部位別に紹介！　サイクリストが知るべきスポーツバイクメンテと必携工具｜FORCE【前編】

Bicycle Club編集部

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クロスバイクやロードバイクを快適に乗り続けるために、自転車のメンテナンスはとても大事だ。ショップに頼んでしまってもいいが、自分でできたほうが経済的かつ充実感が得られるはず。

今回は岐阜県羽島にある「BLOCK47」に勤めるサイクルライフアドバイザーの山口貴司さんに、自転車の各部位ごとのメンテナンスの理由やポイントを聞きとりしつつ、必要とされる工具を教えてもらった。前後編で分けて紹介する。工具はチェコ共和国の総合ブランド「FORCE（フォース）」からピックアップ！

INDEX

今回教えてもらった山口貴司さん。BLOCK47に勤めるサイクルライフアドバイザー。メカニック作業や販売のみならず、サイクリングツアーやルート製作なども行い、サイクリストをあらゆる面からサポートしている

3つのシチュエーションに分けてメンテ部位と工具を紹介！

今回はメンテナンスの段階を3つに分けて紹介していく。「乗車前のメンテナンス」「走行後のメンテナンス」「異常解消や交換のための専門的メンナンス」の3つだ。とくに前半ふたつの基本的なメンテナンスの方法と工具はしっかり押さえておきたい。山口さんには作業の理由やポイントを解説してもらった。

「セルフでのメンテナンスは最初から自分で全部やろうとせず、わかるところから触れていくことが大切。今回紹介する工具類も一気にではなく、一個一個徐々に増やしていけばOKです」と山口さん

1.乗車前のメンテナンス

ひとつめは乗車前のメンテナンスだ。自転車に乗る前のごく基本的な「点検」といって差し支えない簡単な作業。しかし長く、安全に自転車に乗るためにじつは一番大事なものだ。使用する工具も自転車生活を続けるうえで必要な物が多い。

A.ハンドルを固定するステムボルトの締め込みチェック

「ハンドルの固定ボルトがゆるむと、走行中にハンドルバーが回ってしまう危険があります。それを防ぐために留まっている4つのボルトを均等に、対角線上に順々に締めこんでいきます。締め込み確認のコツは、締めこんだ後にあえて少しゆるめてみること。その際にすんなり回るのはよくなく、ある程度の力でゆるめられる程度がいいでしょう」

乗車前に毎回行う必要はないが、数週間に一度は行いたい。また乗車直前ではなく、乗車前日くらいに作業すると余裕をもてる

やや高価になるが、締め込む力を数値で確認しながら作業できるトルクレンチも便利。ボルトの締め過ぎやゆるみを高い精度で防止する

使用工具　FORCE 6角レンチセット 9種類組み

自転車整備の必須アイテム 10mm、8mm、6mm、5mm、4mm、3mm、2.5mm、2mm、1.5mmの9種類をそろえる。材質はスチール（クロムメッキ）で、プラスチックホルダーケース付き。3630円

使用工具　FORCE Y型6角レンチ 4/5/6mm

メンテナンスでよく使う3つのサイズ（6ｍｍ、5ｍｍ、4ｍｍ）をそろえた6角レンチ。6角部分は深さ約15mmと深く入れられる。880円

使用工具　FORCE スリムトルクレンチセット

3ｍｍ、4ｍｍ、5ｍｍ、6ｍｍ、8ｍｍ、10ｍｍの六角とT20、T25、T30のヘッドを備えたセット。設定したトルク値に達するとカチッと音が鳴り空転する。1万450円

B.出先でのボルトの締め直しや調整

「内容的には同じ作業ではありますが、乗車前や外出先でボルトのゆるみによるガタつきを解消したり、シートポストの高さ調整を行うなら携帯工具が便利です。普段出番はなくても持っておくと安心ですね」

手のひらに収まるサイズが特徴。出先での軽い調整や締め直し程度ならこれで十分。バッグやポケットにひとつは忍ばせておきたい

使用工具　FORCE ツールセット MINI 8 ＆ MINI 6

MINI 8（左）は2、3、4、5、6ｍｍの６角ヘッド、プラスドライバー、マイナスドライバー、トルクスレンチT25がセット。2420円。　MINI 6（右）は3、4、5、6mmの6角ヘッド、プラスドライバー、マイナスドライバーがセット。1650円

