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初の7日間開催、女子版スペイン一周レース「ラ・ブエルタ・フェミニーナ」の未来とは

5月1日から7日間に渡り、スペインでラ・ブエルタ・フェミニーナ・バイ・カルフール(La Vuelta Femenina by Carrefour.es 以下、ブエルタ・フェミニーナと略)が開催された。初の7日間開催となったこのレースの様子を、スペイン在住の對馬由佳理がレポートする。

オーガナイザーも観客の数に驚く

写真撮影: 對馬由佳理

5月1日にバレンシア州アリカンテ近郊の町・トレビエハのチーム・タイムトライアルから始まったブエルタ・フェミニーナ。昨年までは、9月上旬に男子のブエルタ・エスパーニャ(La Vuelta a España)と同時開催の形で日程が組み込まれていたこのレースだが、今年から女子のレースは独立して開催されることになり、ステージ数も5ステージから7ステージに増加した。

こうした理由により、今年のブエルタ・フェミニーナのレースの大半は平日に開催された。また、スタート・ゴール地点が大都市から離れた場所に設定されたことが多かったこともあり、開催前には現場を訪れる観客の数の少なさが心配されていた。

しかし、実際にレースが始まってみると、このレースの内部で働くスタッフも驚くほどの数の観客が各スタート・ゴール地点に集まった。また、目立つ形での新型コロナウイルス対策もほぼ撤廃されていたため、選手と観客の距離が非常に近く、選手にサインを求める人の姿があちこちで見られた。

また、今回のブエルタ・フェミニーナは、日本を含む17のスペイン国内外の放送局を通じて、世界中にも生中継された 。特にスペイン国内では、5つの地方テレビ局が生中継でこのレースを報道していた。特にスペイン国内のテレビ局は、地元出身の女子の元プロロード選手を解説者として起用するなど、女子のロードレースへの関心が高まっている様子が感じられるものとなった。

アンナ・キーセンホーファー(イスラエル・プレミアテック・ローランド) にジャージを着せるドリー・ルアノ氏(写真左) 写真撮影: 對馬由佳理

このような今年のブエルタ・フェミニーナの今年の注目度について、このレースのスポーツディレクターであるドリー・ルアノ氏は、「今年はどこのスタート・ゴール地点に行っても、本当にたくさんの人が見に来てくれているので、とてもうれしかったですね。世界の多くの国にも生中継されていましたし、新しくなったブエルタ・フェミニーナを多くの人に知っていただけたのではないかと思います。ただ、今回はレースを追うプレス(報道関係者)が少なめだったので、その点は心残りでしたね。来年はもっとたくさんのプレスの方がブエルタ・フェミニーナの現場から、レースの様子を伝えていけるようにしたいですね」と話した。

WTチームがコントロールするも、風に踊らされるレースが続く

前半戦の主役となったマリアンヌ・フォス。 写真撮影: 對馬由佳理

今年の2月下旬のコースプレゼンテーションの時点から今年のコースでは風がレース展開に大きな影響を及ぼすことが予想されていた。実際にレースが始まってみるとその予想はほぼ当たり、選手たちは連日強風と戦うことになった。

初日のトレビエハでのチーム・タイムトライアル(14.5km)では、ユンボ・ヴィスマが18分3秒のトップタイムでリーダージャージを獲得する。しかし、2位のキャニオン・スラムからわずか1秒差という薄氷の勝利であった。

2日目のレースから心配されていた風がレースに影響を与え始める。とはいえ、この日のスプリントはシャルロット・コール(DMS)が制し、この時点でユンボ・ヴィスマのエースであるマリアンヌ・フォスがリーダージャージを獲得した。

@naikefotosoprt

第3ステージのエラチェ・デ・シエラからラ・ロダは、今年のブエルタ・フェミニーナで最も長い(158km)コース。コース自体は平坦基調だったものの、レース中盤からゴールが近づくにつれて強風が吹き始める。その結果プロトンは分裂しタイム差が生まれるものの、総合優勝候補の多くは、この日ステージ優勝したリーダージャージのフォスと同じ集団内でレースを終えた。

第4ステージも、スプリントを制したのは、リーダージャージのフォス。このブエルタ・フェミニーナでスプリンター向けの3つのステージ中2つのステージを制し、ベテランの経験とユンボ・ヴィスマのチーム力を見せつける結果となった。

第5ステージから山岳ステージが始まると、総合優勝候補が動き始める。レース中盤に第1山岳があるこの日のコースを制したのは、デミ・フォレリング(チームSDワークス)。昨年のItzulia Womenで3ステージすべてを制したボレリングがリーダージャージを獲得した。

第6ステージはスペイン北部の山岳地帯。風の影響と集団の予想外の動きによる影響で、リーダーのボレリングがこの日最初の大きな上りに入る前にメイン集団から遅れ、他の総合優勝候補から遅れた状態のままレースが進む。この日の後半先頭に立ったアネミエク・ファンフルーテン(モビスター)とガイア・レアリーニ(トレック・セガフレード)による一騎打ちの末、 レアリーニがステージ優勝し、ファンフルーテンがリーダージャージを獲得。この時点でリーダージャージのファンフルーテンと2位のフォレリングとのタイム差は1分11秒あった。

最終7ステージはラゴ・デ・コバドンガがゴール地点。ステージ優勝はフォレリングが優勝したものの、その56秒後にファンフルーテンがゴールし、ファンフルーテンが総合優勝した。

今年のラ・ブエルタ・フェミニーナを総合優勝したアネミエク・ファンフルーテン(写真右) 写真撮影:對馬由佳理

レース全体を振り返ると、終始風の影響があったものの、ワールドツアーチームが積極的にレースをコントロールした結果、レース自体は速いペースで進んだ。また、レース前後の移動が長いこともあり、小さなコンチネンタルチームはワールドツアーチームと比べて、苦しい戦いを強いられた面もある。

来年は開催時期が変更される可能性も

今年のブエルタ・フェミニーナを終えたレース・ディレクターのフェルナンド・エスカルティン氏は、来年のブエルタ・フェミニーナも7ステージのレースになる予定であること、また、レースの開催時期が変わる可能性があるとも話している 。

ブエルタ・フェミニーナが男子のブエルタ・エスパーニャと同じように、決まった時期に開催される自転車の大レースとなるのには、もう少し時間がかかりそうではある。しかし、今年のレースを現場で見た記者として気がついたこととして、各スタート・ゴール地点には女子の自転車レースを知る人はもちろん、そうではない人も大勢来ており、ブエルタ・フェミニーナを一つのイベントとして十分に楽しんでいた様子があちこちで見られていたことがある。

女子の自転車レースが人前で見られる機会は、男子のレースと比べて、悲しいことにそれほど多くはない。7日間毎日多くの観客を集めることができたという点だけでも、今年のブエルタ・フェミニーナは成功したと考えても良いのではないだろうか。

大会WEBサイト
https://www.lavueltafemenina.es/

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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