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22歳ロドリゲスが下りで抜け出し初勝利。クラッシュ多発で7人リタイア|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスはアルプス山脈へ。現地7月15日に行われた第14ステージは、5つのカテゴリー山岳を越える獲得標高4200m超の1日で、終盤のダウンヒルからトップに立ったカルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)がツール初勝利。個人総合でも3位に浮上した。マイヨ・ジョーヌ争いも熾烈で、トップのヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)と2位のタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)が一進一退の攻防を展開。フィニッシュでの差は生まれなかったが、ボーナスタイムの関係から総合タイム差が10秒となった。

ヴィンゲゴーとポガチャルが見合う間にロドリゲスが抜け出す

フランス革命記念日だった前日のステージは超級グラン・コロンビエを上ったが、今度はアルプスの山々をかける山岳ステージ。スイス国境に面したアルマスを出発し、レース前半で3級山岳コル・ド・サエル(登坂距離4.2km、平均勾配4.6%)、1級山岳コル・ド・ク(7km、7.4%)、1級山岳コル・ド・フ(5.8km、7.8%)を立て続けに登坂。後半ではコル・ド・ラ・ラマズ(13.9km、7.1%)、そして最難関の超級山岳コル・ド・ジュ・プラーヌ(11.6km、8.5%)へ。上りのタフさに加えて、テクニカルな下りも特徴だ。ジュ・プラーヌの頂上からは、モルジヌに設けられるフィニッシュラインめがけてのハイスピードダウンヒルになる。

© A.S.O. / Pauline Ballet

リアルスタートが切られた直後はいくつかのアタックがあったものの、決まらないまま集団は一団で進む。そんなメイン集団に大きなトラブルが起きたのは5.5km地点。雨で濡れた路面にタイヤをとられた選手をきっかけに大人数が落車。プロトンはいったんニュートラルとなり、クラッシュに巻き込まれた選手たちの手当や復帰できる状況を待つことになった。

© A.S.O. / Charly Lopez

しかし、レース復帰が困難な選手も多く、アントニオ・ペドレロ(モビスター チーム、スペイン)がその場で救急搬送。個人総合13位でスタートしていたルイス・メインチェス(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ、南アフリカ)は、鎖骨を骨折しレース続行を断念。8km地点で再度のリアルスタートが切られたが、直後にはエステバン・チャベス(EFエデュケーション・イージーポスト、コロンビア)が痛みに顔をゆがめ走るのをあきらめている。

逃げ狙いの動きも戻ってきて活性化するプロトンで、またも落車が発生。3級コル・ド・サエル頂上通過後の下りで、個人総合12位でスタートしたロマン・バルデ(チーム ディーエスエム・フェルメニッヒ、フランス)が地面に叩きつけられてしまう。複数箇所を傷め、バイクに戻ることはできず。ほぼ同じタイミングでジェームズ・ショー(EFエデュケーション・イージーポスト、イギリス)も負傷リタイアしている。

© A.S.O. / Charly Lopez

混乱が続く一方で、レースは30km地点で20人の先頭グループが形成される。そこからの出入りやメンバーの入れ替わりなどもあって、慌ただしい状況が続く。メイン集団の容認ムードがなく、タイム差が開いても30秒程度。コル・ド・ク、コル・ド・フふたつの1級山岳こそ先頭グループが先に頂上通過したが、後半に入っての1級山岳コル・ド・ラ・ラマズで逃げていた選手たちはすべて集団がキャッチ。残り58kmでレースはふりだしに戻った。

© A.S.O. / Charly Lopez

メイン集団をコントロールするのはリーダーチームのユンボ・ヴィスマ。ワウト・ファンアールト(ベルギー)やウィルコ・ケルデルマン(オランダ)のペーシングで人数を絞り込んでいくと、ラ・ラマズ頂上2km手前で先頭グループは17人に。個人総合上位陣では、8位につけているトーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)が脱落。頂上通過後の下りで追いつきたいところだったが、差を挽回するどころかさらに遅れて戦線から離脱した。

© A.S.O. / Charly Lopez

残り30kmを切り、いよいよ最後の上りである超級コル・ド・ジュ・プラーヌへ。先頭は16人になって上り始めると、ワウトの引きでさらに人数は減少。一度は役目を終えたかに思えたワウトだったが、集団後方からもう一度前に上がってきて、引いていたラファウ・マイカ(UAEチームエミレーツ、ポーランド)を振り落とす。ワウトの仕事が終わるとセップ・クス(アメリカ)が引き継いで、前線に残ったのはヴィンゲゴーやポガチャルら7人に。

残り17.5kmで個人総合14位につけるフェリックス・ガル(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストリア)が遅れ、ほどなくして同3位のジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)も後ろへ。レース序盤の落車に巻き込まれていたヒンドレーは苦しい走りに。アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)が前に出ると、さらに上りのペースが上がってクスとロドリゲスが下がっていく。ヴィンゲゴーとポガチャルの頂上決戦の色合いが濃くなっていった。