C.チューブに適切な空気を入れる

「タイヤ内のチューブにしっかりと適正空気圧の空気を入れることでパンクのリスクが減少し、正しくタイヤの能力を発揮できます。週末ライドなら乗る前に毎回チェックしましょう。タイヤによって適切な空気圧は異なるので、タイヤサイドの数値（psiやkPa、BAR）を確認しましょう」

タイヤサイドに記載されている最大空気圧や適正空気圧の数値に注目。またその際に「タイヤチェックとして亀裂や減り具合を見ることも大事です」とも

使用工具　FORCE スポーツポンプゲージ付き SG

フレンチバルブ、アメリカンバルブ、イングリッシュバルブに対応するフロアポンプ。ボールなどに空気を入れるアダプターも付属する。5390円

D.ペダルを締め直す、または交換する

「ペダルをしっかり固定するにはペダルレンチを使います。またはペダル自体を交換する際にも使います。ただしペダルレンチを使わず、六角レンチで脱着するペダルもあるので、まずは現状のペダルと交換後のペダルを両方確認してからレンチを購入しましょう。あと『ペダルは自転車の進行方向に向かって回すと締まる』と覚えておきましょう」

使用工具　FORCE ペダルレンチ＆BOXレンチ

ペダルレンチとは別に14ｍｍと15ｍｍのBOXレンチのセットも付属。ピストバイクのハブナットはもちろん、一般車にも対応。3080円

2.走行後のメンテナンス

続いては走行後のメンテナンスについて紹介していこう。走行後にやっておきたいメンテナンスとは、汚れたチェーンの清掃だ。なぜ走行後かというと清掃後の乾燥させる時間や注油後の浸透時間を考えると、作業を行うのはライド後が効率的だからだ。１カ月に一度はチェックしておきたい。そのほかディスクブレーキローターに関するチェックもしてみよう。

A.チェーンの洗浄＆注油

「自転車のチェーンは日々汚れていくものです。雨の日には砂利もつき、そのままだとパーツ摩耗がはげしくなり、ペダリングも重くなります。ここで紹介する『チェーンクリーナーハンドル付き』ならチェーンに直接装着し、液体や汚れの飛び散りなく洗浄ができます。洗浄後はふき取りや乾燥をし、その後注油しましょう」

内側に小さなブラシが複数装着されている。容器内に入れた洗浄液とブラシでチェーンをこすり、汚れをダイレクトに落としていく。スプレー式の洗浄液や洗浄方法もあるが、こちらのほうが効率的で飛び散りも少ない

洗浄後はチェーンを一度乾燥させ、その後チェーンオイルを一コマずつ注油。汚れや洗浄液が付いたまま注油しないように気を付けよう

使用工具　FORCE チェーンクリーナーハンドル付き

チェーンのブラッシングから、汚れの除去までを行える画期的なクリーナー。手作業では行いにくいチェーンプレートの内側に入り込んだ汚れも落とす。1870円

B.ディスクブレーキローターの曲がり修正

「最近のスポーツバイクのなかには、ホイールの中心に薄い銀色の円盤（ディスクローター）が付いたモデルがあります。ローターをキャリパーが挟み込むことでブレーキシステムとしてなりたたせているのです。このローターが歪むと、走っているときに一定周期でこすれる異音が発生しがちです。それを直すのがこの工具。歪んだ部分を挟み、力をかけて補正。ただしあくまで簡易的な作業ですので、ひどい歪みの場合はローターを交換します」

「ライド中にシュ、シュと異音がする」「ローターが内側にずっと当たっている気がする」というお客さんの声がたまにあるとのこと。もしかしたらローターの歪みが原因かもしれない

使用工具　FORCE ディスクブレーキ補正ツール

ディスクローターのゆがみを修正する工具と油圧式ディスクブレーキの閉じてしまったピストンやディスクパッドを広げるためのツール。歪み修正には２種類の溝を搭載。3960円

「部位別に紹介！　サイクリストが知るべきスポーツバイクメンテと必携工具｜FORCE【後編】」はこちら

部位別に紹介！　サイクリストが知るべきスポーツバイクメンテと必携工具｜FORCE【後編】

自転車を中心にした商業施設「BLOCK47」とは？

今回作業を教えてもらった山口さんがいるBLOCK47は、岐阜県羽島市にある複合商業施設。「食」「運動」「対話」の３つをキーワードに「健康で、ワクワクと楽しく、生き生きと日々を送ること」を提案する場所。スポーツサイクルの販売やレンタル、作業用スペースの貸し出し、各種ツアーやイベントの開催などを行う。地元食材をふんだんに使ったレストランも併設する。