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絶好調フィリプセンが今大会4勝目、大混戦のスプリント制す|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスの第11ステージが現地時間7月12日に行われ、スプリントフィニッシュをヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)が勝利。今大会4勝目を挙げると同時に、首位を走るポイント賞のマイヨ・ヴェールも一層固いものとしている。個人総合上位陣には変化がなく、ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)が引き続きマイヨ・ジョーヌを着用する。

マチューの助けを得ずとも自らの脚で勝利につなげる

第1週の終盤から中央山塊を行くステージが続いているが、この日は久々の平坦ルート。クレルモン・フェランを出発し、前半部で丘陵地帯を走ったのちに、フィニッシュ地のムーランに向けてフラットな道を進んでいく。クレルモン・フェランは23日に開幕するツール・ド・フランス・ファムの開幕地。また、ムーランはツール初登場。同地が属するアリエ県としても初の大会誘致で、これで96あるフランス本土・島嶼(海外県をのぞく)すべてをツールが網羅することになる。

© A.S.O. / Pauline Ballet

この日のスタート前には、審判代表や主催するA.S.O.役員、元選手のニコラ・ロッシュ、現地放送局フランスTVによる選考で、ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)が大会第1週の「最優秀チームメート」を受賞。3000ユーロが贈られている。

© A.S.O. / Pauline Ballet

迎えたレースは、6km地点でダニエル・オス(トタルエナジーズ、イタリア)、マティス・ルベール(チーム アルケア・サムシック、フランス)、アンドレイ・アマドール(EFエデュケーション・イージーポスト、コスタリカ)の3人がリードを開始。集団とのタイム差は1分台で推移するが、長く先導し続けることになる。

© A.S.O. / Pauline Ballet

70.5km地点に設けられた中間スプリントポイントは、ルベールが1位通過。1分15秒差でメイン集団もやってきて、ここをフィリプセンが先着して全体4位通過。13点を加算し、マイヨ・ヴェール争いで快調に独走を続けている。

フィニッシュまで100kmを切ったあたりから、コース上には雨が降り始める。前日が気温30度をはるかに超す猛暑だったこともあり、1日で対照的な天候に。路面がウェットになっていくが、大きなトラブルなく進行する。

© A.S.O. / Pauline Ballet

残り70kmを切るとタイム差は1分を割り、逃げメンバーとしては苦しい状況に。残り53kmでルベールがあきらめて集団へ戻ると、数km進んだところでアマドールもペースを落とし集団へ。逃げから下がる際には、オスと言葉をかわして笑顔を見せた。

オスのひとり逃げとなったところで、集団は一時的にペースを調整。ときおり雨が強まる中、45秒ほどの差でしばらく進む。チーム単位で隊列を組んで集団内でのポジションを固めつつ、終盤に向けた態勢づくりを行っていく。

この日最も逃げたオスはステージ敢闘賞に選出。残り13.5kmで集団がキャッチすると、いよいよフィニッシュに向けて各チームのトレインが動き出す。

© A.S.O. / Pauline Ballet

アルペシン・ドゥクーニンクやロット・スーダル、リドル・トレック、ユンボ・ヴィスマなどのトレインが前を固める。残り5kmからはユンボ・ヴィスマが集団を縦長にして、ワウトでの勝負に向けて形を整えていく。残り2kmを切るとウノエックス・プロサイクリングチームやアルペシン・ドゥクーニンクも前線へ。

しかし、連続コーナーを抜けるたびに集団前方は混迷し、どのチームもトレインが崩壊。最後のコーナーを抜けると約1.3kmと長い直線。チーム ジェイコ・アルウラー勢が前に上がってくるが、少しずつポジションを上げてきたフィリプセンがディラン・フルーネウェーヘン(チーム ジェイコ・アルウラー、オランダ)の動きに合わせながらスプリントを開始。残り100mでフルーネウェーヘンをかわして先頭に立つと、他の追い込みを許さず今大会4回目のステージ優勝を決めた。

© A.S.O. / Pauline Ballet

フィリプセンはこれでツール通算6勝目。今大会は第3ステージで初勝利を挙げると、以降ここまで主催者側が平坦にカテゴライズしたステージはすべて勝ってきている。現在着用中のマイヨ・ヴェールも徐々に安泰ムードとなってきて、2位のブライアン・コカール(コフィディス、フランス)との差は145点に広げている。

最終局面がテクニカルだったこともあり、メイン集団の前方で中切れが発生したが、個人総合上位陣はいずれもスプリンター陣の後ろでレースを完了。当該選手間でのタイム差は発生せず、順位の変動もなし。ヴィンゲゴーが引き続きマイヨ・ジョーヌを着用する。

© A.S.O. / Pauline Ballet

翌13日に実施する第12ステージは、ロアンヌからベルヴィル・アン・ボージョレまでの168.8km。ボージョレ・ヌーヴォーで知られるワインの産地を行く1日は、フィニッシュ前約43kmと同じく28km手前に待つ2つの2級山岳がポイント。逃げが決まるとの予想がされているが、実際は果たして。上り基調になっている最終局面も見ものだ。

ステージ優勝、ポイント賞 ヤスペル・フィリプセン コメント

© A.S.O. / Pauline Ballet

「このツールは信じられないくらいうまくいっている。何がどれだけうまくいっているかの実感ができないくらいだ。とても誇らしいし、いまの調子に満足している。今日はトラブルなくスプリントまでもっていくことが重要で、何とかやり遂げられた。

マチュー(ファンデルプール)がいなくても勝てることはあるだろうけど、やはり彼がいた方が成功しやすい。今日ばかりは他選手の車輪を見ながら自分のスペースを確保していく必要があった。ディラン(フルーネウェーヘン)の番手を確保できたのは幸運だった。

あと3回スプリントチャンスがあると考えているが、逃げからチャンスを得ようとする選手も多くなってくると思う。できることならもっと勝ちたいけど、まずはこのジャージをパリにもっていくことを目標にしたい」

個人総合時間賞 ヨナス・ヴィンゲゴー コメント

© A.S.O. / Pauline Ballet

「トリッキーなステージだった。総合系ライダーにとっては、このようなステージでツール・ド・フランスを失うことだってあるから注意が必要だった。チームメートのおかげで、フィニッシュ前の3kmを安全にレースすることができた。

ここまで順調にきていて、先々のことに備える準備もできている。明日のステージもトリッキーだから、注意して走らないといけない。娘のフリーダは私がポディウムで手に入れるライオンのぬいぐるみが大好きなんだ。できるだけライオンを捕まえたいから、マイヨ・ジョーヌを守っていかないといけないね」

ツール・ド・フランス2023 第11ステージ結果

ステージ結果

1 ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー) 4:01’07”
2 ディラン・フルーネウェーヘン(チーム ジェイコ・アルウラー、オランダ)ST
3 フィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス、ドイツ)
4 ブライアン・コカール(コフィディス、フランス)
5 マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)
6 アレクサンダー・クリストフ(ウノエックス・プロサイクリングチーム、ノルウェー)
7 ルーカ・モッツァート(チーム アルケア・サムシック、イタリア)
8 ペテル・サガン(トタルエナジーズ、スロバキア)
9 ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)
10 サム・ウェルスフォード(チーム ディーエスエム・フェルメニッヒ、オーストラリア)

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク) 46:34’27”
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’17”
3 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)+2’40”
4 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+4’22”
5 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン) +4’34”
6 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+4’39”
7 サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)+4’44”
8 トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+5’26”
9 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+6’01”
10 セップ・クス(ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)+6’45”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

ニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト、アメリカ)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

バーレーン・ヴィクトリアス 139:58’20”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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