BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • Kyoto in Tokyo

STORE

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ

カヴェンディッシュがリタイア、衝撃の1日はピーダスンが勝利|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランス第8ステージが現地7月8日に行われ、上り基調のスプリントによるステージ優勝争いをマッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)が制した。前日までにステージ3勝を挙げているヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)が2位。個人総合首位のマイヨ・ジョーヌはヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)がキープしている。また、最多勝利記録更新がかかっていたマーク・カヴェンディッシュ(アスタナ・カザクスタン チーム、イギリス)は、落車により大会を去っている。

右鎖骨骨折でカヴェンディッシュ無念のラストツール

中央山塊に向けて進んでいるプロトン。第8ステージはリブルヌからリモージュまでの200.7kmで争われる。丘陵コースにカテゴライズされるが、後半部にアップダウンが集中し、フィニッシュ前15kmから連続して上下する4級山岳2カ所は平均勾配約5%。さらに、最後の1kmは4%の上り勾配。どれだけの人数のスプリンターが最終局面まで集団に残れるかで、勝負の行方は変わってくる。

©️ A.S.O./Charly Lopez

172人が一斉にリブルヌを出発すると、リアルスタート早々から激しい出入りに。ピーダスンやジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ、フランス)などが前をうかがい、追い風もあってハイスピードで進行する。その流れから、20km地点を過ぎたところでティム・デクレルク(スーダル・クイックステップ、ベルギー)がアタックを決め、アントニー・テュルジス(トタルエナジーズ、フランス)とアントニー・ドゥラプラス(チーム アルケア・サムシック、フランス)が追随。やがて3人がひとまとまりになって、逃げを開始した。

©️ A.S.O./Charly Lopez

先頭の3選手は快調に飛ばし、集団に対して5分近いリードを得る。79km地点に置かれた中間スプリントポイントはドゥラプラスが1位で通過し、少しおいてメイン集団がやってきた。ここはフィリプセンが先着し、全体4番手。13ポイントを獲得し、マイヨ・ヴェール争いをより有利にしている。

この動きの直後にマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)が仕掛けてスプリンターなど数人が続いたが、ここはさすがに集団も黙ってはおらず、ユンボ・ヴィスマが中心になって先行メンバーを引き戻している。

©️ A.S.O./Charly Lopez

逃げとメイン集団との差が少しずつ詰まっていくなか、衝撃の瞬間は残り61kmで起きた。前日は2位に入る走りで鮮烈な印象を残したマーク・カヴェンディッシュ(アスタナ・カザクスタン チーム、イギリス)が集団内で落車し、しばらくその場から動けず。何とか立ち上がったが、レース続行は不可能との判断でリタイアを余儀なくされた。ツール最多勝利記録の期待がかかり、キャリア最後のツールになるであろうことも表明しているが、悲しく、悔しい結末になってしまった。

それからも集団の勢いは強く、途中でカスパー・アスグリーン(スーダル・クイックステップ、デンマーク)がアタックしたものの、抜け出すまでには至らない。残り40kmを切ったあたりからはタイム差が1分台となり、俄然集団が優勢に。最後のひとりになるまで粘ったテュルジスだったが、残り8.2kmで集団が飲み込む。直後に数人がカウンターアタックを仕掛けたが、それらも成功には至らない。リーダーチームのユンボ・ヴィスマを中心に集団を縦長にして、最終盤を急ぐ。

©️ A.S.O./Charly Lopez

そんな中、またも集団内でクラッシュ発生。今度は個人総合4位につけるサイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)が巻き込まれた。ステフ・クラス(トタルエナジーズ、ベルギー)に至っては、その場から起き上がれず、そのままリタイアを余儀なくされた。

残り5kmを切って、アルペシン・ドゥクーニンクも前線へ。リドル・トレックは、個人総合争いから遅れたマティアス・スケルモース(デンマーク)を牽引役に動員し、主導権確保に走る。残り1kmを示すフラムルージュでは引き続きリドル・トレックの選手たちが前を固めて、上り基調のスプリントへ向かった。

©️ A.S.O./Charly Lopez

最後のコーナーを抜け、先頭に立ったのはユンボ・ヴィスマ。クリストフ・ラポルト(フランス)の牽引で、ワウト・ファンアールト(ベルギー)を引き上げる。絶好のポジションに思えたが、左右からアルペシン・ドゥクーニンクのトレインやピーダスンが上がってきてふさがれてしまう。