© A.S.O. / Charly Lopez

フィニッシュまで残りは15.7km。ついにポガチャルがアタック。この一瞬の動きにヴィンゲゴーが反応しきれず、5秒ほどのタイム差がつく。ただヴィンゲゴーもそれ以上遅れることはなく、テンポでポガチャルを追う。リードを広げたいポガチャルは沿道のチームスタッフからボトルを受け取り水を体にかけながら進んだが、頂上まで1.6kmとなったところで再び両者が同パックに。そこからは2人が見合う状態が続き、牽制したまま頂上が近づいていく。

頂上まで500mのところでポガチャルがアタックしたが、大興奮の観衆に前をふさがれたモーターバイク2台に阻まれてしまう。代わってヴィンゲゴーがアタックして頂上を1位通過。ボーナスタイムも設定されており、1位通過8秒をゲット、ポガチャルもカウンターアタックで応戦したが、下りに入ったこともあり差はつかなかった。

ダウンヒルでも互いを意識する2人に対して、上りで一度は遅れたロドリゲスとA・イェーツが追い上げて再合流。ロドリゲスはその勢いのままアタックして、他の3人を引き離しにかかる。残り7kmで独走に持ち込んで、モルジヌのフィニッシュラインへ急いだ。

ステージ優勝争いはこれが決定打になって、ロドリゲスが単独でモルジヌに到達。ツール初出場の22歳が大きな勝利。若いながらもすでにプロキャリアは4年目で、アンダー23カテゴリーを経験していないジュニアカテゴリーからの「飛び級選手」。グランツール初出場だった昨年のブエルタ・ア・エスパーニャで個人総合7位に入っており、今大会もここまで順調に上位戦線に位置。百戦錬磨のイネオス・グレナディアーズにあって総合エースを託されている。

© A.S.O. / Charly Lopez

歓喜のロドリゲスから5秒後。ポガチャルとヴィンゲゴーがやってきた。残り1kmを前に下りで数秒差がついていたアダムが戻ってきて、ポガチャルをアシスト。最後はスプリントでポガチャルが先着しステージ2位、ヴィンゲゴーが3位になった。

© A.S.O. / Charly Lopez

これらの結果により、ジュ・プラーヌ頂上とフィニッシュでのボーナスタイムを合わせて、マイヨ・ジョーヌを守ったヴィンゲゴーと2位ポガチャルとの差は10秒に。前日から1秒開いたが、勝負としてはほぼ同条件と言えそうだ。

個人総合3位でスタートしたヒンドレーが1分46秒差でレースを終えたことにより、同順位にはロドリゲスが浮上。ヒンドレーも1秒差で続いており、総合表彰台争いも激しくなってきている。

© A.S.O. / Charly Lopez

なお、この日レースで7選手がリタイアするなどトラブルが多発。プロトンは大会開幕時の176人から158人まで減っている。

次の第15ステージはレ・ジェ・レ・ポルト・デュ・ソレイユからサン・ジェルヴェ・モン・ブランまでの179km。レース中盤から後半にかけて5つのカテゴリー山岳が待つが、勝負は1級山岳サン・ジェルヴェ・モン・ブランになりそう。登坂距離7.7km、平均勾配7.7%、フィニッシュ前が10%近い急坂。頂上にフィニッシュラインが敷かれ、総合系ライダーの脚の差がくっきりと出る可能性のあるステージと言えそうだ。

ステージ優勝 カルロス・ロドリゲス コメント

© A.S.O. / Charly Lopez

「言葉にならないくらいうれしい。夢のようだ。世界最高のレースで勝利を収められるなんて信じられないし素晴らしい。この日を夢見ていたし、最高の気分だ。私を信じサポートしてくれるチームに感謝したい。

上りで遅れても慌てなかった。下りも攻められるよう、上りを無理しないよう心掛けた。下りは得意で、それを生かしたいと思っていた。今日は何回かクラッシュしそうになったけど、リスクを負わないと勝てないのも知っている。昨日のミハウ・クフィアトコフスキの勝利は、私を勇気づけた。今日は彼が私を助けてくれて、勝利に結びついたと思う。総合表彰台を目標にしたいので、できる限り回復させて次のステージに向かいたい」

個人総合時間賞 ヨナス・ヴィンゲゴー コメント

© A.S.O. / Charly Lopez

「全体を通してチームはうまくいったし、結果には満足している。チームメートの働きには感謝したい。タデイ(ポガチャル)は早めに仕掛けていたけど、バイクに阻まれていたようだった。幸運にも彼から1秒を得ることができたのは良かった。タデイと私の違いがどこなるかを説明するのは難しい。われわれは平等だし、パリまで素晴らしい戦いができると思う」

ツール・ド・フランス2023 第14ステージ結果

ステージ結果

1 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン) 3:58’45”
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’05”
3 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)ST
4 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+0’10”
5 セップ・クス(ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)+0’57”
6 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)+1’46”
7 フェリックス・ガル(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストリア)ST
8 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+3’19”
9 サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)+3’21”
10 ギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス)+5’57”

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク) 57:47’28”
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’10”
3 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+4’43”
4 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)+4’44”
5 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+5’20”
6 セップ・クス(ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)+5’04”
7 サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)+8’32”
8 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+8’51”
9 フェリックス・ガル(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストリア)+12’26”
10 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+12’56”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

イネオス・グレナディアーズ 173:57’06”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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