動する。そして、切符を買い、自転車を押したまま電車に乗る。列車内に自転車置き場はないが、他の乗客のじゃまにならない場所であれば、どこでも自転車を置くことができる。

中距離路線「メディア・ディスタンシア」

スペインのメディア・ディスタンシア(中距離路線)の車内。本来は自転車を壁にぶら下げる方式だが、自転車が少ないときには、このような形で置いておくこともできる

最後にメディア・ディスタンシアの場合である。この場合も自転車を輪行袋や箱に入れる必要はなく、そのまま列車に乗ることができる。また、ほとんどのメディア・ディスタンシアの車両には専用の自転車置き場があり、そこに自由に自転車を置くことができる。ちなみにこのメディア・ディスタンシアの自転車置き場は鍵付きなので、他の人が自転車を盗む可能性も少ない。

メディア・ディスタンシアの車内にある自転車置き場の鍵

また、スペインではフェべ(FEVE)というRENFEの別路線や、バスク地方にはエウスコトレン(Euskotren)という私鉄もある。この2路線では、RENFEのセルカニアやロダリエと同様に、自転車をそのまま列車内に持ち込むことができる。

このようにサイクリストも気軽に列車に乗れるのが、スペインの鉄道の特徴である。ちなみに、スペインの鉄道ではほとんどの場合、自転車を持ち込むための特別料金を払う必要はない。基本的に一人分の運賃を支払えば、列車内に自転車を持ち込む事ができる。

地下鉄や路面電車は他の乗客の邪魔にならない場所へ

マドリード・バルセロナ・バレンシア・セビリヤ・サラゴサ・マラガ・パルマデマヨルカ・アリカンテの各都市には地下鉄網があり、サイクリストは地下鉄にも自転車を持ち込んで移動することができる。地下鉄の車内には自転車置き場がないので、他の乗客のじゃまにならない場所に自転車を置く必要がある。また、スペインのいくつかの都市には路面電車が走っているが、この路面電車でも、地下鉄と同じように自転車を持ち込むことができる。

地下鉄・路面電車ともに、自転車の持ち込み料金を支払う必要はなく、基本的には一人分の乗車料金を支払うことで、自転車を車内に持ち込むことができる。

都市間の移動には長距離バスが便利、輪行袋があると安心

スペイン国内で都市間を移動する時に、頼りになるのが長距離バスである。スペイン国内で長距離バスに乗るときはALSAという会社のバスに乗ることが多くなるが、このALSA社の長距離バスでは自転車を運ぶこともできる。

ALSA社のバスに乗るときには、何らかの箱や袋に自転車を入れる必要がある。また、ALSA社のチケット売り場で12ユーロの輪行袋を購入できると同社の公式サイトでは説明されているが、念のため事前に自分で輪行袋を用意しておいたほうがよいだろう。また、自転車を持ち込む人はALSA社のチケットを買うときに、自転車持込料金も一緒に支払うことになる。そのため、チケットを買うときには、自転車も持ち込みたいことを窓口の係員に伝えることになる。

自転車用キャリー付きのタクシーを利用できるサービスも

思わぬ非常事態に陥ったとき、そして自転車が1台だけなら、スペインでタクシーに乗ることも可能である(筆者経験済)。もちろん、タクシーの運転手さんから「自転車を載せてもよい」という許可を得る必要があるし、自転車はタクシーのトランクに収まる大きさのものに限られる。とはいえ、一人でスペイン国内を走る人は、このことを知っていてもよいだろう。
ちなみにスペインでは、自転車を運ぶTAXI会社のサービスというものも存在する。アラゴン地方にあるタクシー会社のタクシー・サン・アウグスティン(Taxi San Agustín)は、通常の乗用車の後ろに自転車を運ぶキャリーをつけることで、最大で8台の自転車を運ぶサービスを展開している。

スペインを旅行していると、自転車を持って電車やバスに乗っている人を見ることは、けっして珍しいことではない。その一方で、スペインのすべての列車やバスが自転車を運ぶことに対応しているわけではないのも事実である。

それでも、サイクリストが自転車とともに電車やバスに乗ることは日常的な風景の一つであり、特別なものではないことに改めて注目すべきだろう。

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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