代わってスプリントを一番に開始したのがピーダスン。すぐにフィリプセンも反応するが、最後まで追い切れず。上り基調での勝負をピーダスンが制し、今大会初勝利を挙げた。

©️ A.S.O./Charly Lopez

ここまで第3ステージの9位が最高だったピーダスンだが、ついに会心の勝利。ツール初勝利を挙げた昨年の第13ステージは逃げ切りによるものだったが、今度は“本職”でもある集団スプリントで勝ち取ってみせた。

©️ A.S.O./Charly Lopez

ポイント賞首位のマイヨ・ヴェールを着るフィリプセンは2位。このステージだけで43点を加算し、2位以下に100点以上の大差でリードしている。

個人総合では、ヴィンゲゴーがトップを守って引き続きマイヨ・ジョーヌを着用。2位タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)、3位ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)は変わらないが、4位でスタートしていたサイモン・イェーツが落車後の集団復帰が間に合わず、47秒遅れでのフィニッシュ。2ランク落としている。

なお、リタイアしたカヴェンディッシュは、その後右鎖骨の骨折との診断を受けている。

次の第9ステージが第1週最終日。182.4kmのステージは、最後に火山ピュイ・ド・ドームの頂を目指す。35年ぶりツール登場の超級山岳は、登坂距離13.3km、平均勾配7.7%。最後の約4kmで12%前後の急勾配が続く。マイヨ・ジョーヌ争いの形勢を揺るがすこと必至の重要な1日を迎える。

ステージ優勝 マッズ・ピーダスン コメント

©️ A.S.O./Charly Lopez

「逃げの1日かスプリントステージかの想像が難しかったが、スプリンターにとっては数少ないチャンスを大事にしないといけなかった。チームメートは完璧にリードアウトしてくれて、ロングスプリントになっても十分な脚が僕にはあった。昨年は第13ステージで勝ったが、それより早いうちにステージ優勝できてよかった。勝利を確信したのはフィニッシュラインを通過したあと。本当に苦しかったが、勝利に大差も小差も関係ない。どんな勝ち方であれ、ツールで勝つことは美しい。

マーク(カヴェンディッシュ)と一緒にレースを走れることがうれしかった。レジェンドがあんな形でレースを終えるなんてとても悲しい。彼とはジャージを交換する約束をしているんだ。どこか別のレースで会えることを願っているよ」

個人総合時間賞 ヨナス・ヴィンゲゴー コメント

©️ A.S.O./Charly Lopez

「最終盤が難しくなることは想定どおりだった。暑くて大変な1日だったが、しっかり対処できた。ステージ優勝できれば最高だったが、マッズのスプリントが素晴らしかった。明日走るピュイ・ド・ドームはクリテリウム・ドゥ・ドーフィネの前に試走を行ったが、とてもハードな印象だ。明日のステージが決定的な1日になるかもしれないが、もちろんその後のステージでも何かが起こるだろう」

ツール・ド・フランス2023 第8ステージ結果

ステージ結果

1 マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク) 4:12’26”
2 ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)ST
3 ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)
4 ディラン・フルーネウェーヘン(チーム ジェイコ・アルウラー、オランダ)
5 ニルス・エーコフ(チーム ディーエスエム・フェルメニッヒ、オランダ)
6 ブライアン・コカール(コフィディス、フランス)
7 ヤスペル・デブイスト(ロット・デスティニー、ベルギー)
8 ラスムス・ティレル(ウノエックス・プロサイクリングチーム、ノルウェー)
9 コービン・ストロング(イスラエル・プレミアテック、ニュージーランド)
10 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク) 34:09’38”
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’25”
3 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)+1’34”
4 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+3’30”
5 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+3’40”
6 サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)+4’01”
7 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+4’03”
8 ロマン・バルデ(チーム ディーエスエム・フェルメニッヒ、フランス)+4’43”
9 トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)ST
10 セップ・クス(ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)+5’28”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

ニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト、アメリカ)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

ユンボ・ヴィスマ 102:40’03”

SHARE

PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

No more pages to load